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校長室だより

平成28年度 全校朝会A
全校道徳授業@ 附属小学校のよさとは

平成28年6月30日 校長 日伸哉

今年度から、担任外に「道徳教育推進教師」を配置いたしました。平成27年7月に改正になった学習指導要領(総則)の「道徳教育の充実」を受けてのものです。道徳の時間は、「特別の教科 道徳」(道徳科)として、新たに位置づけられました。今年度は、試行的に、担任外の「道徳教育推進教師」が、各クラスの道徳の授業を受け持つ場を設定しています。もちろん、担任が道徳の授業を受け持つクラスもあります。また、体育館において、約600名の児童全員を対象とした「全校道徳授業」も企画しました。その一端についてご覧いただきたいと思います。
 以下、「道徳教育推進教師」による全校授業の記録です。(校長談)

おはようございます。
今日の全校朝会は、全校のみなさんで道徳の学習をします。
道徳というのは、どんな学習をすると思いますか。

「人として生きるために、大事なことについて考える時間」が道徳です。
以前、3年1組のお友だちが、「道徳の時間は、自分の考えを言えるから、進んで発表することができるよ」と言ってくれたことがありました。みんなが自分の考えを出し合って、人として大事なことについて考える時間が道徳だと、先生も思います。でも、この時間の道徳は、みんなの考えを聞いていたら時間がたりなくなるので、今日は先生がみなさんにお話をします。それについて、考える時間にしたいと思います。
みなさん、今日は一人一人よく考えてくださいね。

では、これについて考えます。
 附属小のよさとは何か、ということです。
新しくなった校舎、みのり班活動、各学年のフェスティバルなど、附属小のよさは、たくさんあると思います。答えは1つではありません。正解は1つではない、ということも、道徳では大事なことです。いろんな考えがあって、いいのです。
まず、先生が考える「附属小のよさ」について、今からお話をします。

そのために、これまで校長先生がお話ししてくださった、2つのこと、「みんなちがってみんないい」と「見えぬけれどもあるんだよ 見えぬものでもあるんだよ」を手がかりにして考えてみたいと思います。

まず、みんなちがってみんないい、ということについてです。
 6年生のみなさんと「夢を実現するために必要なことは何だろう」ということを考える道徳の授業をしました。将棋の羽生善治さんと、プロ野球選手のイチロー選手の二人の生き方を参考にして、一人一人が、夢について感じたことを書いてくれました。

6年生のふり返りの中から、みんなちがってみんないい、に関わって、3人の人を紹介したいと思います。ある人は夢があって、その夢に向かってたくさん努力をしているということでした。こんなふうに夢が決まっていること、とてもすばらしいと思います。一方では、夢はまだないけど、今がんばっていることはあるという人がいます。そして、そのがんばっていることが夢につながるということです。夢がないからだめではなく、今できることを精一杯がんばるという考えもとても大事だなというふうに思います。また、ある人は、『今がんばっていること、ピアノなんでしょうけど、つらいときがあっても、それを乗り越えようとしています。夢について思っていること、考えていることはそれぞれちがいますが、どれもすばらしい考えだと先生は思います。
 これが、みんなちがってみんないい、ということなのではないかと思いました。

続いて、5、6年生の道徳で、みんなでリフレーミング、というのをやりました。これは、自分の欠点、短所、簡単にいえば、自分の性格で、いやだな、と思っているところをいいますが、例えば、落ち着きがない、とか、あわてんぼうだとか、そういったことになりますが、それを見方を変えて、よさにしてみようという学習です。
ある人は、自分の短所を、自分の言いたいことを、なかなか人に言えないときがある、と考えていました。その気持ち、とてもよくわかりますね。自分の思っていることや、考えていることを、はっきりと言うこと、大事だと思いますし、そのように言える人は、すごいなと思います。でも、なかなか言えないときもあると思います。でも、それって、だめなことでしょうか。そのような性格の人は、だめな人でしょうか。

先生は、決してそうは思いません。もちろん、大事なことはしっかりと言う勇気は必要です。でも、だからといって、だめな人とは思わないでください。
そんな短所に、この人の友達は、次のような見方でこたえてくれました。

それは、「言いたいことが言えないということは、まわりの人や相手のことを考えている、つまり、気づかっているんだよ」と教えてくれました。
 見方を変えれば、そのようなすてきな性格でもあるということだと思います。短所や欠点も、自分の長所やよさと合わせて、難しい言葉ですが、『個性』と考えて、一人一人のよさと考えてほしいと思いました。そんなすてきなことに気づかせてくれた6年生の言葉でした。

次は、見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよの視点です。
 私たちの気づかないところで、大事なことをしている人がたくさんいるよというお話です。6年生の道徳の時間に、ぼくの仕事は便所そうじという資料を使って学習をしたことがありました。みなさんは、自分がトイレそうじの担当になったら、どう思いますか。動物園に勤める西山さんは、最初人間のトイレそうじがとてもいやだったそうです。しかし、あるとき、この便所はとてもきれいになっていて、本当に気持ちいい、という言葉を聞き、心を入れ替えてそうじをしようと決心しました。その資料を通して、いやな仕事にやる意味を見つけようと学習しました。

みなさんも、この写真のように、見えないところで、一人一人そうじをがんばっていると思います。そうじに対して、どんな気持ちで取り組んでいるでしょうか。
 校長先生は、このように見えないところでも、みんなのために精一杯やることを、「縁の下の力持ち」であるとおっしゃっています。6年生のある人は、『西山さんが言っていた喜んでくれる人のためにやるというのは、「縁の下の力持ち」に似ているなと思いました、かげながら支えているのは、縁の下の力持ちだと思います』と書いていました。
 また、ある人は、『ぼくがこの学習を通して感じたことは、どんなにいやで、大変な仕事でも、必ず誰かが喜んでくれたり、見ていてくれたりするということです。だから、やりがいが生まれてくると思います。ぼくは、これから、できるだけいやでも地味でも、しっかりと仕事をしたいです。』と書いていました。

みなさんのがんばっている姿は、必ず誰かが見てくれています。そうやって、がんばっていることをお互いに認め合いながら、くらしていきたいなぁと思います。
他にも、ある人は『わたしは1年生教室そうじです。1年生が喜ぶ姿を想像してがんばろうと思います』と書いていました。誰かのためにがんばるということも、大事だなと感じます。見えないところでがんばっているのは、みなさんだけではありません。

この写真は、PTAの早朝作業ということで、みなさんのお家の方の多くの人が、休みの日に学校に来てそうじをしてくれた様子です。トイレだけではなく、窓ふきや草取りなど、校舎の中や外を、本当にきれいにしてくれました。みなさんの見えないところで、お家の方ががんばってくださいました。
 この写真を見ながら、3年生のみなさんと、道徳の学習をしました。汚れた水飲み場をきれいにするお話を通して、これから自分はどのようにそうじをするか、思ったことをプリントに書きました。ある人は、こんなふうに書いてくれました。『汚れていたら、きれいにそうじすれば、みんないごこちがいいと思います。だから、そうじをていねいに、きれいにしたいです。わたしはそうじが大好きです。なので、そうじをていねいに、したいです。』そうじが大好きですと言える人って、とてもすてきだなと感じます。きっとすみずみまで、きれいになるように、ていねいにそうじをしているのだと思います。

これは、5年生がプール清掃をしているところです。みなさんが使っているプール、元々はとてもきたないプールでした。半年間の汚れがたまったのでしょうね。でも、この写真のように、5年生が一生懸命そうじしてくれました。そのためこんなにきれいなプールになりました。5年生の力ってすごいなぁと感じます。

このプール清掃で、5年生はどんな気持ちでやったのか、聞きました。すると、大変だったけど、きれいになったから満足感があった、とか、簡単にできると思ったけど、やってみると大変だった、これまできれいにしてくれたやえざくら学年の人を初め、これまでの5年生に感謝したいという声がありました。そんな5年生に、先生は感謝したい気持ちでいっぱいです。

また、見えないところで、こんながんばりをしてくれている2年生がいます。
 朝、校門の落ち葉をきれいにはいてくれているのです。みなさんが遊んでいる朝休みの時間に、決まって朝、校門のところをそうじしてくれています。こんな姿も、本当にうれしく感じます。

そうじではありませんが、以前、6年生が校門のところに立って、率先してあいさつをしてくれました。これは、気づいた人はたくさんいるでしょうね。でも、人の前に立ってあいさつすることは、緊張するし、とても大変なことなのです。それを進んでやってくれた6年生の室長のみなさんは、本当にすばらしいと思います。

改めて、考えてみましょう。
 附属小のよさとは何でしょうか。
 これまで道徳の授業や、様々な場面でみなさんと一緒に過ごしてきて、先生が考える、附属小のよさとは、『校長先生がおっしゃった「みんなちがってみんないい」というように、違いを認め合えたり、「見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ」というように、見えないところでがんばっていたりする附属小のみなさん一人一人』だと思います。

みなさん一人一人が、この附属小では、かけがえのない存在なのです。
 これからも、みんなですばらしい附属小をつくっていきましょう。もし、感想があったら、ぜひ中川先生まで教えてください。みなさんの感想を待ってます。
 以上で、全校道徳を終わります。
(道徳教育推進教師 中川裕幸)