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元山形大学教育学部教授 前田幸市郎先生「没後25周年メモリアル
コンサート」開催

  平成25年9月15日(土)に元山形大学教育学部教授、前田幸市郎先生の「没後25周年 メモリアルコンサート」(地域教育文化学部音楽科同窓会「山音会」関東支部主催)が開催されました。
 コンサート当日の様子を、地域教育文化学部同窓会東京支部長 宮下 洋 様よりご報告いただきました。
   

[ 恩師のメモリアルコンサートを終えて ]
   地域教育文化学部同窓会東京支部長 宮下 洋(昭和40年 特音卒)

 山形大学旧教育学部特設音楽科同窓会「山音会」関東支部主催による前田幸市郎先生没後25周年記念コンサートは、平成25年9日15日(土)川口総合文化センター・リリアメインホールで盛大に催された。前日までの雨模様をも吹き飛ばし、当日は約1000名の聴衆を迎えての熱演となった。前田幸市郎先生は東京音楽学校(現東京藝術大学)在学中から尾高尚忠、橋本國彦、クルト・ヴェスに師事され、NHK交響楽団ほかの指揮、宗教曲合唱指揮者として活躍されるかたわら1959年より20年間、山形大学特設音楽科で教鞭をとられた。その間、東京文化会館等での山形大学特設音楽科東京公演を4回開催、合唱と管弦楽の指揮をされた。筆者も在学中を含め2回もそのステージを踏ませていただいた一人である。 「教壇に立つ前に演奏ステージに立つ音楽人たれ」という厳しくも奥深い前田先生の教えは、私たちの音楽活動の原点ともなっている。
 先生の愛弟子の一人であり多くの合唱団、オーケストラの指導してこられた高橋誠也氏(38年卒)の呼びかけで没後25周年記念コンサートの計画が持ち上がり、昨年秋よりブラームス作曲「ドイツ・レクイエム」の練習を始めた。併せて母校音楽科の元教授、藤原義久先生作曲のわらべ唄のテーマによる祈りの合唱曲「北からの挽歌」の練習も同氏が担当した。毎年催してきた同窓会山音会関東支部総会は今年で40回目を迎え、記念演奏会で「北からの挽歌」が披露され、筆者もコントラバスで出演した。
 今年、幸いにして前田先生のご子息である前田幸康先生がドイツから帰国されており、「ドイツ・レクイエム」の方を指揮していただくことになった。山音会合唱団はじめ、前田先生父子が指導・指揮してこられた東京合唱団ほか多くの団体のご協力をいただいて、合唱団130名、管弦楽団65名という壮観なステージで当日を迎えた。
 ソプラノ独唱は奧山恵美子(61年卒)、バリトン独唱は宮下洋(40年卒)、母校恩師の石川治子・大堀敦子・松沢俊子・藤原義久各先生ほか多くの来賓をお迎えしての記念すべきコンサートであった。
 「ドイツ・レクイエム」の奥深さをどの程度表現しうるか、緊張と責任の重さを両肩に感じつつ毎回、曲の内容を考えて練習に臨んだが、3曲目の歌詞は「主よ、終わりを迎えなければならないわが日の残りの数のどれほどであるかを私に悟らせてください。見よ、わが日々はわずか手の幅くらいのものでしかない。空しい煩悩の為のみにあくせくして今、何を頼りにすればよいのでしょうか」。悲しみの底から光明を求めて歌い、切々とした思い、人の世のはかなさを歌い上げる曲で人生の残り時間を如何に過ごせばいいかという、今の私の心境を代弁してくれている。ともすれば自分は何を求め、何を幸せと考えて生きるのかを見失い、ただ合理的に働き合理的に衣食住のために消費する毎日を自己実現と錯覚しがちであったが、今回の演奏会を通して私はこの作品と葛藤することの面白さを味わい、前田幸康先生はじめ多くの方々と旧交を温め、楽しい日々を構築できた。本来、生きていくことの実質や喜びはこういうことなのではないかとさえ思った。神との対話という壮大な作品を通して、私は思いの丈を天上に訴えて独唱した。6曲目は「あなたがたに神秘を告げよう」「ラッパが鳴り響くと一瞬のうちに異なる状態に変えられる。聖書の言葉が成就する」と、荘重な趣きで死者の復活を告げる。このソロの部分も最も聴き手を圧倒する激しい部分が後半にでてくる曲だけに、単なる出世や金儲けなんかではなく、人は何のために生きるのかとか何か大きな存在、意義のあるものにつながる何かを考えながらの演奏が求められた。アーティキレーションを重んじつつ、ドイツ語の子音と母音の連結を明確にしながら、永遠の生命と勝利の予言者になったつもりで、力強く歌うように努めた。
 至難の大曲ではあったが、歌い甲斐のあるこの作品に出逢えて本当に良かったと思った。公演に際し、母校の地域教育文化学部や校友会のホームページに載せていただくなど、PRにご協力くださった各方面の皆様に感謝申し上げたい。





ドイツ・レクイエムの指揮は故前田先生
のご子息である前田幸康先生

会場に飾られた故前田先生の遺影


バリトン独唱は宮下洋地域教育文化
学部同窓会東京支部長

ソプラノ独唱は奧山恵美子さん





















今回のコンサートの発起人であり、「北からの挽歌」を指揮された橋誠也さん(昭和38年卒;前列右から2人目)