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医学部   長谷川  遥

タイの医療制度を知って

 今回、タイに行ったことでタイの医療体制を、一部ではあるが、詳しく知ることができた。それは日本の医療制度とは異なり、私の想像以上のものだった。私が訪れた病院は、タイで一番大きいバンコク病院である。以下は、現在もバンコク病院で働く日本人医師の仲地先生から伺った話である。
 バンコク病院は40年前くらいにできた私立病院で、あくまでビジネスとして病院経営がなされているため「福祉」というものが存在しない。慢性疾患は扱っていない救急病院で、患者の入院日数の平均は約4.2日という短さである。患者全体の約2割が外国人であり、もともと富裕層を標的にしているため、バンコク病院の医療費は日本の約2〜3倍であるという。その代り、病室は一つ一つがまるでホテルのように豪華であり、医療通訳の存在により26か国語に対応できる。
   バンコク病院での話を聞いて感じたのは、やはりタイは医療格差が激しいということである。少し田舎に行くと医療レベルは一気に落ち、診療所もあまり存在しない。所得格差が大きいので、富裕層と一般市民との間では入っている医療保険の質も異なる。また、タイでは医療費は担当した医師が決めることができ、自分が診察した分しか給料とならない。そのため、病院側も医療を福祉として見ているというよりは、ビジネスとしてある程度割り切っているような印象を感じた。そのことが決して悪いというわけではないが、私はやはり国民が平等に医療を享受できる医療体制の方がいいのではないかと思う。もっとも、高すぎる日本の医療制度にも見直す余地はある。
 ほんの2、3日の滞在ではあったが、医療に対して日本と異なる考え方を持つタイの病院を見学できたことは、医療のありかたを考えるうえで大変参考になった。