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医学部   山口  諒子

ロサンゼルス看護研修を体験して

 高校生のときから機会があれば短期留学に行ってみたいと思っていたため、比較的忙しくない1年生の春休みは絶好の機会だと思い、短期留学に行くことを決めました。大学生になってから折角行くなら、単なる語学留学ではなく、医学生として海外の医療事情や医学研修のようなことができればと思い、ネットで見つけた看護研修に参加しました。例年参加者は看護学生や看護師がほとんどと聞き、医学生の自分にはあまり関係ないだろうかと思いましたが、結果的に今回の看護研修留学に参加して本当によかったと思っています。
 看護研修の内容としては、LAC+USCメディカルセンター・ロサンゼルス小児病院・Providence Holy Cross Medical Center・日本人医師の診療所の見学、現地で働く看護師さんによるアメリカのヘルスケアシステムについての授業、CPR(心肺蘇生法)を学びライセンスを取得するプログラム、高齢者入居施設でのボランティアなどがありましたが、中でも印象に残ったのは病院見学とボランティア活動でした。大学では1年生の間は専門の講義がほとんどないうえに、それらも医学概論や化学、物理などの授業だったため、もっと医学部らしいことを早く学びたいという気持ちがありました。ロサンゼルスの中にとどまらず、全米でもトップクラスの大病院をいくつも見学し、実際にそこで働く医療スタッフの方々のお話を聞けたことで、大学に入ってから初心を忘れかけていた自分の中で、もっと勉強を頑張って早く医療の世界で役立ちたいという思いが強まったように感じます。どの病院のスタッフの方々も、わたしたちが日本の医療系の学生だと名乗ると歓待し、いろいろな器具の説明や自分の仕事の説明などを熱心にしてくださいましたが、同時に病院見学に来た留学生の相手をしているゆとりがあるアメリカの医療現場はだいぶ日本と違うなとも思いました。日本では今ひたすら医師不足、看護師不足だということが言われていますが、アメリカでは看護師が多すぎるため、年齢が高く専門看護師の資格もないとなかなか仕事につけないということもあると聞き、驚きました。また、ナースプラクティショナー(看護師ではあるが従来よりも専門性が高く、行える医療行為の幅が大きい)やチャイルドライフスペシャリスト(医療行為に伴う子供と家族の不安やストレスを軽減し、年齢相応の発達を支援していく専門家)という日本にはあまり見られない医療スタッフの方々と実際にお会いして、医療の細分化・専門化が進んでいることを実感しました。
   また、看護研修の中で一番印象に残ったのはRegency Park(高齢者入居施設)でのボランティア活動です。留学生の中にはもう実習に出ている看護学科の3年生や看護専門学校の1年生もいて、まだ専門的な座学すら学んでいない自分が外国語でのボランティア活動などできるのかと大きな不安がありました。でも実際には、高齢者の方々はゆっくり話されるのでとても聞き取りやすく、散歩の介助やハンドマッサージ、リハビリ体操などをしながらいろいろなことを英語で会話できたことが大きな自信になりましたし、とても嬉しかったです。ただ、ロサンゼルスはヒスパニック系やアジア系などの有色人種が比較的多く街中で白色人種を見かけることのほうがあまりない都市ですが、ボランティアに行った先の設備とケアシステムが素晴らしい入居施設ではほとんど白人の入居者ばかりで、貧富と人種に関わる現実を垣間見た気がしました。この留学中に見学に行った病院や診療所はどこもレベルが高く設備も立派なところばかりでしたが、郊外に行けばきっとそうでない医療施設もあるのだろうなと思います。
 看護研修以外のプログラムでは観光や英語の授業などがありましたが、どちらもとても充実したよいものでした。参加前は観光プログラムの時間が惜しいとも少し思っていましたが、逆に観光プログラムがなければ見知らぬ人と日常的な英会話をする機会はもっと少なくなっていたと思います。今回の研修の一つの特徴として、医学生だけではなく看護学生や看護師も参加したということがあげられると思いますが、すでに実習に出ている看護学科の3年生や看護専門学校の同学年の学生の話を聞くことができとてもよかったと思います。普段看護科の友人とはなかなか医療についての深い話をする機会などあまりありませんが、参加者はみなそれぞれ志を持っている人ばかりで、刺激を受けました。
 今のところ海外で働くということまでは考えていませんが、日本とまったく違う環境で医療を学ぶことの良さもよく分かったので、在学中あるいは卒業後にまた留学できる機会があればぜひ行きたいと思います。このような機会を与えてくださったことに深く感謝しつつ、4月からの勉強にも一層身を入れて頑張りたいと思います。