当初8月に予定していたサマースクールは、新型コロナウイルス感染症の全国的な感染拡大の影響により11月に延期となり、オータムスクールとして11月10日~14日、11月16日~21日の2回に分けて実施しました。今年度は、ドローン技術と人工知能の活用に焦点を当て、東北地方と北海道の森林を対象にドローンを用いた画像データの収集や、取得済みデータの分析を行いました。
 前半は東北3県を回り、岩手県では小岩井農場にあるカラマツとアカマツの植林地を尋ねました。ここは、一年ごとに決まった面積に決まった本数の苗を毎年植え続けている法正林と呼ばれる、国内でも珍しい植林地です。宮城県では、2011年の津波で枯死したクロマツの自然再生が進む石巻市渡波の海岸林を視察し、山形県では、キクイムシの発生によりアオモリトドマツの森林が広範囲にわたって破壊されている蔵王山を訪れました。
 後半は北海道と青森県を訪問し、北海道大学付属苫小牧研究林では、日本最北端の島の代表的な樹種(トドマツ・アカエゾマツ・エゾマツ)と、これらの森林が分布する土壌や気候の特徴について学びました。函館市の公立はこだて未来大学では、同大の鈴木教授よりドローンを用いた植生調査についてお話を伺いました。最後に、日本のアオモリトドマツの最北限である青森県の八甲田山を訪れ、蔵王山のキクイムシの被害状況と比較しました。
 11月29日~12月8日には、今回のオータムスクールを活用したオンラインセミナーも行いました。中国、ベトナム、イタリア、日本の学生がオンラインで議論を交わし、オータムスクールで撮影した画像を使用しながら訪問地の特徴について述べたほか、イタリアのトリノ大学に所属する博士課程の学生が関連するテーマで発表を行いました。オータムスクールを利用したセミナーは初めての試みでしたが、各国から合計40名の学生が参加し、実りの多い取り組みとなりました。