【授業概要】
・テーマ
《大正期の谷崎潤一郎とその周辺》 「文豪」谷崎のスランプ期といわれ、これまで必ずしも高く評価されてはいなかった大正期における谷崎潤一郎の文学的営為を、今一度たどりなおす。同時代の文学・社会と深く関わって出立し、先駆的な様式を次々と採用して変化し続けたこの時期のテクスト群は、幻想小説という手法の可能性と臨界とを探り尽くす実験としてあった。この講義ではその内実を総合的に探求する。
・到達目標
日本近現代文学史に関する概説的知識を身につけたうえで、文学テクストを分析する技法を習得し、大正期の日本文学についての知見を踏まえた、谷崎テクストに関するオリジナルのレポートを執筆できる。
・キーワード
日本近代文学 谷崎潤一郎 夏目漱石
【科目の位置付け】
学部・学科のカリキュラムポリシーとの関連については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解した上で履修して下さい。
【授業計画】
・授業の方法
プリント資料とコンピュータスライドを使用する。リアクションペーパー等を用いて受講者の理解度を確認し、質問を受け付ける。
・日程
1 ガイダンス 2 谷崎文学と「思想」性 第1部 漱石の影響 3 「それから」現象 4 「「門」を評す」の主張 5 実篤、荷風と谷崎 第2部 幻想文学とマゾヒズム 6 「刺青」冒頭を巡って 7 贋の記憶の物語 8 ドゥルーズのマゾヒズム論と谷崎テクストの構成 9 中間レポート講評 第3部 先駆的なミステリ様式として 10 「幇間」における視線の抗争 11 浅草というトポス 12 「秘密」のありか 13 恋人の見失い方 まとめ 14 幻想の臨界 15 初期谷崎小説の射程
【学習の方法】
・受講のあり方
提示された資料を利用して、自分のノートを作成する(コンピュータスライドは配布しません)。
・授業時間外学習へのアドバイス
[予習のあり方]授業内で予告されたテクストに目を通してくる(全て短編です)。 [復習のあり方]ノートを整理し、学期末のレポートに備える。
【成績の評価】
・基準
主体的な参加の度合い、知識の修得、理解の度合い、汎用的技能(論理性、表現力)に関して、中間レポートを含む授業内提出物と期末レポートによって評価する。講義内容を理解できたか、それを踏まえてオリジナルの見解を立論できかたを見る。
・方法
授業内提出物30点、学期末レポート70点
【テキスト・参考書】
[テキスト(購入必要)]谷崎潤一郎『刺青』(新潮文庫) 他にはプリント配付
【その他】
・オフィス・アワー
水12:30〜14:00、他時間はメールでアポイントを取って下さい。
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