【授業概要】
・テーマ
「所得再分配政策、景気安定化政策、社会資本整備、政府の失敗」 財政は、政策を行うための支出である歳出と、その財源である歳入とに大きく分けることができる。この授業では、財政学における歳出のトピックを中心に学ぶ。財政の役割と仕組みについて概観した後、所得再分配、景気安定化、社会資本整備について解説していく。所得再分配では、社会厚生関数という概念を導入することにより、所得移転や公的保険の経済学的な意味づけを行う。また、保険市場の失敗から公的保険の必要性が説明される。景気安定化では、それを異時点間の所得平準化として位置づけ、その効果を批判的に検討する。社会資本整備では、その経済効果を整理するとともに、公共プロジェクトの評価手法である費用便益分析を学ぶ。最後に、政府がその役割を果たすことに失敗してしまう政府の失敗を解説して、現実の政策をみる上での視座を得る。
・到達目標
所得再分配政策、景気安定化政策、社会資本整備がどのような目的で行われているのか、これらの政策にどれだけの効果を期待することができるのかを体系的に理解するともに、実際にこれらの政策を行う政府が有する不完全性(政府の失敗)についても理解し、現実の政策を考察することができる。
【科目の位置付け】
学部・学科のカリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解した上で履修してください。
【授業計画】
・授業の方法
授業は板書による講義形式で行われる。授業の最後の10分はレスポンス・カードに講義概要と質問事項をまとめる時間に充てられる。なお、質問には授業内で回答する。
・日程
第1回:財政の役割と仕組み(unit 1, 2) 第2回:所得再分配政策(1)所得再分配政策と社会厚生関数(unit 7) 第3回:所得再分配政策(2)リスク回避選好と保険市場(unit 8) 第4回:所得再分配政策(3)保険市場の失敗と公的保険の必要性(unit 8) 第5回:所得再分配政策(4)社会厚生関数と所得再分配制度(unit 8) 第6回:景気安定化政策(1)異時点間の所得平準化としての財政政策(unit 9) 第7回:景気安定化政策(2)財政政策の効果(unit 9) 第8回:景気安定化政策(3)財政政策の効果と公債の中立命題(unit 9) 第9回:前半まとめ 第10回:社会資本整備(1)社会資本整備の効果とその歴史(unit 10) 第11回:社会資本整備(2)費用便益分析に基づく意思決定(unit 10) 第12回:社会資本整備(3)便益評価の方法(unit 10) 第13回:政府の失敗(1)多数決原理(unit 12) 第14回:政府の失敗(2)官僚行動、レントシーキング(unit 12) 第15回:後半まとめ ※unitはテキストに対応する。
【学習の方法】
・受講のあり方
知識の修得、理解の度合い、参加の度合いを評価するために、レスポンス・カードに講義概要(ポイント)をまとめてもらうので、集中して講義を聴くこと。また、レスポンス・カードにより質問を受けるので、疑問に思うことはメモを取りながら講義を聴くこと。もちろん、口頭による質問も受ける。
・授業時間外学習へのアドバイス
テキストを通読して授業に臨み、授業後はテキストを精読してノートを整理すること。この際、テキストの各unitの終わりに要約があるので活用すること。
【成績の評価】
・基準
期末試験とレスポンス・カードにより、知識の修得、理解の度合い、汎用的技能(論理的思考力、文章表現力)、参加の度合いのそれぞれの項目について判定し、その合計点を用いて判定する。基準は、1)所得再分配政策、景気安定化政策、社会資本整備の効果と効果を体系的に理解しているか、2)政府の失敗を理解し、現実の政策をみる基本的な思考力が身についているか、である。なお、期末試験によって知識の修得、理解の度合い、汎用的技能(論理的思考力、文章表現力)を評価し、レスポンス・カードによって知識の修得、理解の度合い、参加の度合いを評価する。
・方法
定期試験とレスポンス・カードにより100点満点で評価する。定期試験とレスポンス・カードのウェイトはそれぞれ80%と20%である。なお、定期試験には5題中4題に解答する記述式問題が出題される。定期試験の解答時間は60分である。
【テキスト・参考書】
テキスト:畑農鋭矢・林正義・吉田浩著,『財政学をつかむ[新版]』,有斐閣.2500円,2015年(財政学(前期)と同じテキスト). 参考書:『図説日本の財政』(各年度版),東洋経済新報社,2400円;『図説日本の税制』(各年度版),財経詳報社,2100円.
【その他】
・オフィス・アワー
木曜日13:00~14:30
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