ヨーロッパ経済論(前期)
 European Economy
 担当教員:藤澤 利治 (FUJISAWA Toshiharu)
 担当教員の所属:非常勤講師(法政大学経営学部教授)
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:集中講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業概要】
・テーマ
「戦後ヨーロッパ経済の史的展開」
第2次世界大戦後におけるヨーロッパ経済の歴史過程を、EC/EU(欧州共同体/欧州連合)の発展過程に沿って理解することを目的とする。
具体的には、1952年にフランス、西ドイツ、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクそしてイタリアの6カ国が加わって結成されたECSC(欧州石炭鉄鋼共同体)から出発して、57年のEEC(欧州経済共同体)、Euratom(ユーラトムあるいはEAEC、欧州原子力共同体)の設立、67年にはこれら3共同体の上部機関としてEC(欧州共同体)が設立され、さらに93年11月からEU(欧州連合)に発展し、政治・経済統合の新しい段階を迎えたプロセスを概観する。そこには、ヨーロッパが関税同盟、市場統合、経済通貨統合を進展させてきた歴史プロセスを理解することに意義がある。
・到達目標
欧州共同体(EC)は何を目指して形成されたのか、ヨーロッパ経済統合の成功によってさらに統合を深めた経済通貨同盟(EMU)は何をめざし、どういう内容であったのかを理解し、説明できるようになる。同時に、戦後のヨーロッパ経済史について基礎的な知識を習得できる。
・キーワード
欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)、欧州原子力共同体(EAEC、Euratom)、欧州経済共同体(EEC)、関税同盟、EC/EUの深化と拡大、規模の経済、地域経済統合、通貨統合、マーストリヒト条約、経済通貨同盟(EMU)

【科目の位置付け】
学部・学科のカリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解したうえで履修してください。

【授業計画】
・授業の方法
毎回、配布する講義レジュメと資料に基づき講義を進める。必要に応じて資料を回覧し、DVD等の映像資料も利用する。
 授業は以下のように進める。
1)講義の中で質疑応答の時間を取る。
2)その日の授業の最後に授業内容についてのレポートを提出してもらう。
3)次の日の授業の冒頭でこのレポートへのコメントを行う。
・日程
第一回 ヨーロッパ経済の概要と特徴
第二回 第2次世界大戦とヨーロッパ経済
第三回 ヨーロッパの再建と復興
第四回 欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)の結成
第五回 欧州経済共同体の結成
第六回 欧州原子力共同体の結成
第七回 共同市場の形成と関税同盟の完成
第八回 欧州自由貿易連合(EFTA)の結成
第九回 ニクソンショック、石油危機とEC(欧州共同体)
第十回 欧州通貨制度(EMS)の結成
第十一回 域内市場統合の完成
第十二回 欧州における冷戦の終焉とドイツ統一
第十三回 マーストリヒト条約の成立と通貨統合への挑戦
第十四回 欧州通貨統合のプランと準備
第十五回 通貨統合の意義:前期のまとめ

【学習の方法】
・受講のあり方
授業は講義を中心にするが、単に講義レジュメを読むだけでなく、新聞やテレビのニュース等で、EU経済に日ごろから関心を持ってください。配布資料を事前に読みポイントを押さえて講義に出席してください。
・授業時間外学習へのアドバイス
講義内容をきちんとノートにとり、配付した資料を理解すること。戦後の世界と日本の歴史をあらかじめ概観しておくこと。
「予習のあり方」
配布されたレジュメをあらかじめよく読んでおくこと。また、参考文献等で第2次世界大戦以降の世界史、特にヨーロッパ史の流れをよく理解して授業に臨んでください。
「復習のあり方」
 授業で出てきた理論や事柄のうち、理解が不確かな概念や事項については参考文献等で必ず調べ、十分に理解しておくこと。

【成績の評価】
・基準
最終日の論述式の試験と、毎日の授業の最後に課す小レポートによって、知識の習得、理解の度合い、論理的思考力、文章表現力、主体的な参加の度合いのそれぞれについて判定し、その合計点で評価する。
具体的には、
1)欧州経済統合の歴史過程を正しく説明できること、2)そこで用いられる基礎的概念や考え方を正しく理解していること、そして3)それぞれについて文章で正しく表現できること、を基準とする。
・方法
期末試験(70点)、小テスト(30点)。

【テキスト・参考書】
配布するレジュメと資料をテキストにする。
参考文献は以下の通り。
1.田中・長部・久保・岩田著『現代ヨーロッパ経済〔第4版〕』(有斐閣アルマ、2014年)
2.藤井良広『EUの知識〔第16版〕』(日経文庫、2013年)
3.SGCIME編『増補新版 現代経済の解明』(御茶の水書房、2014年)

【その他】
・学生へのメッセージ
前期・後期の2単位分割であるが、内容を通年で完了するように構成しているので、通年で履修することが望ましい。

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