極東地域論
 Russian Far East Studies
 担当教員:天野 尚樹(AMANO Naoki)
 担当教員の所属:人文学部人間文化学科
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業概要】
・テーマ
山形県と日本海をはさんで向かい合うロシア極東地域について、日本とのつながり方を意識しながら、歴史的関係性のなかで地域の相貌を捕まえることが狙いです。この地域は、日本では「極東ロシア」と呼ばれることも、「ロシア極東」と呼ばれることもあります。「極東のロシア」ととらえるか、「ロシアの極東」ととらえるか、その見方の違いで、まったく異なった地域像が立ちあらわれてくる、実に興味深い地域です。国境で区切られることの意味を考え、国境を越えるつながりを知ることで、国際関係と地域間関係の重層的な視点から世界をみる見方を学びます。
・到達目標
ロシア極東の地域形成と日露関係史の概要を知り、ロシア極東と向き合うための心がまえの軸ができること。地域の見方、地域のつながり方への意識、地域から世界をみる視点が養われること。
・キーワード
火曜日 12時10分から12時50分、金曜日 12時10分から12時50分。その他在室時は随時受け付けます。

【科目の位置付け】
学部・学科のカリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解したうえで履修してください。

【授業計画】
・授業の方法
以下の日程にしたがって講義します。史料や地図を含むプリントを毎回配布します。世界情勢次第で講義の内容が変化することがありえます。
・日程
1 ガイダンス
【I 「極東ロシア」と向き合う】
 2 下田条約と日露国境
 3 サンクトペテルブルグ条約と日露国境
 4 日露戦争とサハリン島
 5 シベリア出兵とサハリン島
 6 日ソ戦争と日ソ国境
 7 北方領土問題とは何か
【II 「ロシア極東」とつながる】
 8 ロシアの極東進出とウラジオストク
 9 ウラジオストクの日本人移民
 10 ロシア極東の朝鮮人ネットワーク
 11 サハリン島の山形県民
 12 環日本海地域の歴史と現在
 13 環オホーツク海地域の可能性
 14 切断する国境と国境を越える地域
 15 ロシア極東地域の向き合い方

【学習の方法】
・受講のあり方
遠い国や時代のことではなく、いまの自分の問題だという意識をもって授業を聞いてほしい。大切なのは想像力です。
・授業時間外学習へのアドバイス
授業で紹介した参考文献を積極的に読むこと。種々のメディアを通して地域にアクセスすること。世界にアンテナをはりつづけること。

【成績の評価】
・基準
「主体的な参加の度合い」、「知識の修得の度合い」、「理解の度合い」、「汎用的技能の修得の度合い(論理的思考力、文章表現力など)」の4つの評価基準で評価します。
・方法
講義内容に関連した内容から問題を設定した中間小レポートを1回、学期末レポート1回の提出を求めます。講義内容と参考文献の理解力および論理的説得力を評価します。
小レポート  40点
期末レポート 60点

【テキスト・参考書】
テキストは指定しません。参考文献は授業で紹介しますが、特に以下の参考書はぜひ熟読してください。原暉之『ウラジオストク物語:ロシアとアジアが交わる街』(三省堂)。古厩忠夫『裏日本』(岩波新書)。岩下明裕『北方領土問題:4でも0でも2でもなく』(中公新書)。

【その他】
・学生へのメッセージ
ロシア極東はおもしろい。予備知識は不要です。複雑な世界を見通す眼を養いたいひと、歴史の魅力を実感したいひと、ロシアが気になるひと、積極的な受講を歓迎します。やわらかな頭と豊かな想像力、あふれる好奇心をもって教室にきてください。
・オフィス・アワー
火曜日 12時10分から12時50分、金曜日 12時10分から12時50分。その他在室時は随時受け付けます。

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