【授業概要】
・テーマ
本講義においては、受講者との対話を通して、憲法上の権利に関する代表的な判例の分析を行い、人権理論と判例法理についての発展的・応用的な理解を目指す。憲法Ⅰ(2年次開講科目)で扱うことのできなかった古典的な判例を検討しつつ、最新の重要判例を読解・分析・解説することにより、人権保障に関する現代的課題を受講者と共に考えてみたい。毎回適度な長さの判決文を事前配布し、読解に当たってのヒントや注意点を予告する。授業当日は、判決文を読んできたことを前提に受講者に質問しながら判決文を読み解いていく。
・到達目標
①人権論に関する学説や判例の発展的な理解を得ることができる。特に判例の分析を通して、人権論の現代的課題と判例の読み方それ自体を習得することができる。 ②憲法学だけでなく、他の法学分野にも共通する「法的思考」に磨きをかけることができる。 ③現代日本社会の問題を人権論の視点から分析・検討する力を養うことができる。
・キーワード
人権論、判例研究
【科目の位置付け】
学部・学科のカリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解したうえで履修してください。
【授業計画】
・授業の方法
レジュメを配布する講義ではあるが、対話形式を重視する。
・日程
以下の日程を考えているが、受講者の様子を見ながら、判例の選択や順番を変更することがあり得る。 1.イントロダクション 2.平成7年非嫡出子相続分差別合憲判決 3.平成25年非嫡出子相続分差別違憲判決 4.国籍法違憲判決 5.女性のみ6ヵ月再婚禁止違憲判決 6.夫婦同氏制合憲判決 7.遺族年金男性差別訴訟判決 8.泉佐野市民会館事件・上尾市福祉会館事件 ~公の施設と集会の自由 9.福岡県青少年保護育成条例事件 ~淫行禁止条例の不明確性 10.税関検査事件 ~検閲の定義・合憲限定解釈の条件 11.広島市暴走族追放条例事件と合憲限定解釈 12.薬事法距離制限規定違憲判決 ~経済的自由権 13.砂川政教分離訴訟 ~信教の自由と政教分離 14.生活保護老齢加算廃止訴訟 ~社会権 15.まとめ
【学習の方法】
・受講のあり方
対話形式で講義を進めていくため、受講者には積極的に発言することが求められる。判例のポイントを把握するために、適切にメモを取ること。
・授業時間外学習へのアドバイス
毎回事前に判決文を読み、自分なりの分析をしてくること。判断の決め手となる部分や疑問点などをチェックしてくること。判決文を読まずに出席しても得るものは少ないであろう。授業後は判決文の主要な論点を再度確認し、次の読解のための基礎とすること。
【成績の評価】
・基準
論述試験(2回)により、知識の習得、理解の度合い、汎用的技能(論理的思考力、文章表現力)、主体的参加の度合いを評価する。1)重要概念の把握、2)主要判例における判断枠組の正確な理解、3)論理的構成力、4)私見の独創性を基準とする。
・方法
中間試験(50点)・期末試験(50点)
【テキスト・参考書】
特に指定しない。講義の中で適宜指示する。
【その他】
・学生へのメッセージ
発言することを恐れないで欲しい。本講義は公務員試験対策にもなるし、法科大学院進学希望者にとっても得るところがあると思われる。
・オフィス・アワー
木曜 15時~17時
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