【授業概要】
・テーマ
私法分野への入門科目であるこの授業では、私法の一般法としての民法について、その全体像を概観すると共に今後の民法学習に備え基礎的概念を説明する。また私法分野を素材に法解釈や判例の役割についての基本的理解を深めていく。
・到達目標
私法の特徴について説明できるようになる。民法の全体像を理解する。 民法学習において知っておくべき基礎知識を身につける。
・キーワード
私法、民事法、民法、私的自治
【科目の位置付け】
学部・学科のカリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解したうえで履修してください。
【授業計画】
・授業の方法
講義形式で行う。論点提示や参考文献紹介のためのレジュメを配布する。
・日程
概ね以下の通りに進行する。詳細な日程は授業初回に提示する。 1.イントロダクション:私法の全体像 2.私法と紛争解決 ―隣人訴訟 3.権利の体系としての民法 ―宇奈月温泉事件 4.民法における人間 ―阪神電鉄事件 5.権利の実現と公序良俗 ―酌婦前借金事件 6.信義則の役割 ―マンション分譲契約交渉破棄事件 7.歴史の中の民法 8.前半のまとめ 9.経済学からみた民法 10.民法における一般法と特別法 ―制限超過利息返還請求事件 11.民法と憲法 ―自衛官合祀事件 12.現代社会と民法 ―成年後見制度 13.家族の法(1) 14.家族の法(2) 15.授業全体のまとめ
【学習の方法】
・受講のあり方
ノートをとりながら受講する。 リアクションペーパーを活用し、疑問点を積極的に質問する。
・授業時間外学習へのアドバイス
ノートをまとめ直し、授業内容を振り返る。 法律の条文が出てきた際には必ず『六法』によって内容を確認する。専門用語については『法律学小辞典』(有斐閣)等の参照が有益である。
【成績の評価】
・基準
筆記試験によって、授業を的確に理解し基礎知識を修得できているか、考えたことを論理的に叙述できるかを見る。これに授業への主体的な参加度合いを加味する。
・方法
中間試験(40%)、期末試験(50%)、授業への主体的な参加度合い(10%)。
【テキスト・参考書】
テキストは使用しない。『六法』を持参すること(小型のもので構わない)。
参考書 河上正二『民法学入門 ―民法総則講義・序論[第2版]増補版』2014年、日本評論社。 池田真朗『民法はおもしろい』2012年、講談社現代新書。川田昇『ゼロからわかる民法』2007年、平凡社新書。(この両新書はどちらも平易な民法入門書である。) 我妻榮(遠藤浩・川井健補訂)『民法案内1 私法の道しるべ 〔第2版〕』2013年、勁草書房。
【その他】
・学生へのメッセージ
授業で素材とする裁判例について、理解を深めたい受講生には上掲『民法学入門』を推薦します。歯応えがありますが挑戦する価値の大きな一書です。『民法案内1』の著者・我妻榮(1897年~1973年)は米沢出身の民法学者です。名著との誉れ高いこの書籍の一読もすすめます。
・オフィス・アワー
金曜日10:30~12:00(これ以外でも研究室在室中は随時可能)/人文2号館3階、池田(弘)研究室。
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