【授業概要】
・テーマ
数学のユーザー(物理)の立場から,1変数関数の微分積分と多変数関数の微分積分を学びます。1変数関数の微分積分では,高校での微積分の復習に加えて,初等関数,テイラーの定理,広義積分,無限級数などの「初等解析」を学ぶことがテーマです。多変数関数の微分積分では,偏微分,全微分,重積分,線積分と面積分などの新しい事項を学び,物理で用いられる「ベクトル解析」の基礎を理解することがテーマです。
・到達目標
物理で使用される1変数関数と多変数関数の微分積分について,基本的な概念を理解し,今後,専門教育科目の履修で必要となる具体的な計算力を確実に身につけることです。
・キーワード
初等解析,ベクトル解析
【科目の位置付け】
これから物理を学んでいく上で必須となる数学,すなわち初等解析とベクトル解析の基礎を習得するための授業です。微分と積分の基本概念をしっかりと理解し,必要な計算力を養うことをねらいとする必修科目に位置付けられます。
【授業計画】
・授業の方法
通常の講義形式で,内容を板書しながら授業を進めます。授業で取り上げる各テーマについては,まとめ,例題と演習問題のプリントを配布します。毎回,授業で学んだ内容についてレポート課題を課して,内容の理解を深めます。
・日程
取り上げる内容の主要なテーマとその順序は,次のとおり(カッコ内は,予定授業回数)です。 I 1変数関数の微分積分 1 初等関数(1) 4 テイラーの定理(1) 2 関数の極限(1) 5 初等関数の積分(2) 3 初等関数の微分(2) 6 広義積分(1) II 多変数関数の微分積分 1 多変数関数(1) 3 重積分(2) 2 多変数関数の微分法(3) 4 線積分,面積分(1) III 級数 (時間が許せば) 1 無限級数 2 フーリエ級数
【学習の方法】
・受講のあり方
毎回,授業で学んだ内容に関するレポート課題を課します。必ず,解いて提出してください。できるだけ自習して,受身の姿勢で受講しないように努めてください。板書を単に筆写するだけでなく,理解を助けるために,内容をまとめた自家用ノートを作成する,演習問題を自分で解く,つくってみるなどしてください。
・授業時間外学習へのアドバイス
授業で扱うテーマについて,あらかじめ,選んだテキストに目を通してください。 この授業に対応する演習科目はありません。毎回出題するレポート課題に加えて,テキストや配布したプリントの演習問題を実際に解いてください。解析学の基本概念と計算力が身について,授業内容の理解が確実に深まり,今後の専門科目の履修が容易になります。プリントの演習問題は略解も配布しますので,活用してください。 授業ですべてのことを扱えるわけではありません。テキストを最後まで読み通して,解析学(級数を含む)全体を理解するように努めてください。
【成績の評価】
・基準
初等解析とベクトル解析の基本的な概念を理解し,具体的な微分積分の計算を正確に行う力を身につけていることが合格の基準です。
・方法
毎回の授業でレポート課題を課し,期末に筆記試験を行います。基本的には筆記試験(50%),レポート課題(50%)の重みで評点とします。
【テキスト・参考書】
授業は特定のテキストに準拠しません。自分が気に入ったテキスト,演習書を一組選択してください。 初等解析,ベクトル解析の教科書や参考書はほんとうにたくさんあります。代表的なテキストを例示すると,次のとおりです。 テキスト: 山形大学 数理科学科編,「微分積分入門 -1変数-」,裳華房 テキスト: 和達三樹著,「理工系の数学入門コース1 微分積分」,岩波書店
【その他】
・学生へのメッセージ
伝統的な「解析学」への本格的な入門書は,次のとおりです。かつての教養(基盤)教育において,微分積分学の標準的なテキストであったこれらの本を読みこなすには相当の忍耐と努力が必要ですが,どれかを持っていると,物理を学ぶさまざまな場面で役立ちます。「微積分は二度(何度も)学べ」ということを忘れないでください。 参考書: 高木貞治著,「定本 解析概論」,岩波書店 参考書: 杉浦光夫著,「基礎数学 2,3 解析入門 I,II」; 杉浦光夫他著,「基礎数学 7 解析演習」,東京大学出版会 参考書: 溝畑 茂著,「数学解析 上,下」,朝倉書店 参考書: 小平邦彦著,「解析入門 I,II」,岩波書店
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