物質は、構成元素間の化学結合性の違いから、様々な結晶構造をとることで知られています。また、それによって物質特有の性質が出現します。この講義では、現在知られている結晶構造と、それを決定する実験的手段について解説します。また、組成比や温度によって出現する結晶構造（相）変化についても学びます。

構造化学の概略と実験的手法について説明できること、および化学平衡に関する熱力学的な考察力を身につけることを目標とします。

物理化学、構造化学、平衡、相転移

この授業は、理学についての深い知識を修得し、自己の中に体系化することにより、幅広い視野と探究心を身につけることを目的とします。（理学部ディプロマ・ポリシー）

講義形式で授業を進めます。毎回、理解度アップを目的とした演習を行います。

第１～４回．結晶学
・対称性と結晶構造 ・粒子線回折（Ｘ線、中性子線）
第５～６回．乱れた結晶及び非晶質の構造
・欠陥 ・準結晶 ・アモルファス ・液体金属
第７回. 中間総括
第８～１０回．物理平衡と化学平衡
・エントロピー、自由エネルギーと平衡 ・化学ポテンシャルと平衡
第１１～１４回．相転移と相平衡
・相間の平衡の条件 ・様々な相図
第１５回．総括

板書により講義を進めます。その内容のみをただ単純にノートするのではなく、講義中の話をよく聞いて、乱雑でよいからノートに書き加えるように心掛けてください。

あらかじめテキストの該当箇所を一度読んでおくだけで、授業での理解度に違いが出ます。乱雑にメモしたノートをもとに、その日のうちに少し内容を整理するだけで、理解度アップにつながります。それをしないと、講義で聞いた内容を忘れてしまいます。テキストの該当箇所を理解できるまで繰り返し読むことも重要です。

結晶構造学の基礎的内容を理解し説明できること、熱力学的基礎概念を応用して諸事象を論理的に考察できることを成績評価の基準とします。

以下のような複数の演習作業の結果から、総合的に成績を評価します。
理解度確認演習（２０点）、総括時の確認テスト（８０点）

テキスト：アトキンス著「基礎物理化学?分子論的アプローチ?」上・下巻 （東京化学同人）
参考書：授業中に適宜紹介する。

全く新しい物質を合成したとき本当に目指したものが出来ているか、特異な機能がなぜ出現するのかを解明したいといった時に、構造解析で得られる情報が大変に重要になります。また、統計熱力学的な概念も、物質の物理的・化学的安定性を議論するときなど、様々なところで威力を発揮します。いずれも物質生命化学科の皆さんに知ってもらいたい大切な分野です。

質問のあるときはいつでもどうぞ。