物質構造化学精選C
 Selected Topics in Material Chemistry C
 担当教員:丸山健二(MARUYAMA Kenji)a, 芥川智行(AKUTAGAWA Tomoyuki)b
 担当教員の所属:理学部非常勤講師
 開講学年:3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:集中講義
 開講対象:物質生命化学科  科目区分:選択科目 
【授業概要】
・テーマ
【この科目は、2名の講師による集中講義として実施します。単位を取得するには両講師の講義の受講が必要です。】
物質は、非常に多くの原子や分子が凝集して形成されている。この凝集の仕方は結晶のように規則的なものから、液体など不規則なものまで千差万別である。この講義では、物質の構造の概略を説明した後、物質の構造を実験的に解析する方法を解説する。また、大型加速器(J-PARC、SPring8)を用いた実験の発展についても触れる予定である。(丸山)
π電子系有機分子から成る分子集合体の結晶構造と電子構造から導かれる導電性や磁性機能を講義する。さらに、強誘電性などの発現などを含めて、有機デバイスの分子設計と将来展望について理解させる。(芥川)
・到達目標
原子・分子の集合における、秩序・無秩序といった概念を理解できるようにし、この情報をもとに、粒子線の散乱の説明ができるようになることを目標とする。(丸山)
有機固体の物性に関する基礎知識を習得し、分子設計と固体物性の関係を原理的に理解し、次世代有機デバイスを構築する際に必要な、分子設計から分子集合体設計に至る道筋を、化学構造式から思考し、その機能性を判断できるようになる。(芥川)
・キーワード
対称性、X線、中性子線、散乱・回折、粒子加速器(J-PARC、SPring8)(丸山)
分子性結晶、結晶構造、バンド構造、導電性、磁性、強誘電性(芥川)

【科目の位置付け】
物質の構造解析の最新の方法および有機電子材料における専門知識を身に着けることを目的とする。

【授業計画】
・授業の方法
粒子線散乱や、構造解析についてできるだけイメージとして理解できるように、数式に頼らないで解説する。また、最新の実験施設等について写真等を紹介したい。(丸山)
π電子化合物の設計、X線結晶構造解析、バンド構造、電気伝導度、磁気的性質、分子エレクトロニクスについて解説する。試料をその都度配布し、その内容に沿って進める。(芥川)
・日程
1日目(丸山)
・物質の構造とは何か・秩序と無秩序、結晶などの簡単な実例・構造の解析法、粒子線・散乱の法則1 少数個の原子
2日目(丸山)
・散乱の法則2 結晶、対称性・中性子の利用、加速器の利用
1日目(芥川)
・授業の進め方とガイダンス・電荷移動錯体とΠ電子系の設計・結晶構造・固体中の電子スピンとバンド構造
2日目(芥川)
・有機結晶のバンド構造における特徴・電気伝導性と磁気的性質・誘電的性質・有機デバイス

【学習の方法】
・受講のあり方
この科目は、2名の講師による集中講義として実施します。単位を取得するには両講師の講義を受講する必要があります。日程、講義室については掲示を参照してください。講義は講義資料を元に、板書等により授業を進めるので、各自ノートにまとめること。
・授業時間外学習へのアドバイス
講義内容に関連する教科書を読むことで理解が深まる。

【成績の評価】
・基準
原子・分子の集合における、秩序・無秩序といった概念の理解、および粒子線の散乱の説明ができるようになることを評価基準とする。(丸山)
電荷移動錯体の結晶構造と電子構造、および伝導、磁気、誘電物性について、分子設計から理解できるようになる事を合格基準とする。(芥川)
・方法
レポート提出(丸山50点、芥川50点)により評価する。

【テキスト・参考書】
・テキスト:資料を配布するので使用しない。(丸山、芥川)
・参考書:物理化学や固体物性の教科書が参考になります。(丸山)
     ”有機物性の基礎”斉藤軍治 化学同人、”理工学選書 物性化学”坂田亮 著 培風館、”分子結晶”J. D. Wright著 化学同人、”固体の電子構造と化学”P. A. Cox著(魚崎浩平 他 訳) 技法堂出版 等 (芥川)

【その他】
・学生へのメッセージ
構造解析については、習ったことがない人もいるかと思います。わかりやすく説明したいと思います。(丸山)
研究者として必要な姿勢、どの様に大きな発見に出くわすかなどについても適時紹介します。(芥川)

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