生命反応化学精選C
 Selected Topics in Chemistry for Biological Reaction C
 担当教員:東郷 秀雄(TOGO Hideo)・佐藤 宗太(SATO Sota)
 担当教員の所属:理学部非常勤講師
 開講学年:3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:物質生命化学科  科目区分:選択科目 
【授業概要】
・テーマ
二人の非常勤講師より、有機フリーラジカルと分子の精密構造決定について講義していただく。それぞれの担当分野についてシラバスを記載した。
〔東郷〕有機フリーラジカルの基礎と、その特性・機能性・機動性、及び有機合成化学的利用に関して講義する。
〔佐藤〕有機・錯体分子の精密構造決定の最前線 ~分子設計によるNMR機能開発への展開~
・到達目標
〔東郷〕生体や自然界に深く関わる有機フリーラジカル反応を広く理解するとともに、極性反応などには見られない有機フリーラジカル反応特有の反応を理解し、医薬や農薬、機能材料などの有機合成に適用できる力を身につける。
〔佐藤〕有機分子や錯体分子の構造決定法の基礎を身につける。その上で、最先端の応用的な構造決定の実際を知ることで、ルーチンでは解析できない場合の解決策を学ぶ。また、構造解析にとどまらず、分析法からアイディアを得て展開された、特別なNMR機能を有する分子の設計・開発研究について学び、分析化学と合成化学の融合的な研究を総合的に理解する。
・キーワード
〔東郷〕フリーラジカル、酸素ラジカル、炭素ラジカル、窒素ラジカル、環化反応、付加反応、置換反応、官能基変換反応、SH2反応
〔佐藤〕核磁気共鳴(NMR)、質量分析、単結晶X線構造解析、残余双極子相互作用(RDC)、分子設計

【科目の位置付け】
この講義は,有機合成法の一つであるラジカル反応と、種々の分子の構造決定法に関する深い知識を修得し,自己の中に体系化することにより,幅広い視野と探究心を身につけることを目的とする。(理学部ディプロマポリシー)

【授業計画】
・授業の方法
〔東郷〕配布した資料をもとに、進めていきます。〔佐藤〕スライドと板書を併用して講義します。また、適宜プリントを配布して説明します。
・日程
〔東郷〕1. 有機フリーラジカルの性質、特性、及び物理化学的データ; 2. ラジカル環化反応; 3. ラジカル付加反応; 4. 芳香環のラジカル置換反応; 5. 分子内水素引き抜き反応: Barton反応; 6. 糖やヌクレオシドの脱酸素化反応: Barton-McCombie反応; 7. Barton脱炭酸反応; 8. Wohl-Ziegler反応; 9. 有機フリーラジカルの医薬や天然物への合成的利用
〔佐藤〕1. NMRの原理と基礎; 2. 質量分析の原理と基礎; 3. X線結晶構造解析の原理と基礎; 4. NMRの応用的利用法; 5. 解析困難な分子の構造解析への挑戦; 6. NMR機能を有する分子の開発

【学習の方法】
・受講のあり方
〔東郷〕私語、飲食、喫煙、そのほか受講生の迷惑となる行為を行った場合は、受講を取りやめて欠席扱いとする。〔佐藤〕スライドや板書のみならず、口頭での説明をノートに筆記する。疑問点や説明不足の点があれば質問して下さい。
・授業時間外学習へのアドバイス
〔東郷〕予習は特に必要ないが、講義に対する質問、感想、コメントがある場合は、休憩時間や講義後に質問すること。〔佐藤〕基礎的な内容から講義しますが、有機分子や錯体分子の構造決定を実際に行った経験があると、講義内容の理解が深まります。基礎的な知識と最新の研究成果のつながりを理解できることが望ましいです。

【成績の評価】
・基準
〔東郷〕有機フリーラジカル反応特有の反応を理解し、医薬や農薬、機能材料などの有機合成に適用できる力を身につけること。出席とレポートから評価する。〔佐藤〕有機分子や錯体分子の構造解析に関連して、基礎的な事項や専門用語を説明できる。授業をとおして学んだ構造解析法を応用した研究に関する知識をもとに、わからない点を明確にしながら主体的に考察できること、それを論述できることが合格の基準です。
・方法
〔東郷〕出席25点、レポート25点、合わせて合計50点とする。〔佐藤〕レポート35点+平常点(出席、質疑応答等を含む)15点。
それぞれの講義の合計を最終的な成績とする。

【テキスト・参考書】
〔東郷〕テキスト:プリントなどを配付する。
参考書:「有機合成のためのフリーラジカル反応-基礎から精密有機合成への応用まで-」、東郷秀雄著、講談社サイエンティフィク
上記の参考書などを購入する必要はありません。
〔佐藤〕
テキスト:特に指定しません。必要に応じて適宜プリントを配布します。
参考書:「初歩から学ぶNMRの基礎と応用」(竹内敬人・加藤敏代・角屋和水、朝倉書店)、「有機化学のための高分解能NMRテクニック」(T.D.W.クラリッジ、講談社)、「有機質量分析」(山口健太郎、共立出版)、「X線結晶構造解析入門」(大場茂・植草秀裕、化学同人)

【その他】
・学生へのメッセージ
〔東郷〕素晴らしいフリーラジカル反応の特異性を探ってみよう。〔佐藤〕構造解析の基礎的事項を学習するとともに、楽しい研究の最前線の話も楽しんでもらえるように用意しています。
・オフィス・アワー
理学部内連絡先 近藤慎一

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