【授業概要】
・テーマ
循環器(2週間)のコースで循環器系の構造と機能を理解し、主な循環器疾患の病態生理、原因、診断と治療について学習する。
・到達目標
到達目標として、週毎に、症例や講義に対応する「医学教育モデル・コアカリキュラム:教育内容ガイドライン」(一部改変)の内容を掲載した。教官ならびに学生はこれらが全国統一の基準であることを理解し、効果的な学習成果が得られるよう努力されたい(△印はオプション)。 【構造と機能】 1) 心臓の構造と分布する血管・神経を説明できる。 2) 心筋細胞の微細構造と機能を説明できる。 3) 心筋細胞の電気現象と心臓の興奮(刺激)伝導系を説明できる。 4) 興奮収縮連関を概説できる。 5) 体循環、肺循環と胎児循環を説明できる。 6) 大動脈の枝を図示し、分布域を概説できる。 7) 頭頚部と四肢の主な動脈を図示し、分布域を概説できる。 8) 主な静脈を図示し、門脈系と大静脈系の吻合部を説明できる。 9) 毛細血管における物質・水分交換を説明できる。 10) 胸管を経由するリンパの流れを概説できる。 11) 心周期にともなう血行動態を説明できる。 12) 心機能曲線と心拍出量の調節機序を説明できる。 13) 主な臓器(脳、心、肺)の循環調節を概説できる。 14) 血圧調節の機序を説明できる。 △ 15)血流の局所調節を概説できる。 △ 16)運動時の循環反応とその機序を説明できる。 【診断と検査の基本】 1) 胸部エックス線写真と断層心エコーから心臓・大血管の画像診断を説明できる。 △2)心カテーテル検査(心内圧、心機能、シャント率)と結果の解釈を説明できる。 【不整脈】 1)主な頻脈性不整脈(期外収縮、WPW症候群、発作性頻拍)の心電図上の特徴を説明できる。 2)主な徐脈性不整脈(洞不全症候群、房室ブロック)の心電図上の特徴を説明できる。 3)致死的不整脈の心電図上の特徴を説明できる。 4)不整脈の治療(抗不整脈薬、電気的除作動、ペースメーカー療法)を概説できる。 【狭心症・心筋梗塞】 1) 安定狭心症(労作性、冠攣縮性)の病態生理、症候と診断を説明し、治療を概説できる。 2) 不安定狭心症の病態生理、症候と診断を説明し、治療を概説できる。 3) 急性心筋梗塞の病態生理、症候、診断と合併症を説明し、治療を概説できる。 【心筋・心膜疾患】 1)心筋症と特定心筋疾患の定義・概念と病態生理を説明できる。 △2)心筋炎の症候を説明できる。 △3)急性心膜炎の症候を説明できる。 △4)心タンポナーデの原因と診断を説明し、治療を概説できる。 【心不全】 1) 心不全の定義と重症度分類を説明できる。 2) 心不全の原因疾患と病態生理を説明できる。 3) 左心不全と右心不全の診断を説明し、治療を概説できる。 4) 急性心不全と慢性心不全の診断を説明し、治療を概説できる。 【高血圧症】 1)本態性高血圧症の疫学、診断、合併症と予後を説明し、治療を概説できる。 2)二次性高血圧症の原因を列挙し、診断を説明し、治療を概説できる。 【先天性心疾患】 1)主な先天性心疾患(心房中隔欠損、心室中隔欠損、動脈管開存、ファロー四徴)の病態生理、症候と診断を概説できる。
【科目の位置付け】
与えられた症例(週1例、計2例)を通じた少人数グループによる問題基盤型学習(problem-based learning, PBL)により、また講義を基にして自主的な学習を進めることにより循環器系の構造と機能を理解し、主な循環器疾患の病態生理、原因、診断と治療を学ぶ。
【授業計画】
・授業の方法
学生は与えられた症例に基づいて行動目標を自主的に見出し、グループ学習ならびに自習を行い、レポートを作成する。各週の金曜日の午後に総合討論を行う。
・日程
第1週 構造と機能 診断と検査の基本 不整脈 狭心症・心筋梗塞
第2週 心筋・心膜疾患 心不全、高血圧症 先天性心疾患 弁膜症 動脈疾患 静脈・リンパ管疾患
【学習の方法】
・受講のあり方
1. 学生はグループ学習と自己学習によって、週毎の到達目標と行動目標の達成に努める。 2. 毎週金曜日の午後に全員参加して指定されたグループによる課題に関する発表を行う。課題発表グループについては学生が自主的に決める。 3. 学生が学習した内容は各自レポート形式にまとめ毎週金曜日第7・8校時終了前に提出する。 4. 講義も出席をとる。 5. 毎週月曜日に症例を2例提示し、水曜日にそれぞれの追加資料を配布する。金曜午後に全員参加して指定されたグループによる課題に関する発表と討論を行う。
・授業時間外学習へのアドバイス
講義で習った内容に関連することを医学書やネットで自分なりに調べてみる。
【成績の評価】
・基準
到達目標に挙げた事項について適切に説明できることを合格の基準とします。
・方法
本コース中の評価は、日々の出欠ならびにチューターによる評価、提出レポート、筆記試験等により判定する。
【テキスト・参考書】
吉利内科診断学(金芳堂) 内科学(杉本恒明, 小俣政男編集, 朝倉書店) 内科学(黒川清、松澤祐次編集、分光堂) Cecil Textbook of Medicine (Bennett JC, Plum G eds, WB Saunders) Heart Disease. A Textbook of Cardiovascular Medicine (Braunwald E ed, WB Saunders)
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