文化財科学(歴史学)
 Scientific Studies on Cultural Properties (History)
 担当教員:荒木 志伸(ARAKI Shinobu)
 担当教員の所属:基盤教育院
 開講学年:1年,2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業概要】
・テーマ
文化財を探求し、守り、後世に伝えていくために、科学の力がさまざまな形で活躍している。それぞれの調査方法と、その検討によって明らかになった歴史的な事実について、具体的な事例を解説していく。身近な技術や生活している中で触れていることが、考古学や文化財と密接に関係しているかを学んでほしい。
・到達目標
新しい歴史研究について、考古学の遺跡・遺物を題材に学ぶことがねらいである。どの分野でも、研究上、一つの分野のみで完結することはほとんどない。考古学も同様で、理系分野との協業作業によって、飛躍的にその研究が進展していることを解説したい。本授業を通じて、どんな分野においても研究をする上で、隣接する諸分野との学際的な連携がいかに重要であるかを理解できるようになる。
・キーワード
文化財、考古学、遺跡、遺物、修復、保存科学

【科目の位置付け】
教養科目 文化と社会 歴史学

【授業計画】
・授業の方法
パワーポイントなど映像資料を使いながら、講義形式で進めていく。
・日程
1  考古学と自然科学
2  発掘前に遺跡は発見できる -地下レーダー探査法-
3  そこでは何を栽培していたか -プラントオパール分析法-
4  トイレの考古学 -発掘されたトイレ、浮遊遺物洗浄法-
5  「木」から遺物の年代を探る -年輪年代測定法-
6  「ミクロ」の目からみた遺物の年代 -C14放射性炭素年代測定法-
7  土器・鏡の産地を求めて -蛍光X線分析と放射化分析-
8  昔の人が食べていたもの -炭素・窒素同位体比法-
9  骨は語る -鎌倉由比ヶ浜の中世人骨とDNA-
10  中尊寺金色堂の遺体の同定 -血液型、体型、そして歴史-
11  インスタントコーヒーと考古学の関係 -木簡の保存処理と解読-
12  見えない文字がみえる -赤外線テレビカメラシステムと出土文字資料-
13  文化財科学からみた災害の歴史 -火山灰の分析と歴史史料-
14  文化財の保存科学および修復の意義について
15  試験と解説、授業のまとめ

【学習の方法】
・受講のあり方
必修ではないが、前期に「考古学入門」をなるべく受講すること。また、毎回出席カードに質問や感想をなるべく書くように心がけてほしい。授業内で回答する等、講義にも反映するので、疑問をそのままにしないように心がけること。
・授業時間外学習へのアドバイス
試験に備えて、普段から配布資料やノートの整理をしておくこと。

【成績の評価】
・基準
文化財科学の手法と有効性について理解できているか、文化財を残す意義について、自分なりに論じることができるようになっているかを評価基準とする。
・方法
中間テスト(30点)論述式の最終試験(70点)
遅刻は厳禁とし、単位取得には3分の2以上(10回以上)の出席が必要となる。

【テキスト・参考書】
【テキスト】毎回、プリントを配布(A4版、3~5枚)。
【参考書】沢田正昭『文化財保存科学ノート』1997、中條利一郎ほか『考古学を科学する』2011

【その他】
・学生へのメッセージ
理系・文系の垣根をこえて、お互いの力を出し合い一緒に研究すると、こんなにたくさんのことがわかるのか!という驚きを伝えていきたいと思います。なお、毎回記入する出席カードのコメントや質問内容については、個人情報に留意し、皆さんの許可を取った上で授業内で例示・回答していく場合があります。
・オフィス・アワー
在室時には何時でも対応します。メールで事前にアポイントを取るなどして、ぜひ研究室においでください。

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