進化と生物学(生物科学)
 Evolution and Biology(Biological Sciences)
 担当教員:小田 隆治(ODA Takaharu)
 担当教員の所属:地域教育文化学部地域教育文化学科生活環境科学コース
 開講学年:1年,2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義(一般)
 開講対象:  科目区分: 
【授業概要】
・テーマ
 ―我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのだろう―

 パスカルは「人間は考える葦」だと言ったそうですが,この授業は「考える生物学」を目指しています。とは言いましても,そう堅苦しく考えないでください。あなたたちが勘違いをしている「暗記の生物学」からの脱却を目指しているだけなのですから。壮大な進化の物語からいくつかの具体的な事例を取り出して,わけの分かりそうもない過去の事象がどのような理由から科学的に扱えるようになっていったのかをみていきます。
 この講義がみなさんの自然観と科学的思考法の確立ならびに自分の生を考えるうえでの一助になることを期待しています。
・到達目標
 進化の大筋を理解し,それについて自分で語ることができるようになります。生物学の基礎的な知識が身に付き,それを説明することができるようになります。科学的思考力が向上します。46億年の地球の歴史のなかで,自分の生について考えるようになります。
・キーワード
進化,生命の起源,細胞内共生説,性,動物の系統分類,生物の大量絶滅,ダーウィン,進化論,自然選択説,ヒトの進化

【科目の位置付け】
教養科目 自然と科学領域 生物科学

【授業計画】
・授業の方法
 まず,問題提起をします。考えてください。その問題を私が教科書と黒板を使って答えていきます。数回,ビデオも見ます。
・日程
 第1~3回:生命の起源: 30億年前に起こった無機的世界からの生物の誕生を見ていきます。ここで,起源の問題にかかわるいくつかのパラドクスと生物を構成する分子や遺伝子の話が出てきます。物質レベルから生物の基本原理が理解できるでしょう。
 第4~6回:原核生物から真核生物へ: 細胞内共生説が科学的である根拠について論じます。『パラサイトイブ』の世界が展開されます。ミトコンドリアや葉緑体が他のいきもの由来だということを知っている人は,さてそれでは核の由来はいかがでしょうか?
 第7~8回:性を考える: 性とは快楽です。性とは増殖の手段です。いや,快楽でも増殖の手段でもないのが性の起源であるようです。性とはなんでしょうか。どういう理由で生物界に誕生したのでしょうか。あまりにもわたしたちの頭と社会を独占している性について少し生物学的に考えてみましょう。
 第9~10回:多細胞動物の起源: 単細胞生物から多細胞動物への進化に関する二つの異なった仮説を解説します。ヘッケルの名前は聞いたことがあっても,ハッジの名前はどうでしょうか。
 第11~12回:生物の大量絶滅: 進化史には個体,種,たくさんの種の死がありました。いくら環境に適応して繁栄を誇っていても,天変地異にはかないません。そうした事件が進化の歴史を作ってきました。
 第13~15回:人間は考える: 地球46億年のなかで我々の生が無常にならないために考える。
  我々ヒトはほんの少し前まで二本足で立つ野生のサルにしかすぎませんでした。ヒトは地球の歴史のなかで瞬きするような瞬間的な存在にしかすぎないのでしょうか。それとも・・・。自分の意志で歴史に関与できるようになった生物がヒトです。

【学習の方法】
・受講のあり方
 授業中は真剣に私の話を聞いて下さい。
・授業時間外学習へのアドバイス
 教科書を読んでください。
 教科書を読んでください。授業で話したことを他人や親に話してみてください。

【成績の評価】
・基準
 授業をしっかり聴き,自分で考えているかどうかをミニペーパーで評価します。加えて,学期末試験で知識の評価をします。
・方法
 ミニッツペーパー: 40%(8点×5回=40点,3回以上書かなかった人は試験を受けられません)
 学期末試験 : 60%

【テキスト・参考書】
 『新訂 生物学と生命観』小田隆治著(培風館)

【その他】
・学生へのメッセージ
 ◆熱い授業が展開されます。生物学を好きになってください。
 ◆高校の知識は特別必要ありません。知識がある人は有効に活用してください。
・オフィス・アワー
 毎週月曜日11〜13時(基盤教育1号館5階小田研究室)

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