声の文化と文字の文化(教養セミナー)
 Orality and Literacy (Education Seminar)
 担当教員:今村 真央(IMAMURA Masao)
 担当教員の所属:人文学部人間文化学科
 開講学年:1年,2年,3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:演習
 開講対象:  科目区分: 
【授業概要】
・テーマ
人類が日常生活で文字を使い出したのは、歴史の中で比較的新しい出来事であり、文字の読み書きができる人は近代以前最近まで少数に過ぎませんでした。本授業では、ウォルター・J. オング (著)による古典的考察、『声の文化と文字の文化』(原題はOrality and Literacy)を精読し、「話し言葉(オラリティ)」に「書き言葉(リテラシー)」が加わっていった歴史、そして文字が人間の意識、文化、言語に及ぼした影響を様々な角度から探ります。
・到達目標
私たちが何気なしに使っている言語について、歴史的な視点と日常生活の視点の両方から人間社会について批判的な思考力を養います。
・キーワード
言語、声、文字、文化、オラリティ、リテラシー

【科目の位置付け】
健全な批判精神に裏打ちされた幅広い教養を習得するものとともに、読み手・聞き手に伝えるコミュニケーション力を高めます。

【授業計画】
・授業の方法
1)『声の文化と文字の文化』より、毎回特定の部分をクラスで読み、議論します。履修生には内容について順番にプレゼンテーションをしてもらいます。
2)身の周りの「声の文化」について(原則としてフィールドワークを基にした)小論文を書いてもらいます。
3)小論文の執筆を通して、論文の書き方の基礎を習得します。
・日程
第1週. イントロダクション:『声の文化と文字の文化』とは?
第2週. 声としてのことば(第1章)  
第3週. 近代における一次的な声の文化の発見(第2章)  
第4週. 声の文化の心理的力学(第3章)① 
第5週. 声の文化の心理的力学(第3章)②
第6週. 声の文化の心理的力学(第3章)③
第7週. 書くことは意識の構造を変える(第4章)①
第8週. 書くことは意識の構造を変える(第4章)②
第9週. 書くことは意識の構造を変える(第4章)③
第10週. 印刷、 空間、 閉じられたテクスト(第5章) 
第11週. 声の文化に特有な記憶、 話のすじ、 登場人物の性格(第6章) 
第12週. いくつかの定理 〔応用〕(第7章) 
第13週. 『声の文化と文字の文化』総論
第14週. 自主研究プレゼンテーションの発表 ①
第15週. 自主研究プレゼンテーションの発表 ②

【学習の方法】
・受講のあり方
2週目の授業より、指定された章(もしくは章の一部)の内容をまとめて、皆の前でプレゼンテーションをしてもらいます。これによって読む力とまとめる力と伝える力を養います。プレゼンテーションに対して、聞き手は積極的に質問することが期待されます。
・授業時間外学習へのアドバイス
毎回、授業の最後に各履修生に考察を書いてもらい、これはインターネットを通してクラスでシェアされます。学期を通して、インターネットを使ったディスカッションを続けます。

【成績の評価】
・基準
積極的・能動的に発言する姿勢を持ち、クラスメートと協力しながら共に学ぶことができること。
そして、授業を通して得られた知識や論点に対して主体的に分析する力を示し、論述と口頭ともに自分の考察を伝えることができること。これらを合格の基準とします。
・方法
①授業参加と発言 35%
②毎週の「考察」とオンライン・ディスカッション 35%
③プレゼンテーション 10%
④個人研究(小論文)30%

【テキスト・参考書】
声の文化と文字の文化ウォルター・J. オング (著), 林 正寛 (翻訳), 糟谷 啓介 (翻訳), 桜井 直文 (翻訳) 藤原書店 ISBN-13: 978-4938661366

【その他】
・学生へのメッセージ
予備知識は特に必要ではありませんが、授業での積極的な参加は求められます。
・オフィス・アワー
第一回の授業で連絡します。

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