【授業概要】
・テーマ
ニュースを見ていると,社会では様々なことがデータに基づいて判断されていることに気づきます。たとえば,選挙調査,世論調査や視聴率調査などが一例です。そこで,皆さんは 「開票率が1%なのになぜ当選確実と言えるのか?」 「世論調査の対象者数が2000人って少なすぎなのでは?」 「『ドラマの視聴率が1%下がった』これって意味あるの?」 などの疑問を持ったことはありませんか。これらの日常的な疑問はすべて,「統計的な推測」を学ぶことによって解決できます。 統計的な推測は,皆さんが近いうちに行う調査や実験などの基礎にもなります。先ほどの疑問を,観点を変えて見てみましょう。 「この調査では,何人くらいを対象に調査すればいいのか」 「実験の測定値にエラーバーをどのように描けばいいのか」 これらの問いは,調査や実験の結果を分析する際に必ず考えることになる問いです。 授業では高校数学Bの「確率分布と統計的な推測」の内容を中心に扱いますので,高校でその内容を学んでいない方には,特にオススメしたい授業です。
・到達目標
1. 統計的な推測の数学的な基礎を理解し,計算できるようになる 2. コンピュータを用いて,統計的な推測ができるようになる 3. 公開されている実際のデータについて,統計的な推測ができるようになる
・キーワード
統計学,統計的な推測,コンピュータ演習
【科目の位置付け】
この授業は統計学の知見に基づく合理的な批判的思考力を養うものである。(基盤教育の基本理念より)
【授業計画】
・授業の方法
- 情報端末室で,講義とコンピュータ演習を組み合せて進めます。 - 受講生が高校数学Bの「確率分布と統計的な推測」を学んでいないことを前提にして,一からわかりやすく説明します。 - 数学があまり得意でない学生にもわかりやすいよう,高校数学Iの内容を丁寧に復習しながら進めます。
・日程
第①回 オリエンテーション(なぜいま推測統計学なのか) 第②回 前期の復習と今後の準備(Excelの基本操作,平均値,標準偏差) 第③〜⑥回 確率的に生じる現象を数式やグラフで表すには(確率変数:宝くじで期待できる当選金額とは,確率分布,正規分布) 第⑦回 数値シミュレーションで模擬調査(母集団と標本,無作為抽出) 第⑧〜⑩回 コイントス実験で確かめよう(大数の法則,点推定,中心極限定理) 第⑪〜⑭回 真の値は何%の確率でどの範囲にあるのか?(区間推定,誤差) 第⑮回 期末まとめ (注)なお,受講者の関心や進捗に合わせて,授業内容を調整する場合があります。
【学習の方法】
・受講のあり方
- 毎回の授業で提出する課題が成績に大きく影響しますので,すべての授業に出席するよう心がけてください(公欠等の救済措置はあります)。 - パワーポイントで表示される内容は,要点のみノートに筆記して内容の理解に努めてください。
・授業時間外学習へのアドバイス
レポート課題は提示されたらすぐに取りかかるようにし,考える時間を十分に取ってください。
【成績の評価】
・基準
コンピュータを用いて区間推定や誤差の計算ができるようになることを合格の基準とします。
・方法
1. 受講態度 (20%) 「授業に積極的に貢献したか」などを考慮 2. 課題 (50%) 「授業内容を理解しているか」などを考慮 3. レポート (30%) 「データに基づいて正しく説明できているか」などを考慮
【テキスト・参考書】
テキストは使用しません。参考書は授業中に適宜紹介します。
【その他】
・学生へのメッセージ
高校数学の新課程で「データの分析」が必修になって間もないですが,これはちょうど皆さんの世代から統計学が職業上必須になったことを意味しています。この授業で扱う推測統計学も,企業におけるマーケティングや製品開発,国・地方の行政機関による社会調査,学校での教育効果分析,医療現場における診療判断,スポーツでの戦略分析などあらゆる職業において,今後ますます応用が拡大すると予想されています。前期に学んだ統計学の知識にプラスして,統計スキルを将来使えるレベルにまで高めておきませんか。
・オフィス・アワー
金曜日16:30〜17:30。居室・連絡先などは初回の授業でお知らせします。
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