【授業概要】
・テーマ
機械で出力される運動は,構成部品を剛体と見なしたときのそれらの相対運動の伝達により得られるものとして,各種機械の設計を行うことができる.本講義では機械設計に必要な剛体の力学の基礎を学ぶとともに,複数の剛体が連結することで得られる機構あるいはロボットの運動学を学習する. 剛体の運動と力学の基本法則の理解を確実にし,実際の機構やロボットの構成部品の運動を,リンクを骨組みとした運動学モデルで解析・設計する実践力の訓練すること.
・到達目標
・質点,質点系および剛体の運動についての基礎的な知識や計算方法を再確認すること. ・リンク機構について,基礎的なモデリングや解析を行えるようになること. ・機械運動に関する解析結果等について,文章や口頭でわかりやすく説明できるようになること.
・キーワード
剛体の力学,リンク機構の運動学,リンク機構の静力学,機構の運動伝達性,リンク機構の動力学
【科目の位置付け】
本講義は,機械や装置の構成部品の相対運動,力学特性の評価をスムーズに展開するための,機構の運動と力学解析の実践力の向上を目指す.
【授業計画】
・授業の方法
授業は,第1部と第2部からなる.第1部では,機械や装置の基礎事項とその適用に関する講義を行い,小テストで学生の到達度をチェックして講義の進行を調整する.第2部では,各自に機械運動に関する具体的な課題を与え,プレゼンテーションを課す.各自のプレゼンテーションに対して,質疑,討論の時間を設け,理解を深める.
・日程
以下の各教程を2~4週間程度ずつ行う. 第1部: 次の内容に関する講義と演習を行う. ・機械運動に関する単位系 ・質点および質点系の運動 ・仕事とエネルギ,運動量 ・剛体の平面運動,空間運動 ・リンク機構 ・歩行ロボット,宇宙ロボット 第2部: ・機械運動に関する具体的課題についてのプレゼンテーションと討論
【学習の方法】
・受講のあり方
講義における板書やスライドの内容をノートに筆記すること.テキスト,プリント等を参照しながら講義の骨子をまとめること.理解が進まない点をチェックしておき質問すること.課された課題について,十分な時間をかけえ計算等を行い,プレゼンテーションについても入念な準備を行うこと.他の受講者のプレゼンテーションの討論にも積極的に加わること.
・授業時間外学習へのアドバイス
前回の講義に関する質問事項をまとめておくこと.テキスト,プリント等を通読すること. 講義ノートを点検,整理して不備な箇所をテキスト,参考書等で補充しておくこと.演習や小テストでつまずいた問題にもう一度取り組むこと. 第2部の課題については,早めに準備を進め,分からない点は質問に来ること.
【成績の評価】
・基準
100点満点中,60点以上を合格とする.
・方法
授業内容に対する到達度を,複数回の小テスト, 課題についてのプレゼンテーション, プレゼンテーション課題についてのレポートで評価する. 小テスト40点とプレゼンテーション30点,レポート30点の 合計100点満点で評価する.
【テキスト・参考書】
テキストは第1回目の授業で指示する 参考書は次のとおりである. 高橋 正雄著,基礎と演習 理工系の力学,共立出版 R. C. Hibbeler著,Engineering Mechanics: Dynamics, Prentice Hall 日本機械学会編,機械工学便覧 基礎編 α2,機械力学,日本機械学会 内山 勝,中村 仁彦著,ロボットモーション,岩波書店 吉川恒夫,ロボット制御基礎論,コロナ社 J.J. クレイグ、三浦 宏文、 下山 勲,ロボティクス―機構・力学・制御,共立出版 上記以外の参考書については,第1回目の授業で紹介する.
【その他】
・学生へのメッセージ
機械運動論は,機械や装置の重要な構成要素である運動機構の種類,それらの構成と運動の特徴を修得し,機械基本法則を理解し,代表的例題で式の誘導,解析計算等を実践することにより学力が付く科目です.三角関数,2次方程式の解法,座標変換等は運動機構を幾何学的にモデル化し,解析することの基礎です.これまでの勉強が大いに役立ちます. 講義を聴くだけでなく,手を動かして計算する姿勢が重要ですので,毎回,教室の前の方の座席に座るような積極的な学生に向いている科目です. 学会発表等の研究活動のため,レポートの提出等に支障のある場合は事前に相談してください. 活発な研究活動と講義の履修が両立するよう,対応方法の相談に応じます.
・オフィス・アワー
機械システム工学科(6号館2階)の掲示板を参照のこと.
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