【授業の目的】
今後10年間に教員全体の34%が退職し、経験の浅い教員が大きな割合を占めることへの懸念が指摘されている。教職経験1~3年の時期は、多くの課題と不安に直面すると同時に、授業力を向上させる基盤を形成する時期でもある。本授業科目は、教師の初任期の特質を理解し、授業力を向上させるために必要な課題について、学部養成教育の段階から見通しをもつことを目的とする。
【授業の到達目標】
教育相談及び生徒指導の3機能を加えた模擬授業をとおして、個々の指導場面におけるメンタル・ケアの実践力の向上を図ると同時に、初任教師が授業力向上を図るためのさまざまな機会(校内研修など)について理解できるようにする。
【授業概要(キーワード)】
学習指導、生徒指導、教育相談、メンタル・ケア、模擬授業
【科目の位置付け】
教科又は教職(幼・小)、児童生徒の学習を促進するための知識や技能を習得し、教職大学院へ連接できるよう、想定した科目である。
【授業計画】
・授業の方法
本授業は、初任教師が直面する課題についての学修し、教材研究と模擬授業の相互検討、学校の校内授業検討会の参加(その意義と参加の仕方の学修)、教職大学院における「新任教員の授業力向上プログラム」発表会への参加、講義全体のふり返りで構成される。 ○初任教員が直面する課題と不安については、文献と調査記録を用いて検討を加える。 ○模擬授業の相互検討では、教職大学院の現職院生をコメンテーターとして招く。模擬授業に現れた課題についてのアドバイスを通して、自己の課題をとらえる。 ○学校の授業検討会への参加では、実際に授業参観から事後検討までの研修に参加し、実践力向上に向けた研修の意義について考察する。授業検討会後に、現職院生との意見交換の場を設け、学校内における日常的な授業研修のシステムがもつ機能について、理解を深めるようにする。 ○現職院生が開発した「新任教員の授業力を向上させるプログラム」発表会に参加し、発表内容への質問を行う。
・日程
第1回:オリエンテーション/講義のねらい及び進め方についての説明 第2回:初任教員が直面する課題と不安の検討(1)/文献の検討 第3回:初任教員が直面する課題と不安の検討(2)/調査記録の検討 第4回:初任教員が直面する課題と不安の検討(3)/意見交換 第5回:教育相談の機能を加えた模擬授業の相互検討(1―1)/ 教材研究 第6回:教育相談の機能を加えた模擬授業の相互検討(1-2)/ 模擬授業の準備 第7回:教育相談の機能を加えた模擬授業の相互検討(1-3)/ 模擬授業の相互検討:コメント(教職大学院・現職院生) 第8回:授業参観と校内研究会の参加(1)/授業参観から事後検討まで 第9回:学級経営参観と校内研究会の参加(2)/研修における意義の考察 第10回:授業(学級経営)参観と校内研究会の参加(3)/意見交換 (教職大学院・現職院生) 第11回:生徒指導の3機能による模擬授業の相互検討(2-1)/ 教材研究 第12回:生徒指導の3機能による模擬授業の相互検討(2―2)/ 模擬授業の準備 第13回:生徒指導の3機能による模擬授業の相互検討(2-3)/ 模擬授業の相互検討:コメント(教職大学院・現職院生) 第14回:教職大学院「新任教員の授業力を向上させるプログラム」発表会への参加 第15回:ふり返り
【学習の方法】
・受講のあり方
教員をめざす者が受講することになる。したがって、教職への意識を確認し、主体的に受講することが必要である。
・授業時間外学習へのアドバイス
他の教職科目や教育実習と関連させながら各自の課題解決を図ること。そのために、毎回の授業を各自が振り返ることが有効である。
【成績の評価】
・基準
教育相談及び生徒指導の3機能を加えた模擬授業をとおして、実践力の向上を図ることができるようになるのが合格の基準である。 ○初任教員が直面する課題と不安を、明確に理解できたか。 ○十分な教材研究を踏まえて模擬授業を計画し、教育相談や生徒指導の機能を取り入れて児童生徒への教授行為を行おうとしていたか。 ○相互検討のコメントを受けて、自分の課題の明確化を図っていたか。 ○意見交換や発表会に積極的に参加したか。また、校内研究会への参加を通して、授業研修システムの意義を理解できたか。
・方法
担当教員が上記の基準に基づき評価し、合議の上、決定する。 ・各授業での提出物(20点) ・意見交換や発表会での活動状況(20点) ・授業構想と模擬授業(20点) ・レポート(40点)
【テキスト・参考書】
テキスト:国語、算数、社会ほか各教科・道徳・総合的な学習の時間の学習指導要領解説 参考書:佐藤学・前田一男(編),教師としての第一歩(ぎょうせい,1993) ※最近の参考書は授業中に紹介する。
【その他】
・オフィス・アワー
第1回の授業時に各教員が説明する。
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