【授業の目的】
世界を観察して得られたデータに基づき,数理的な妥当性を保証しながら,未来予測や過去説明のための知識やルールを構築する能力は,現代科学を理解・推進する基礎の一つとなっていると考えられます.本授業の目的は,そのために必要となる数理統計学の概念を身につけることです.
【授業の到達目標】
本授業の到達目標は,以下を含みます: ・算術平均と幾何平均の違い,相関と回帰の違いを説明できる. ・確率変数(標本平均など)に関わる期待値の演算を自在にできる. ・最尤法によって確率モデルのパラメタをデータから推定できる. ・データのばらつきをモデルが説明する部分とそれ以外とに分解できる. ・カイ2乗適合度検定を行うことができる. ・確率モデルのパラメタに関わる事前確率と事後確率の違いを説明できる. ・回帰のための線形モデルと分類のための線形モデルの共通点と違いを説明できる.
【授業概要(キーワード)】
記述統計,推測統計,機械学習,能動的学習(▲ 演習を行う機会がある)
【科目の位置付け】
本授業は,主に「データからの知識獲得」にまつわる課題について,数理統計学の観点から論理的に分析し,解決策を提案する力を身につけるためのものです.
【授業計画】
・授業の方法
数理統計学に登場する専門用語や考え方の概念的な説明を講義室で行い,その具体例の観察を必要に応じて情報端末室で行う予定です.
・日程
1:ガイダンス(学習目標の提示,授業の進め方の説明) 2:記述統計:データを把握する:平均,メディアン,分散,変動係数、、、 3:記述統計:変数間の直線的な対応関係の強さを測る:相関 4:記述統計:説明変数を用いて応答変数を直線で説明する:回帰 5:確率の基礎,確率分布と期待値 6:テストと解説 7:推測統計:母集団をモデルする:正規分布,二項分布,ポアソン分布 8:推測統計:標本(サンプルデータ)を用いて母集団のモデルを推定する:点推定,区間推定 9:推測統計:複数の母集団に違いがあるかどうかを検定する:仮説検定 10:推測統計:分散分析,カイ2乗適合度検定 11:テストと解説 12:機械学習:事後確率最大化法を用いてモデルを推定する:ベイズ推定 13:機械学習:説明変数を用いて応答変数を曲線で予測する:多項式回帰 14:機械学習:説明変数を用いてデータを分類する(2値の応答変数を予測する):ロジスティック回帰 15:テストと解説
【学習の方法】
・受講のあり方
授業中の板書,および,配布予定のプリントを活用してください.
・授業時間外学習へのアドバイス
授業で取り扱った内容に関連することを,他の受講者と議論したり,図書館やウェブで自分なりに調べてみてください.
【成績の評価】
・基準
総合点で60点以上を合格とします.
・方法
3つのテスト(各回30点を予定)と,初日とテストの日以外に行う「理解確認メモ」(各回2点を予定)の合計点で評価する予定です.
【テキスト・参考書】
参考書は授業の中で指示する予定ですが,必ずしも購入する必要はありません.
【その他】
・オフィス・アワー
講義で連絡します.
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