臓器疾患学:血液コース
 Organ disease : Hematology
 担当教員:成人分野担当:石澤 賢一 (ISHIZAWA Kenichi), 加藤 裕一 (KATO Yuichi), 東梅 友美 (TOUBAI Tomomi), 伊藤 巧 (ITO Satoshi), 猪倉 恭子 (INOKURA Kyoko)
小児分野担当:三井 哲夫 (MITSUI Tetsuo), 簡野 美弥子 (KANNO Miyako), 目黒 亨 (MEGURO Toru)
病理分野担当:山川 光徳 (YAMAKAWA Mitsunori)
 担当教員の所属:医学部医学科
 開講学年:3年  開講学期:前期  単位数:34単位  開講形態:講義
 開講対象:医学科  科目区分:専門教育・必修  
【授業の目的】
1)成人・小児血液疾患(小児分野は固形腫瘍を含む)を理解するにあたり、血液・造血器・リンパ系の概要を理解する。
2)1)を前提に、各血液疾患(小児分野は固形腫瘍を含む)の病因・病態生理・診断・治療法を理解を深める。
3)成人・小児血液疾患(小児分野は固形腫瘍を含む)治療として重要である造血幹細胞移植(自家移植・同種移植)の原理・治療効果・有害事象の理解する。
4)成人・小児血液疾患において代表的な分子標的薬の作用機序・治療効果・有害事象を理解する。
5)成人・小児輸血医療について必要な検査・適応・有害事象について理解する。
以上を目的とする。

【授業の到達目標】
1)代表的な血液疾患(小児分野は固形腫瘍を含む)に関して、病因・病態生理に基づき診断法・治療法を説明できる。
2)造血幹細胞の性質、役割を理解し説明できる。
3)自家移植・同種移植の特徴が説明できる。
4)成人・小児血液疾患(小児分野は固形腫瘍を含む)の国際化された標準治療について説明できる。
5)イマチニブに代表される小分子標的薬、リツキシマブに代表される大分子標的薬、オールトランスレチノイン酸、ボルテゾミブ、サリドマイド、レナリドマイドの作用機序を説明できる。
6)輸血医療について検査・適応・有害事象について説明できる。
7)グループ学習を通じて他人との関わり(行動科学)を深めることができる。

【授業概要(キーワード)】
造血システム、血球の機能・動態、凝固系、血液疾患の主要症候・検査値異常・特殊検査・診断と治療、輸血医療

【科目の位置付け】
代表的な血液疾患(小児分野は固形腫瘍を含む)の原因・病態・診断・治療を理解するにあたり本講義を核として、3年次の「基本診断学」、4年次の「全身性疾患学;感染症、免疫アレルギー、診察の基本』と「基本診断学;基本的診療知識、症候・病態学、基本診療技能学」と合わせて血液学の講義が完成する。この結果として、代表的な血液疾患ついて理解できる。
また、この講義では下記に該当する。
<山形大学医学部医学科教育到達目標(コンピテンシー)>
1.プロフェッショナリズム
2.医学的知識と問題対応能力
3.診療技能と患者ケアの基礎的知識
8.科学的探求
9.生涯にわたって共に学ぶ姿勢
<医学教育モデルコアカリキュラム(平成28年度改訂版)>
C-4-6). 腫瘍
D-1. 血液・造血器・リンパ系
E-3.腫瘍
F-1-1).発熱
F-1-26).貧血
F-1-27).リンパ節腫脹
F-2-3).臨床検査
F-2-4).病理診断

【授業計画】
・授業の方法
講義(スライド・配布資料)・実習(病理学)・グループ学習(ケーススタディ、学生発表)
・日程
【第1週:2018年4月16日〜20日】( )は予定される講師
・ガイダンス: 血液コース概要(ケーススタディ振り分け)(石澤)
・造血システム1・2(学外)
・貧血総論(加藤)、貧血各論1・2(加藤)
・リンパ腫1・2(石澤)
・リンパ腫3(リンパ腫類縁疾患その他)(外部)
・慢性リンパ性白血病(東梅)
・慢性骨髄性白血病(東梅)
・急性白血病1・2(伊藤)
・血小板凝固異常総論(外部)
・小児血液生理1・2(三井)
・小児白血病(目黒)
・病理1・2(山川)
【第2週:2018年4月23日〜4月27日】( )は予定される講師
・造血器腫瘍総論(外部)
・造血幹細胞移植(外部)
・血漿蛋白異常症1(多発性骨髄腫)・2(多発性骨髄腫類縁疾患)(加藤)
・骨髄異形成症候群(東梅)
・慢性骨髄増殖性疾患(東梅)
・病理3・4(山川)
・血液救急(腫瘍崩壊症候群)(石澤)
・講義復習(石澤)
・血小板凝固異常各論(外部)
・小児造血細胞移植(三井)
・鉄代謝(外部)
・小児固形腫瘍(簡野)
・輸血療法・治療学(加藤)
・ケーススタディ1・2(未定)
・全体のまとめ(石澤)
注)上記は2017年度版「臓器別血液講義」を元に作成した暫定版である。
2018年度版の確定版はガイダンス時に配布予定。確定版の時間割りを確認すること。

【学習の方法】
・受講のあり方
(講義)
1)「将来プロフェッナルな医療人になる」とういう自覚を持って、真摯な態度で望むこと。
2)講義内容の理解を深めるためには、教科書・参考書等による予備学習が望ましい。
3)講義のスライド・配布資料は最新の知見を含め全体を網羅しているが、限られた時間・紙面では不十分である。従って、講義後の自主的な補足が望ましい。
3)積極的に質問する姿勢が必要。
(グループ学習)
1)割り振られた症例(ケーススタディ)を通じて、疾患について総論的な視点から理解・解析が出来るようになること。
2)ケーススタディを行うにあたり、講義内容および配布資料を活用すること。
3)細切れの知識ではなく正常から基本的な理解を応用することにより異常を理解すること。
・授業時間外学習へのアドバイス
1)講義内容を理解する上で、既に学習した基礎的な部分(正常血液像、リンパ節・骨髄の構造、血球の機能・動態・分化)について確認しておくこと(血液学は形態学、生物学、分子生物学、免疫学、感染症学の知識理解が不可欠)。
2)前述したが、講義前の予備学習および復習が望ましい。
3)履修した疾患についてお互いに説明し合うことで、知識を深める。

【成績の評価】
・基準
1)造血システムが恒常的に維持される機構が理解できる。
2)代表的血液疾患(小児分野は固形腫瘍を含む)の鑑別診断、標準治療が説明できる。
3)造血幹細胞移植(自家・同種移植)の適応・有害事象が説明できる。
4)標準治療および各分子標的薬の作用機序の相違・有害事象が説明できる。
5)輸血医療に必要な検査・適応・有害事象が説明できる。
・方法
1)講義は3/4以上の出席が必要。試験は、正答率60%以上を合格とする。
2)再試験は1回のみとする。
3)最終の合否は、講義の出席・実習の評価・筆記試験の結果で総合的に判断する。

【テキスト・参考書】
1)内科学 (朝倉書店)
2)血液細胞アトラス(文光堂)
3)血液病学(文光堂)
4)病気がみえるvol.5血液(MEDIC MEDIA)
5)よくわかる輸血学(羊土社)

【その他】
・学生へのメッセージ
1)総論から論理的思考に基づき病態を理解することが望まれる。
2)演繹的思考過程を重視する。
3)「何故その様な症状が出現するのか」、「何故その様な検査値異常が認められるのか」、これらを念頭に置きながら学習を進めることが必要。
・オフィス・アワー
<山形大学で教えていること>
1)治療薬の開発について(治験を通じた治療薬ができるまで)
2)山形県内および全国の移植医療について(附属病院 血液内科は県内唯一の日本骨髄バンク認定施設、日本造血細胞移植学会移植認定施設)

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