全身性疾患学:成長・発達・遺伝・発生
 Pediatrics
 担当教員:三井哲夫(MITSUI Tetsuo), 佐々木綾子(SASAKI Ayako), 沼倉周彦(NUMAKURA Chikahiko), 荻野大助(OGINO Daisuke), 簡野美弥子(KANNO Miyako), 小田切徹州(OTAGIRI Tesshu), 橋本多恵子(HASHIMOTO Taeko), 中村和幸(NAKAMURA Kazuyuki),目黒亨(MEGURO Toru)

 担当教員の所属:医学部医学科
 開講学年:3年  開講学期:後期  単位数:11単位  開講形態:講義
 開講対象:医学科  科目区分:専門教育・必修  
【授業の目的】
 小児は成人を小さくしたものではなく、成長・発達といった特徴がある。成長とは量的に測定でき、身長・体重など加齢と共に増加するものがそれにあたる。発達とは加齢とともに機能を獲得し成熟、進展する過程をいい、知能、言語、精神、運動発達がこれにあたる。小児は、これらの発達過程を経て、形態的、機能的に成熟し成人となる。小児期の疾患を理解するには胎児期を含め、こうした正常児の成長・発達を学ばなければならない。これらが理解できれば、小児期の疾患が成長・発達の障害で、時に不可逆的な変化をもたらすことがわかる。乳幼児期の栄養障害は知能障害をもたらし、小児期の肥満は中年以降の動脈硬化、虚血性心疾患、大腸癌などの罹患率を高める。小児科学は、このように胎児期から思春期まで、成長・発達に対応した疾患を取り扱う。感染症も免疫力が未熟な小児にとって重要な疾患である。小児科学は、すべての小児の正常な成長・発達を究極の目標とし、予防医学も重要な課題であり、胎児診断、先天異常のスクリーニング、予防注射についても学習する。学習範囲が広範であり、全ての分野にわたる詳細な講義は不可能で、学生諸君の自習が必要である。

【授業の到達目標】
 発達・成長過程における基本的生理を理解し、その阻害因子による各種病態・疾患の特徴について説明できる。
①胎児期を含め新生児、乳幼児の生理とその変化、保育法・栄養法の基本と正常の精神・運動発達を理解し、各時期の様々な障害、その対応方法を説明できる。②器質的障害だけでなく、小児の精神発達的見地からコミュニケーション障害について理解する。(行動科学)③先天性代謝異常等の遺伝性疾患、染色体異常、奇形症候群の遺伝形式、病態の主因を理解し、対応方法を考えられる。④新生児期の仮死、黄疸、呼吸障害、低出生体重に伴う病態を説明、鑑別を行い、標準的治療を概説できる。⑤小児期の栄養の重要性と、精神・運動発達また心身相関を説明できる。⑥母(父)子保健、健診、予防接種の意義と内容を説明できる。⑥小児期における虐待を概説できる。⑦思春期の発現機序と性徴を説明し、精神保健上の問題を挙げることができる。⑧循環器、呼吸器、消化器、神経(発達障害を含む)、血液、内分泌・代謝、腎・泌尿器、免疫・アレルギー、膠原病、心身症、感染症、腫瘍の各疾患における小児・若年者の疾患病態を理解・説明し、標準的な治療法を提示できる。⑨すべての小児の健常な成長・発達を得るため、難治性疾患が残る小児科領域において、今後どのように病態の解明を行ない、疾患予防や治療につなげていけばいいかを考察できる。⑩移行期医療の現状と課題を説明できる。

【授業概要(キーワード)】
 小児の発達・成長過程、小児期における疾患の特徴

【科目の位置付け】
 この講義では、臓器別疾患コースで得た知識を、発達・成長と結びつけ深く理解するとともに、小児の疾患について、より詳しい知識を習得し、小児期の各疾患病態を自ら考えられるようにするものである。

<山形大学医学部医学科教育到達目標(コンピテンシー)の該当項目>
 1プロフェッショナリズム
 2 医学的知識と問題対応能力
 3 診療技能と患者ケアの基礎的知識
 4 コミュニケーション能力
 5 チーム医療の実践
 6 医療の質と安全の管理
 7 社会における医療の実践
 8 科学的探求
 9 生涯にわたって共に学ぶ姿勢

<医学教育モデルコアカリキュラム(平成28年度改訂版)の該当項目>
 E-7 成長と発達
 B 社会と医学・医療
 B-1-8)保健・医療・福祉・介護の制度
 B-4-1)医師に求められる社会性
 D 人体各器官の正常構造と機能、病態、診断、治療における各臓器の関連疾患

【授業計画】
・授業の方法
講義(スライド映写、資料配付、板書)
・日程
講義日程
2月4日(月)~3月1日(金)5・6校時(13:00-14:40)、火のみ3・4校時(10:20-12:00)
小児の発達・成長、神経、精神、呼吸器、腎臓、循環器、内分泌・代謝、感染症について講義を予定しているが、講師が未定につき、後日改めて発表する。

【学習の方法】
・受講のあり方
疑問を持って積極的に質問すること、単に知識を増やすので無く、病態を理解し、説明できるまでにいたること。
・授業時間外学習へのアドバイス
全ての病態・疾患について講義する時聞がなく、教科書を使って自習の必要がある。

【成績の評価】
・基準
講義内容の理解度をみる筆記試験、出席状況、学修態度。
・方法
 毎講義、出席をとる。
 4年次開講の全身性疾患学:小児科学と合わせ試験週間内に筆記試験を1回だけ行い学修態度を含め総合的に合否を決定する。

【テキスト・参考書】
標準小児科学(医学書院)、講義録小児科学(Medical View社)、Nelson Text book of Pediatrics (Saunders Co.)

【その他】
・学生へのメッセージ
 学習範囲が広範であり、全ての分野にわたり講義することは不可能であることから、学生諸君は継続的な自習が必要である。

<山形大学で教えていること>
上記内容に加え、稀少疾患が多く、共同臨床試験としてのアプローチが必要な小児難治性疾患への臨床研究について小児がんを例に講義している。

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