【授業の目的】
国際地域社会や多文化社会に関する高度な理解力を養うため,言語学の専門的な知識と考え方を身につけ,コミュニケーションの手段として人間が使用する言語を客観的に分析し,言語の本質を知ることを目的とします。 言語学は,ことばを分析し,「ことばの仕組み」を記述する学問です。言語学では多くの言語を視野に入れ,より適切な記述を目指します。この授業では言語記述に必要な基本概念を,主として日本語・英語を例として解説します。また,その過程で一つの現象に対する様々なアプローチを提示し,現代言語学で行なわれている主要な研究法も概観します。それらを通じて,世界の言語に見られる構造と言語現象,およびそれらを記述・理解するのに必要な基本概念を紹介します。
【授業の到達目標】
(1) 言語記述の基本概念を,日本語・英語を中心とした言語データを分析することによって理解することができる。【知識・理解】 (2) 世界の言語の多様な構造的特徴に触れ,母語の知識にとらわれず言語を客観的に分析し,その構造を記述することができる。【技能】 (3) 現代言語学の主要な研究方法について,その異同を説明できる。【知識・理解】
【科目の位置付け】
カリキュラム・ポリシーとの関係については,「カリキュラム・マップ」を参照し,よく理解したうえで履修してください。
【授業計画】
・授業の方法
日本語・英語を中心に数多くの言語の実例を提示し,様々な研究法を紹介しながら,言語記述の基本概念を概観します。
・日程
1. 言語の音声と音声学・音韻論(音声の分類,音素,アクセント,諸言語の音韻現象,など) 2. 語の仕組みと形態論(形態素,語形成,諸言語の形態現象,など) 3. 文法範疇(性,数,格,テンス,アスペクト,モダリティ,ボイス,諸言語の文法範疇,など) 4. 文の仕組みと統語論(句構造,生成文法・認知文法論・機能的観点からの文構造分析,など) 5. 語の意味と意味論(伝統的な意味分析,認知意味論,など)
【学習の方法】
・受講のあり方
ノートを取りながら講義を聴き,不明な点は遠慮なく質問して下さい。特に,提示される諸言語の実例と講義内容を関連づけて理解して下さい。
・授業時間外学習へのアドバイス
ノートと配付資料を読み返し,講義内容を確実に理解して下さい。また,Web Classに《確認問題》(翌週に解答と解説)を載せますので,自分で解いて理解を確認して下さい。オフィスアワーを利用して教員に質問したり,《参考書》を読んで理解を深めたり,発展的事項の学習をするなどの努力を期待します。
【成績の評価】
・基準
レポートと学期末試験を課し,知識の修得,理解の度合い,汎用的技能,参加の度合いのそれぞれの項目について判定し,その合計点を用いて判定します。「授業で学んだ方法で実際の言語データを分析・記述したり,そこに見られる言語現象を的確に説明できること」が合格の基準です。
・方法
学期末筆記試験(ノート,配付資料,参考書の持ち込み可):80点,レポート:20点,合計100点。欠席・遅刻は減点の対象とし,出席回数が授業回数の3分の2に満たない場合は単位認定の対象としません。レポートは解答例と共に返却します。
【テキスト・参考書】
《参考書》 庵功雄(2011)『新しい日本語学入門 ことばのしくみを考える[第2版]』スリーエーネットワーク 亀井孝 他 編著(1988--92)『言語学大辞典 世界言語編』全4巻,三省堂 斎藤純男 他編(2015)『明解言語学辞典』三省堂 三原健一・高見健一編著(2013)『日英対照 英語学の基礎』くろしお出版 山梨正明ほか(2003)『現代言語学の潮流』勁草書房 個別の項目に関する参考文献は授業中に紹介します。また,言語学全般にわたる「文献リスト」を配付します。
【その他】
・オフィス・アワー
金曜日 12時から12時30分 および 16時30分から17時30分 池田光則研究室 (メールアドレスは学部のHP,『学生便覧』に記載してあります)
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