【授業の目的】
科挙とは官僚を登用するために前近代中国で行われた試験制度である。過去から現在にいたる中国社会への理解を深めるため,科挙に焦点をあて,中国社会に関する基礎的な知識を獲得することを目的とする。
【授業の到達目標】
この講義を履修した学生は, 1)科挙を通じて過去から現在に至る中国社会が説明できる【知識・理解】 2)歴史的理解を踏まえて現代の中国社会について討議することができる【習慣・態度】
【授業概要(キーワード)】
科挙,教育,出版,地域社会,漢詩,都
【科目の位置付け】
この授業は,科挙の考察を通じて,過去から現在にいたる幅広い知識を身につけ,大学での学習及び生涯にわたる学習への基盤となる幅広い知識を習得するものである。
【授業計画】
・授業の方法
1)科挙に関する興味深い事例を取り上げ,そこから古代から現代に至る中国社会について考えていく。 2)プレゼンテーション装置を使って講義を行う。ただ教員から話すだけではなく,質疑応答も随時受け付けながら進めていく。
・日程
主要なテーマと順序を次のとおりです。 第1回目(4月10日):講義の進め方とガイダンス 第2回目(4月17日):科挙はどのように研究されてきたのか?①(日本・中国、史料) 第3回目(4月24日):科挙はどのように研究されてきたのか?②(欧米圏) 第4回目(5月1日):役人はどのように選抜されたのか?――科挙前史 第5回目(5月8日):科挙制度の概要①――日程・試験会場 第6回目(5月15日):科挙制度の概要②――出題・採点 第7回目(5月22日):科挙と教育①――どのように勉強したのか 第8回目(5月29日):科挙と教育②――学校での生活 第9回目(6月5日):ここまでのまとめ 第10回目(6月12日):科挙と出版――受験参考書をめぐってと出版 第11回目(6月19日):科挙と地域社会――地域格差の問題 第12回目(6月26日):科挙と政治――政治勢力の形成 第13回目(7月3日):科挙と文学――漢詩にみえる科挙 第14回目(7月10日):科挙と都城――合格者の行事 第15回目(7月17日):試験と解説
【学習の方法】
・受講のあり方
毎回プリントを配布するので,そこにパワーポイントや黒板で示した講義内容を筆記して内容の理解に努める。
・授業時間外学習へのアドバイス
毎回参考文献やキーワードを紹介するので,大学図書館・公立図書館やWEBを利用して自分なりに調べる。
【成績の評価】
・基準
科挙の制度・仕組みを理解することに済ませるのではなく,それが中国社会に及ぼした影響を説明できるようにすることを合格の基準とする。
・方法
平常点30点 期末テスト70点
【テキスト・参考書】
参考書: 宮崎市定『科挙―中国の試験地獄』(中公新書1963) 平田茂樹『科挙と官僚制』(山川出版社〔世界史リブレット〕1997)等。
【その他】
・学生へのメッセージ
事前に歴史的背景について説明をするため,日本史や世界史が苦手だった学生にも理解できる講義を行う。
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