【授業の目的】
水素原子の波動関数の取り扱いと、2原子分子を例にした化学結合の取り扱い。分光測定法の物理化学的基礎を知ることを目的とする。
【授業の到達目標】
水素原子の波動関数の解き方を知り,規格化や直交性について計算で確認できるようになる。NMRの測定原理とスペクトルの意味について説明できるようになる。分子の振動・回転スペクトルの量子力学的取扱いを身につける。なぜ分子ができるのかを分子軌道の基本的な知識に基づいて説明できるようになる。
【授業概要(キーワード)】
振動分光,NMR,水素原子,分子軌道
【科目の位置付け】
物理化学のうち、主に分光学の基礎となるものについて解説する。(学習・教育目標G)
【授業計画】
・授業の方法
テキストの内容について、どうやって導かれたのかを板書して説明する。
・日程
1. 簡単な微積分の計算法。線形代数とベクトルの外積 2. 水素原子のシュレーディンガー方程式を解く(角運動量の古典的&量子的取扱い) 3. 水素原子のシュレーディンガー方程式を解く(2) 動径方向の成分、直交性の確認など 4. 角運動量とスピン 5. NMR:磁場中に置かれた原子核および電子スピンと電磁波との相互作用。 6. NMR:スピン・スピン結合 7. 分子の振動・回転スペクトル。シュレーディンガー方程式による取り扱い。 8. 非調和項の影響。選択則の量子論 9. H2分子とH2+イオン 10. 重なり積分、クーロン積分の実行 11. ヘリウム原子の波動関数 12. パウリの原理とハートリーフォックの方法 13. 統計力学の考え方 14. ミクロカノニカル分布について 15. カノニカル分布について
【学習の方法】
・受講のあり方
板書をノートに筆記する。講義では、量子力学的取り扱いを中心に、基礎的な計算方法を説明する。板書の量は多いので、そのつもりで臨むこと。
・授業時間外学習へのアドバイス
テキストの,23,24,25,26,27章を見ておくこと。既に学んだテキスト上巻の内容も,確認しておいてください。
【成績の評価】
・基準
分光測定の代表的なものについて,どうやって測定してどんな情報が得られるのか,原理を理解すること。水素原子の波動関数の取り扱いや、スピン波動関数の取り扱いができること。
・方法
期末試験で判断する。 期末試験の結果によっては追加でレポートを課すことがある。追加レポートにより合格者を出す場合の成績はすべて60点とする。
【テキスト・参考書】
W. J. Moore 著/「基礎物理化学」下巻(細谷治夫・湯田坂雅子 訳)東京化学同人 マッカーリ・サイモン/「物理化学 分子論的アプローチ」上巻 東京化学同人 アトキンス/「基礎物理化学 分子論的アプローチ」上巻 東京化学同人
【その他】
・学生へのメッセージ
高校程度の微積分は必須です。物理化学の教科書として指定されているムーア「基礎物理化学」は、式を最初から与えてしまっており、教科書を読んだだけでは、それがどうやって出てきたのかなかなかわからない。この講義では、ムーアの教科書のバックグラウンドになる部分を主に説明す る。計算方法を暗記する必要はないが、どういう考え方と手順で何がわかるのか、という枠組みの部分に注意して受講してほしい。
・オフィス・アワー
原則として講義当日の夕方(7,8)校時とします。確実に面談したい場合はウェブクラスからメッセージを送って確認してください。
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