【授業の目的】
高校でのベクトルの学習に引き続き、ここでは 2×2 行列を導入し 2×2 行列の演算に習熟する。 さらには一般の n×n 行列を定義し、行列の演算に習熟する。 正方行列に関する行列式を定義し、それらの性質を学び、行列式の計算力をつける。 また逆行列の概念を導入し、連立1次方程式の解法に応用する。 演習問題を通して、行列及び行列式の意味や定理を理解すること。
【授業の到達目標】
理工系学生が最初に学習する数学教科の一つに線形代数学が挙げられる。 ここでは線形代数学の前半をなす行列と行列式を学習し、それらの十分な計算力を養い、 二年次前期の数学II(線形代数学の後半)につなげることを目標とする。
【授業概要(キーワード)】
集合、複素数、ベクトル、連立1次方程式、行列、ガウスの消去法(掃き出し法)、 主成分、階数、単位行列、正則行列、逆行列、転置行列、行列式、サルスの方法、 クラーメルの公式、余因子行列
【科目の位置付け】
(高分子・有機材料工学科) CP1(3),DP2 に対応する。 (化学・バイオ工学科)CP1(1),DP2 に対応する。 (情報・エレクトロニクス学科) CP1(1),DP2 に対応する。 (機械システム工学科)CP1 DP1 および学習教育到達目標の(A) に対応する。
【授業計画】
・授業の方法
授業に必要なものは,テキストとノートである。 高校で既に履修したことも含まれている場合もあるが,大学レベルに深く掘り下げるので, 油断しないでついてきて欲しい。 90分のうち,時間の半分を講義,残りの時間は例題と問題演習(小テストを含む)とする。 レポート課題を出すこともある。
・日程
以下の項目に沿って授業を行う。 前半では、高校で習ったベクトルを復習し、平面ベクトルの一例として複素数をとらえなおす。 その後連立一次方程式の解き方を学ぶ。 また連立一次方程式の行列表示を通して行列と連立一次方程式の関係に対する理解を深める。 1. 平面・空間ベクトルと複素数 2. 行列と連立1次方程式 3. 簡約化 4. 連立1次方程式の解の分類 5. 中間試験とまとめ 後半では、2次正方行列を導入し、その計算方法に習熟する。2次正方行列の積や 行列式、逆行列、さらには1次変換との関係を学ぶ。 2次正方行列の対角化や, 時間に余裕があれば、ジョルダン標準形の具体例にも触れる。 さらに一般の行列を導入し、その演算や行列式、逆行列の計算方法などを学ぶ。 6. 2次正方行列の演算 7. 2次正方行列の逆行列と行列式 8. 平面上の1次変換 9.行列の演算 10. 逆行列 11. 行列式 12. 行列式の性質 13. クラーメルの公式 14. 2次正方行列の対角化 15. 期末試験とまとめ
【学習の方法】
・受講のあり方
講義の流れを聞き逃してしまわないためにも,十分な復習をしてください. 講義中でもどんどん質問してください.
・授業時間外学習へのアドバイス
重要事項は何度も繰り返し出てきますが、その度に詳しく説明する時間はありません。 前回までに出てきた用語や概念は理解できているものとして新しい事項を学びますので、 何が分かって何が分からないのかを自分なりに明確にした上で受講してください。
【成績の評価】
・基準
科目の達成目標に記載した項目について,正しく理解していることを合格の基準とする。
・方法
中間試験30点,期末試験40点,演習・レポート30点の総合点100点で評価する。 2回の試験を必ず受け,60点以上を合格とする。 病気・事故等のやむを得ない事情が無い限り,追試験や再試験は行わない。 無断で試験を受けなかった場合は、評価の対象とならない場合があるので十分に注意すること。
【テキスト・参考書】
(テキスト)三浦毅・早田孝博・佐藤邦夫・高橋眞映共著「線型代数の発想」学術図書出版社 (参考書)寺田文行著 「線形代数 増訂版」 サイエンス社, 内田伏一他著「線形代数入門」 裳華房
【その他】
・学生へのメッセージ
数学は積み重ねの学問であり、行列と行列式はその一つの出発点でもある。 したがって大変重要な講義であることを認識して欲しい。
・オフィス・アワー
個別の質問等は,授業終了後やWebClassで受け付ける.
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