旧大陸において文明の礎となったのは、鉄器や車輪、文字や活版印刷などの発明であった。先史時代の南米大陸では、これらのいずれも発明されることはなく、外部から持ち込まれることもなかった。16世紀前半にスペイン人が侵入してくるまで文字が存在しなかったため、それ以前の歴史を明らかにするためには、考古学的手法に頼らざるを得ない。文字に残されていない歴史を、当時の人々が残した物的痕跡から少しずつ紐解いていくことが、南米における考古学研究の醍醐味である。

この授業では、南米大陸西側のアンデス地域に焦点を当て、最終氷河期の終わりにベーリング海峡を渡って流入していった人々が最初に根を下ろした約14,000年前から、スペイン人が侵入してインカ帝国を滅ぼすまでの社会・文化的発展についての考古学研究を概観する。

この講義を履修した学生は、アンデス考古学における主要な学説や事例に触れることで（【知識・理解】）、先史アンデス地域における社会・文化的発展について考古学的な立場から討議できるようになる（【技能】および【態度・習慣】）。

アンデス考古学、先土器時代、チャビン、パラカス、ナスカ、モチェ、ワリ、ティワナク、ランバイェケ、チムー、インカ

カリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラムマップ」を参照し、よく理解した上で履修してください。

•アンデス考古学における主要学説について取り上げるとともに、最新の研究動向なども踏まえて授業を行う。
•テキストや参考書の精読を中心に講義を進める。
•ゲストレクチャラーを招いて授業を行う。
•教員からの一方通行の授業ではなく、質疑応答によって授業を進めていく。

中央アンデス地域における先史社会の考古学的研究について概観する。具体的には、以下のテーマを扱う：
•アンデス地域に栄えた諸先史文化
•先史社会を育んだ自然環境
•ペルー北海岸における研究事例
•最新の研究動向

•漠然と講義を受けるのではなく、質疑応答に積極的に参加し、自分の考えを述べる。
•パワーポイントの内容を配布することはしないので、しっかりノートを取ること。

•授業で扱うテーマについて、授業前にテキストや参考書を読んでおく。
•さらに理解を深めるために図書館やインターネットで調べてみる。

授業中の質疑応答、学期末プロジェクトによって、知識の修得、理解の度合い、論理的思考力、文章表現力、参加の度合いのそれぞれの項目について判定し、その合計点を用いて判定する。
•アンデス考古学に関する基本的な概念や用語を正しく理解していること。
•授業をとおして得られた知識や経験にもとづいて主体的に考察し、論述できること。

•出席カード（後述）と授業中の質疑応答（50％）、学期末プロジェクト（50%）の評価項目の得点の合計をもって評点とする。
•毎回の授業開始時に配布する「出席カード」に、授業を聞いて感じたこと・考えたことなどを書き、授業終了後に提出する。
•学期末プロジェクトはレポート形式で、A4用紙3,000字以上でまとめ、電子メールで提出すること。論述テーマや提出期限の詳細については授業内で通知する。

テキスト：
•関雄二『世界の考古学① アンデスの考古学 改訂版』同成社、2010年
参考書：
•Jeffrey Quilter『The Ancient Central Andes』Routledge、2013年
•Michael Moseley『Incas and Their Ancestor』Thames & Hudson、1992年
•大貫良夫・加藤泰建・関雄二（編）『古代アンデス 神殿から始まる文明』朝日新聞出版、2010年
•島田泉・篠田謙一（編著）『インカ帝国―研究のフロンティア』東海大学出版会、2012年

休講および補講を行う可能性があります。掲示に注意してください。

•水曜日10:30～12:00（人文社会科学部2号館4階 松本剛研究室）
•連絡先：gocito@human.kj.yamagata-u.ac.jp
•事前に電子メールでアポイントメントをとること。