【授業の目的】
記号論とは記号の働きについての研究であり、さらには、記号を操る存在としての人間の本性の探求である。本講義では、フィクションという概念を糸口にして、関連する現代の記号論・言語哲学・心の哲学の議論を系統的に辿ってみる。
【授業の到達目標】
この講義では、フィクションをめぐる哲学、記号論分野の議論を系統的にたどってみることで、哲学的記号論の問題意識や基本概念、代表学説についての理解を深めること、またそれを踏まえて、身近な記号現象について独自の考えを形成し、明快に論述できることを目標とする。
【授業概要(キーワード)】
フィクション、真理、偽装、作品
【科目の位置付け】
学部・学科のカリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解したうえで履修してください。
【授業計画】
・授業の方法
毎回、テキストに沿って、フィクション概念の多様な側面について(またそれとともに、哲学的な記号論の基礎的な諸概念について、)順次、解説・検討を行う。
・日程
第1回:序論 フィクションを問うこと 虚構的な発言/虚構に関する発言 第2回:フィクションの統語論(1)ハンブルガー、ジュネット、柳田 第3回:フィクションの統語論(2)カリー、サール、キャロル 第4回:フィクションの意味論(1)フィクションと指示の問題 第5回:フィクションの意味論(2)フィクションと真偽の問題 第6回:フィクションの非主張性 フィリップ・シドニー、フレーゲ 第7回:フィクションの言語行為論(1)偽装 オースチンとサール 第8回:フィクションの言語行為論(2)創造 カリー 第9回:ごっこ遊びの理論(1)ウォルトン 第10回:ごっこ遊びの理論(2)見えるものと描かれたもの 第11回:フィクションのパラドックス(1)信念 第12回:フィクションのパラドックス(2)思考、擬似感情 第13回:フィクションにおける真理(1)ルイスの理論 第14回:フィクションにおける真理(2)カリーの理論、ウォルトンの理論 第15回:視覚的なフィクション 期末レポート
【学習の方法】
・受講のあり方
講義の際に疑問点があれば質問して確認すること。 授業の中で質問・意見を募ったり、ランダムに指名して質問する場合があります。また、質問用紙を配付して意見を記入してもらうことがあります。その種の意見表明の場も活用することで、授業内容をより能動的に消化してもらえることを期待しています。
・授業時間外学習へのアドバイス
授業後、テキストや資料に目を通して内容を再確認し、疑問点や自分の考えを整理しておく。また、必要に応じて関連文献・資料を調べ、考える。
【成績の評価】
・基準
毎回のレスポンスペイパーならびに期末レポートを通じて、下記の二つの基準に沿って段階的評価を行い、結果を総合的に判定する。 ・現代の言語哲学・記号論における基本的概念・学説について初歩的な理解を身に着けていること。 ・それを踏まえて、一般にフィクションと称される多様な記号現象について、独自の考えを抱くことができること。
・方法
次のような配分で採点評価を行います。平常点(20点)、レポート(80点)、計100点。
【テキスト・参考書】
テキスト 清塚邦彦『フィクションの哲学 改訂版』勁草書房、2017年 他に必要に応じてプリントを配布します。 参考書 三浦俊彦『虚構世界の存在論』勁草書房 西村清和『現代アートの哲学』産業図書 野家啓一『物語の哲学』岩波書店 ケンダル・ウォルトン『フィクションとは何か』名古屋大学出版会 大浦康介『フィクション論への誘い』世界思想社 J・M・シェフェール『なぜフィクションか?』慶應義塾大学出版会 松永伸司『ビデオゲームの哲学』慶應義塾大学出版会
【その他】
・学生へのメッセージ
この授業の出欠確認は学生証カードを用いて行いますが、毎回、それとは別に、質問・感想記入用紙も配布・回収します。
・オフィス・アワー
場所:人文社会科学部2号館4階清塚研究室 kiyozuka@human.kj.yamagata-u.ac.jp 前期 月曜日 12:50-14:10 後期 月曜日 14:50-16:20
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