【授業の目的】
「アダプテーション」とは作品が他の表現メディアの形に置き換えられること(「原作」と同じ表現メディアにおいて形を変えて再現される場合も含む)を意味します。もっとも典型的なのは,詩や小説などの文学作品が絵画や映画,演劇などに変えられて現れることです。この授業では4人の講師がそれぞれ独自の視点から世界の文学作品とアダプテーションをめぐって縦横に語り,アダプテーションの様々な形や特徴,またその問題についての理解を深めることを目的としています。
【授業の到達目標】
地域・時代を異にした世界の様々な文学作品とそのアダプテーションの関係を立体的に捉える見方が身につきます。 「アダプテーション」の概念を理解し,この用語を使いこなすことができるようになります。
【授業概要(キーワード)】
アダプテーション パロディ 文学 詩 小説 童話 演劇 絵画 バレエ メディア 原作
【科目の位置付け】
この授業は近年注目を集めているアダプテーションをめぐって,比較文学的観点からの考察とメディア横断的な手法を駆使することによって,グローバル時代にふさわしい,文学の新しい読み方・捉え方を身につけるものです。
【授業計画】
・授業の方法
4人の担当教員が,下記のような日程のリレー式で講義を進めます。担当教員ごとの選択制ではありませんので,すべての授業に出席してください。初回と第15回は,担当教員全員が参加します。
・日程
第1回 オリエンテーション(担当教員全員) 第2〜4回(渡辺将尚): リンドバーグは英雄ではない ― ベルトルト・ブレヒト「リンドバーグたちの飛行」 『グリム童話』の中に潜むフランスの痕跡 幸せにならない白雪姫 ― エルフリーデ・イェリネック 第5〜7回(西上勝): 詩の摸擬の諸相 定型とパロディー ― 墓誌を例として 近代小説への脱皮 ― 張愛玲の場合 第8〜10回(中村隆): ホガースにおける宗教絵画のアダプテーション・翻案もしくはパロディ クルックシャンクにおけるホガースのアダプテーション・翻案もしくはパロディ ディケンズにおけるホガースのアダプテーション・翻案もしくはパロディ 第11〜13回(相沢直樹): 文学からバレエへ ── 『ドン・キホーテ』,『眠れる森の美女』,『くるみ割り人形』 アダプテーションの副産物? ── 劇中歌の研究 大きなアダプテーションと小さなアダプテーション 第14回 討論会の準備 第15回 まとめの討論(担当教員全員および受講生による質疑応答・意見交換)
【学習の方法】
・受講のあり方
各担当者から配付される資料を参考にして,重要事項をノートにとってください。疑問点は授業中やオフィスアワーでどんどん質問してください。
・授業時間外学習へのアドバイス
各担当者から担当分の授業が終わった時点で,レポートに関する指示があります。その指示に従ってレポートを提出してください。
【成績の評価】
・基準
主体的な参加の度合い,知識の修得,理解の度合い,汎用的技能(論理性,表現力)に関して総合的に判断します。4人の講義それぞれについてA4用紙1枚(1000字程度)にまとめたレポートを提出してもらいます。提出要領の詳細は,授業中に各担当者まで確認してください。
・方法
教室点(質問用紙等)20点+レポート点80点 レポートは各担当教員分をそれぞれ提出してもらいます(全部で4回)。また,これらとは別に第15回のための質問を募集しますので,積極的にお寄せください。内容により,教室点に加味する場合があります。
【テキスト・参考書】
原則としてテキストは指定せず,プリント資料等を配布します。詳しくはガイダンスにおける説明や,各担当教員からの指示にしたがってください。いずれにしても,授業開始前に取りそろえていただくようなものはありません。
【その他】
・学生へのメッセージ
出欠に関してはカードリーダーを使用しますので,学生証を忘れずに持参してください。
・オフィス・アワー
渡辺:木曜日12時~13時 西上:月曜日12時30分〜14時 中村:火曜日16時20分〜17時50分 相沢:火曜日・水曜日・木曜日の12時15分〜12時45分
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