ロシア文化論
 Russian Culture
 担当教員:相沢 直樹(AIZAWA Naoki)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科グローバル・スタディーズコース
 開講学年:3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
テーマは「絶望と希望のロシア」。
どんな国や地域,民族・人びとにも希望と絶望がさまざまあるだろうけれど,ロシア人ほど希望から絶望へ,絶望から希望への大きな振幅を(それも一度ならず)体験している人たちはないのでないかと思われる。いったいロシア人は何に絶望し,何に希望を見出してきたか? 危急存亡の秋〔とき〕にロシアはいかなる選択をし,危機をいかに乗り越えてきたか? この授業ではそれらを多角的にあぶり出し,今日のロシアとロシア人の考え方やふるまいを理解する一助とするとともに,人間にとって希望/絶望とはどういうものなのかについて改めて考えてみる。

【授業の到達目標】
1)ロシア人の世界観・価値観を理解するために前提となる知識が身につく
2)ある集団が持っている観念を解きほぐして考える視点が身につく
3)人間にとって希望/絶望とは何かを自分で考える手がかりを得る

【授業概要(キーワード)】
ロシア 希望 絶望 世界観 人生観 歴史

【科目の位置付け】
この授業は,歴史的事件や口承文芸,文学作品,映画等の様々な事例を渉猟し,ロシアの歴史とロシア人の思考の型についての知識と理解を深めるものです。カリキュラム・ポリシーとの関係については,「カリキュラム・マップ」を参照し,よく理解したうえで履修してください。

【授業計画】
・授業の方法
資料や映像を駆使しながら普通にどんどん講義します。疑問に思ったことはなんでも質問してください。
・日程
第1回 ガイダンス

第2回・第3回:大地の掟/切望された国
「剣を携え来る者はまた剣によって滅ぶ」アレクサンドル・ネフスキー(13c.)
「過去ふたつのローマは滅びたが,第3のローマ(=モスクワ)は不滅だ。第4のローマはありえない」フィロフェイ(16c.)

第4回・第5回:口承文芸に描かれたロシアの人びと
ロシアの民話と民謡にみる庶民の暮らし,女性の生き方
諺(ことわざ)にみるロシア人の希望と絶望

第6回・第7回:文学作品の中の女性たちの生き方
「その日はいつ来るか?」エレーナの選択とドブロリューボフの苛立ち <『その前夜』1860
「幸福な家庭はすべてよく似たものであるが、不幸な家庭はみなそれぞれに不幸である」 <『アンナ・カレーニナ』1873-77

第8回〜第10回:ニヒリズム,リアリズム,テロリズム
「彼はニヒリストです」 <『父と子』1862
非凡人はすべてを許されるのか? <『罪と罰』1866
「秋の夜が落ちて,星が光りはじめたら,わたしは最後の言葉を言おう。わたしの拳銃はわたしとともにある」 <『蒼ざめた馬』1909

第11回〜第13回:社会主義ユートピアとソ連
ソ連体制を生きた女性たち(1) 集団農場のマリーナばあさんと共産党員トーニャ
ソ連体制を生きた女性たち(2) 反体制知識人ラリーサとタマーラ
ソ連崩壊と自殺者

第14回:絶望の形而上学
「よく分かりませんが,ゾーンは絶望した人間を通すように見えます」 <映画『ストーカー』1979

第15回:まとめ

【学習の方法】
・受講のあり方
まずは講義内容を理解するよう努めてください。分からないことがあれば質問してください。
・授業時間外学習へのアドバイス
特に指示のないかぎり,予習は必要ありません。図書館で関連する本を探したり,紹介された映像作品を見てみましょう。

【成績の評価】
・基準
主体的な参加の度合い,知識の修得,理解の度合い,汎用的技能(論理性,表現力)に関して総合的に判断します。
講義の終わりにレポートを提出してもらいます。
・方法
授業参加:20点+レポート:80点
授業参加は授業後に提出してもらうコメント・カードへの書き込み(質問やコメント等)を評価します。レポートはロシア文化についての知識・理解を測りつつ,着眼点と独創性,表現力を評価します。

【テキスト・参考書】
原則としてテキストは指定せず,適宜プリント等を用意します。詳しくはガイダンスにおける説明や,授業途中での指示にしたがってください。いずれにしても,授業開始前に取りそろえていただくようなものはありません。

【その他】
・学生へのメッセージ
「ロシア文化論」の受講に際しては,ロシア語の知識は必要ありません。
・オフィス・アワー
授業時間外にみなさんの質問に答える「オフィス・アワー」は,相沢研究室(人文3号館8階)において,原則として火曜日・水曜日・木曜日の昼休み(12:15~12:45)としますが,これに限らず在室している時は随時対応します。また,会議や出張等で不在にすることもあるため,確実に面談したい場合は事前に予約をお願いします。連絡先は、初回の授業でお知らせします。

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