法制史
 Legal History
 担当教員:出口 雄一(DEGUCHI Yuichi)
 担当教員の所属:桐蔭横浜大学法学部
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:集中講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
日本の法システムについて考えるにあたっては、そもそも我が国の法が西洋法の影響(「法の継受」)によって構築されてきたという歴史を踏まえることが重要である。そのことを理解するためには、西洋法がどのようなものかを理解し、かつ、近世末期に西洋と接触するまでの日本社会の特質を把握することが必要となる。法制史の授業では、日本近現代の法の歴史をこれらの前提を踏まえて叙述することで、日本において「法」とは何か、という問いに向き合うことを目指す。

【授業の到達目標】
本授業の到達目標は、1)実定法学を専攻する履修者については、基礎法学の観点からより幅広く法について考えることができるようになること、2)実定法学を専攻しない履修者については、法の基礎的素養を身につけること、そして、3)全ての履修者に共通して、そもそも「法」とは何かという問いに向き合い、自分なりに考えてみることである。これらを通じて、多様化する現代社会において「他者」といかに共生するか、という知見を身につけることが出来るであろう。

【授業概要(キーワード)】
日本、近現代史、基礎法学

【科目の位置付け】
この授業は、法に関わる基礎的な問題について歴史的・比較法的な観点から論理的に分析し、自分なりの見解を導く力を身につけるものである(人文社会科学部のカリキュラム・ポリシー)。

【授業計画】
・授業の方法
本授業では、まず分析枠組みを比較法の観点から提示し、西洋法の特色、及び、前近代の日本社会の特色を概観した後、明治初期から戦後にかけての日本の近現代法の歴史について取り上げる。授業は、1回につき1つのトピックを取り上げ、レジュメ及び資料を配布する形で進行する。コメントペーパーを利用するなどの形で受講者の意見も適宜求めつつ、双方向性を担保しながら進行していきたい。
・日程
主要なテーマと順序は以下を予定している。
第1回 ガイダンスと分析枠組の説明――基礎法学としての法制史
第2回 世界における法の分類――西洋法と非西洋法
第3回 西洋法の特色――大陸法
第4回 西洋法の特色――英米法
第5回 非西洋法としての日本法――古代社会と中国法の継受
第6回 非西洋法としての日本法――中世社会から近世社会へ
第7回 西洋との接触と明治国家の形成
第8回 日本における西洋法の継受――「立法的摂取」
第9回 日本における西洋法の継受――「法学的摂取」
第10回 西洋法の定着と変容――「自覚的摂取」?
第11回 戦時体制と「固有法」
第12回 占領管理体制と戦後法制改革
第13回 戦後体制と現代の日本法
第14回 日本法とは何か――西洋法か非西洋法か?
第15回 試験とまとめ

【学習の方法】
・受講のあり方
配布したレジュメ及び資料に要点及び疑問点などについて書き込みを行う他、講義内容を自分なりにまとめる形でノートを作成し、自らの理解を深めていただきたい。
・授業時間外学習へのアドバイス
日本近現代を対象とする通史的な文献を1冊通読し(難易度は問わない。高校の際に用いた参考書などでも差し支えない)、歴史の大まかな流れについての一定の理解をもって臨むと、イメージがつかみやすくなると思われる。また、より専門性のある知見を求めたいという履修者には、授業内で紹介する参考文献を是非手にとってみていただきたい。

【成績の評価】
・基準
日本法の歴史についての大まかな流れを把握し、また、「継受」される対象となった西洋法の特色についても理解し、論理的に思考できていること。
・方法
 期末テスト(持ち込み可の試験を予定している)60点、平常点(授業最後に記入いただくコメントペーパーなどを基礎とする)40点の配分で評価する。

【テキスト・参考書】
授業内で適宜指示する。関心のある履修者は、事前に以下の2冊を参考書として手にとっていただきたい。
出口雄一・神野潔・十川陽一・山本英貴編『概説 日本法制史』(弘文堂、2018年)
高谷知佳・小石川裕介編『日本法史から何がみえるか――法と秩序の歴史を学ぶ』(有斐閣、2018年)

【その他】
・学生へのメッセージ
法についてより深く学びたい履修者、また、歴史が好きで本を読むことが苦にならない履修者を歓迎する。
・オフィス・アワー
 質問等がある場合は、授業終了後に受け付ける。または、下記メールアドレスにお問い合わせいただきたい。
ydeguchi@toin.ac.jp

11041026-2019-31-12476