行政学b
 Study on Public Administration (b)
 担当教員:源島 穣(GENJIMA Yutaka)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科地域公共政策コース
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:2年,3年,4年  科目区分: 
【授業の目的】
後期の授業では、主に地方政府に焦点を当てた上で、日本の地方自治の仕組みと活動の理解を深めることを目的とします。今日の地方自治は、中央政府よりも深刻な財政難と、少子高齢化、過疎化、災害といった日常生活の存続にかかわる公的課題に直面しています。そのため自治体は、かつてのように単独で公共サービスを提供するのではなく、地域の企業や団体、住民との協働による公共サービスの提供を求められています。本講義では、こうした状況において、地方自治の実施体制がどのように構成されており、公的課題に対してどのように取り組んでいるのかを取り上げます。

【授業の到達目標】
この授業を履修した学生は、
1)地方自治の仕組みと活動を記述できる。
2)地方自治をめぐる公的課題に対する取組みを説明できる。

【授業概要(キーワード)】
地方分権、課税自主権、住民参加、メタ・ガバナンス

【科目の位置付け】
学部・学科のカリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解したうえで履修してください。

【授業計画】
・授業の方法
前半では、地方自治の歴史と、今日的な公的課題をおさえたうえで、地方自治を展開するための制度を解説します。様々な制度がどのような機能を担うことで、相互に連関し、一つの実施体制として成立しているのかを学びます。後半では、実施体制が公的課題に対して、実際にどう機能しているのかを解説します。公的課題に取り組むための行動理論と、政策決定過程をおさえた上で、今日の代表的な公的課題に対して自治体がどのような政策を決定し、住民などの諸アクターと協働しているのかを学びます。さらに、そうした取り組みに対する評価の手法を学ぶことで、成果と課題についても考察していきます。
・日程
(1) 地方自治の史的展開:なぜ地方分権の時代になったか
(2) 日本/東北の公的課題に対する地方自治の役割
(3) 税財政:予算の確保と編成
(4) 政治家:首長と議会の権限、委員会制度
(5) 公務員:人事と組織編成
(6) 住民参加:参加の手段と形態
(7) 第6回までのまとめと小テスト
(8) 自治体改革:NPMとネットワーク・ガバナンス
(9) 自治体の政策決定過程①:課題設定~政策立案まで
(10) 自治体の政策決定過程②:政策決定~政策実施
(11) 政策実践①:介護福祉
(12) 政策実践②:子育て
(13) 政策実践③:震災復興
(14) 政策評価:量的指標と質的指標
(15) 後期のまとめとレポート課題の説明

【学習の方法】
・受講のあり方
地方自治を学ぶ上でも、専門用語や概念をおさえることは不可欠です。ですが、本講義では教科書に沿った説明に終始するのではなく、その専門知識が地方自治のどの局面で必要になるのか、映像資料などを活用し、円滑に理解できるようにします。また、授業ではパワーポイントを使用し、そのコピーを配布するので、重要箇所に線を引くなどしてください。
・授業時間外学習へのアドバイス
前期と同様に、本授業では専門用語や概念が多く登場します。それらの理解は特に将来的に公務員を志望する場合、重要になります。理解を容易にするためにも、授業前後を通じて、参考書を購入して通読してください。また、各回の授業後はスライドのコピーを読み直してください。

【成績の評価】
・基準
毎回の授業で配布するコメントペーパーの内容、小テスト、期末レポートで評価します。
1)コメントペーパーでは、毎回の授業内容の理解を評価します。
2)小テストでは、授業で取り上げる専門用語や概念を理解できているかを評価します。
3)期末レポートは、地方自治に関する事例についてまとめたものを提出します。
・方法
コメントペーパー、小テスト、期末レポートを合わせて100点とします。
配分は、コメントペーパー:20点、小テスト:40点、期末レポート:40点です。

【テキスト・参考書】
テキスト:特に指定しません。授業の際に、各回のテーマに関する参考文献を紹介します。
参考書:村松岐夫編『テキストブック地方自治〔第2版〕』(東洋経済新報社)、柴田直子・松井望編『地方自治論入門』(ミネルヴァ書房)
これらは授業で間接的に使用します。いずれも図書館に入っているので、目を通しておくとより理解が深まります。

【その他】
・学生へのメッセージ
前期の授業と同様に、レスポンスペーパーには各回の理解度の確認内容だけでなく、講義の感想や質問、要望について気づいたことは何でも書いてください(もちろん講義の感想、質問、要望は成績評価に影響しません)。こちらもレスポンスペーパーへの返答だけでなく、問いかけを多く行うつもりです。直接話したいことがあれば、講義の前後やオフィスアワーでも対応します。講義に関連する内容(より発展的な研究や資格試験の情報など)も、関心のある受講生は質問してください。
・オフィス・アワー
月曜日 13:00~15:00 源島研究室。
それ以外の日時は事前に連絡ください。適宜調整します。

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