【授業の目的】
政策法務とは、「法を政策実現の手段と捉え、政策実現のためにどのような立法、法執行、争訟評価が求められるかを検討する理論及び実務における取組み」であるとされ、そこでは、法律学、政策学(政治学)、経済学と区分されるそれぞれの専門知識の総合的な活用が必要となる。 本講は、政策法務という概念をキーにして、本学部の社会科学系コースの法律学、政治学、経済学の教員が、それぞれの専門科目の課題について、オムニバス形式で体系的に講義するものである。 但し、本学の地方大学という特性から、その考察対象を専ら地方自治体による政策とする。また、他コース分野の科目については精通していないことを想定した講義内容とする。例えば、法律問題を扱うに当たっては、地域公共政策あるいは経済経営コースの学生の受講にも配慮する。
【授業の到達目標】
(1)公共的な政策課題についての客観的、分析的な把握をすることができる。 (2)それら課題の解決のための諸手法・制度について理解し、どのような解決方法が、正しく、有効であり、効率的であるのかについて判断するための指標・手法について理解している。 (3)以上により、あるべき政策について追究・考察することができ、現実の行政の活動について、批判的に検討することができる。
【授業概要(キーワード)】
自治体政策、政策条例、まちづくり、政策評価、条例評価
【科目の位置付け】
本講は、現代社会で活躍するために必要な知識と教養を身につけるための、クロス・ディシプリナリーな教育の実現(人文社会科学部のカリキュラム・ポリシー)の一環として開講される、総合法律コースと地域公共政策とのコース横断科目である。
【授業計画】
・授業の方法
基本的にテキストを使用して講義形式で行い、必要に応じて映像資料を用い、プリント・資料を配布する。また、適宜、授業内容に関するアンケートを実施し、授業内容・方法についての問題点・要望を問い、フィードバックに利用する。
・日程
(1)導入・概説:政策法務という戦略-法律論と政策論の融合(和泉田保一) (2)政策法務の歩み/広がる条例の世界(和泉田保一) (3)自治を支える政策法務-デモクラシーの制度設計(今野健一・中島宏) (4)政策分析の基礎-公共政策の見方・つくり方 全2回 (川村一義) (政策とは何か、政策分析の枠組・理論・モデル、政策はどのように形成・実施されるか) (5)自治体の守備範囲の理論-市場・政府・コミュニティの役割分析(是川晴彦) (6)条例評価と立法事実の理論-「すぐれた条例」とはなにか(川村一義) (7)政策手法の理論(和泉田保一) (8)憲法と条例-人権保障という思想 全2回(今野健一・中島宏) (9)分権改革の到達点-自治体の権限はどこまで拡大したか(和泉田保一) (10)条例制定権の限界-「適法な条例」とはなにか(和泉田保一) (11)分権時代の条例論-条例は国法を乗りこえられるか(和泉田保一) (12)政策法務の実践 全2回(川村一義・和泉田保一)
【学習の方法】
・受講のあり方
1)テキストを購入し,本文に線を引くなどして活用する。 2)テキスト、レジュメ、資料等も含めて講義において示される内容について、ノートにまとめて内容の理解に努める。
・授業時間外学習へのアドバイス
事前にテキストを読んでおくことが必須である(講義は原則的にテキストの順序通り進める)。 また、公共的課題についてのニュース等に注意し、関心のある問題については、本講で学修した概念を応用して、分析、立案(あるいはその評価)等を試みてほしい。
【成績の評価】
・基準
(1)公共的課題について関心があり、その解決方法を主体的に追究する姿勢があるか (2)政策法務に関する基本的概念を理解しているか (3)公共的課題とその解決について、その手法としての政策法務の作用や意義について理解しているか (4)以上の理解を応用して具体的な課題の解決方法について検討・考察することができるか
・方法
平常点(授業への主体的な参加等)15% レポート1 25% レポート2 25% 最終レポート 35%
【テキスト・参考書】
テキスト 礒崎初仁『自治体政策法務講義 改訂版』(第一法規出版・2018年) 参考書 授業中において、適宜指定する。
【その他】
・学生へのメッセージ
本講では、自治体政策法務をキーとして多様な学問分野の考え方や手法を学修することになりますが、本講を学修する上で最も必要な資質は、社会における公共的課題への関心とその解決を希求する熱意です。一緒に公共的課題について考えていきましょう。
・オフィス・アワー
月曜日 14:40~16:10 和泉田研究室。 但し、会議や出張等で不在にすることもあるため、確実に面談したい場合は事前に予約することをお勧めします。連絡先は、初回の授業でお知らせします。
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