学部導入セミナー(医学部医学科)
 Faculty Induction Seminar(School of Medicine,Faculty of Medicine)
 担当教員:山崎 健太郎(YAMZAKI Kentaro),今田 恒夫(KONTA Tsuneo),中西 淑美(NAKANISHI Toshimi)
 担当教員の所属:医学部医学科
 開講学年:1年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:演習
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
医学・医療の勉強を始めるに当たり、医学者あるいは医療人として求められる社会的役割を理解し、併せて地域・国際医療に貢献するための能力を獲得する必要がある。そのためには、まず地域の健康・保健の在り方と現状及び課題を理解することを第一の目的とする。次に、医師や医学研究者あるいは医療行政に携わる者は人の命に深く関わり人の健康を守るという職責を十分に自覚し、患者中心の医療や研究を実践し、医師・医療人としての道(みち)を極める態度を身につけることを目的とする。そのために本セミナーでは、医療と医学研究における倫理の重要性を学び、豊かな人間性と生命の尊厳についての深い認識と職責について理解するための授業を実施し、さらにインフォームドコンセントやチーム医療を主体とした患者や他の医療従事者とのコミュニケーションの重要性についても理解し、実践方法についても討論できることを目的とする。加えて、これらの授業や演習を通じて、グループの発言に配慮しつつ、自ら考え、討論や発表することの必要性を身につけることも併せて目標とする。

【授業の到達目標】
①医学・医療の歴史的な流れとその意味を概説できる。
②臨床倫理や生命倫理に関する問題を概説できる。
③ヒポクラテスの誓い、ジュネーブ宣言、ヘルシンキ宣言、リスボン宣言などの倫理に関する規範を概説できる。
④患者やその家族のもつ価値観や社会的背景が多様であり得ることを認識し、そのいずれにも柔軟に対応すべきであることを認識できる。
⑤医療の限界があることを概説できる。
⑥医師の法的義務を列挙できる。
⑦講義や実習、各種文献の内容について、重要事項や問題点を抽出できる。
⑧得られた情報を、客観的・批判的に整理して自分の考え方をわかりやすく表現し、文書と口頭で発表できる。
⑨医療行為が患者と医師の契約的な信頼関係に基づいていることを説明できる。
⑩地域社会における医療の現状を概説できる。
⑪人々の暮らしの現場において病気・健康がどのようにとらえられているかを概説できる。
⑫研究は、医学・医療の発展や患者の利益の増進を目的として行われるべきことを説明できる。
⑬生涯学習の重要性と、キャリアステージにより求められる能力に異なるニーズがあることを理解する。

【授業概要(キーワード)】
学生主体型授業、リサーチマインド、医療と社会、生命倫理、医師の義務と裁量、患者の権利、インフォームド・コンセント、基礎医学、臨床医学、社会医学

【科目の位置付け】
1.プロフェッショナリズム 2.コミュニケーション能力 3.社会における医療の実践 4.科学的探究 5.生涯にわたって共に学ぶ姿勢
<医学教育モデル・コア・カリキュラム(平成28年度改訂版)の該当項目>
A-1 プロフェッショナリズム 医の倫理と生命倫理、患者中心の視点、 医師としての責務と裁量権、 A-2-2 学修の在り方、 A-4-2 患者と医師の関係 A-7 社会における医療の実践、 A-8 科学的探求 A-9 生涯にわたって共に学ぶ姿勢、B-1-6 社会・環境と健康、B-3 医学研究と倫理  

【授業計画】
・授業の方法
講義および課題を与えてそれに対するグループ討論を行う。また、レポートを作成する。
・日程
講義時間:前期水曜日8:30~10:10  飯田キャンパス
講義内容(予定)
4月10日 オリエンテーション、4月17日~5月15日 医学・医療と社会、5月22日~7月31日 プロフェッショナリズムとコミュニケーション能力(医学史、医学倫理、患者の権利、医師の義務と裁量、インフォームド・コンセント)

【学習の方法】
・受講のあり方
内容が正しいか誤りかは問わない。積極的な討論への参加を期待する。さらに、知識を受動的に取得するのでなく、考える学習で臨むこと。
基盤教育科目や医学専門教育科目で学んだ内容との、有機的連携を図ること。
・授業時間外学習へのアドバイス
他の授業や課外活動において、人の生活や医療・健康保健が相互にどのように結びついているか常に考える習慣をつける。
成書など内容が保証された文献や情報を確認する。
本授業はグループ行動になるので、発表内容や方法について密に連絡をとりあう。

【成績の評価】
・基準
レポート及び討論の内容により評価する。配分は単元により異なる。レポートには問題解決のための過程や方法、そして次段階何を実践すべきかを明記されているかを基準に評価する。
・方法
4分の3以上の出席がない場合は不合格とする。その上で討論の内容について40%前後、レポートの内容について50%前後の比重を付け単元毎に採点し成績評価する。

【テキスト・参考書】
厚生労働省編 厚生労働白書平成31年版
Danielle Ofri著 医師の感情--「平静の心」がゆれるとき 医学書院
Ellen L Rothman 著 宮坂勝之 訳 ハーバード医学校-わたしが選んだ道   西村書店

【その他】
・学生へのメッセージ
ここに取り上げるテーマや課題は、入学直後に取り組むのには、抽象的な内容を含むものである。しかし、医師や医学者として道を歩むに当たり、常に念頭に入れておかなければならないテーマであり、かつ将来必ず直面する問題である。分担を決め、グループの他の者に任せきりにせず積極的に学習することを期待する。
・オフィス・アワー
月~金曜日(祝日を除く) 9:00~17:00 飯田キャンパス基礎校舎法医学講座で受ける。ただし,所用で不在にすることがあるので事前に連絡をとることが望ましい。
<山形大学医学部医学科で教えていること> 医学史や医事紛争についての課題も用意している。

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