【授業の目的】
なぜ,私たちは遠い宇宙のことを考えるのでしょうか。人によってさまざまな答えがある中で,「宇宙を深く知ることで、人生観が豊かになるから」という一つの答えがあります。 たとえば,こんなことを想像したことはありますか。光の速さでも100万年以上かかるほど遠く離れた銀河,宇宙の全てが1点に集まり極限まで高温高密度だった宇宙の始まり,そして全ての物質が素粒子まで分解されて終わるかもしれない宇宙の未来。これらの知識は日常から掛け離れているため,私たちは無関心に陥ってしまいそうになりますが,どうしても超えられない人類の限界を認識させてくれるという重要な意味を持っています。宇宙を考えることで少し悲しい思いがこみ上げてくることもありますが,そこから限りある人生を前向きに生きようという強さを引き出すこともできるのです。 この授業では観測,歴史観,そして人生観という3つの観方で宇宙を眺めていきます。
【授業の到達目標】
1. 物理概念を理解しながら宇宙の問いを解決していくことで,光の性質や原子の仕組みなどの知識を習得する 2. 習得した知識に基づき,宇宙に関するいくつかの現象を説明できるようになる 3. 習得した知識に基づき,「なぜ宇宙開発を行う必要があるのか」などの社会的な問いについて,自分の意見を客観的に説明し,他者の意見に傾聴できるようになる 4. 習得した知識に基づいた人生観を身につける
【授業概要(キーワード)】
宇宙論,素粒子論,物理学,宇宙史,宇宙開発,学生主体型授業(アクティブラーニング▽□▼■△☆▲)
【科目の位置付け】
この授業は宇宙について人文・社会・自然の3分野の観点から学習することによって,人生をより力強く生きようとする力である「人間力」を習得するものである。
【授業計画】
・授業の方法
この授業では,双方向的なやり取りを重視した講義を中心に授業を進めますが,「スペクトル管の実験」などいくつかの物理実験や,学生同士で議論するグループワークも行います。 授業の終盤では,宇宙開発に関するディベートを行います。
・日程
第①回 オリエンテーション(授業内容と授業の進め方の確認) 第②〜④回 宇宙の構造 (1) 宇宙とは何か? (2) 宇宙はどのくらいの大きさなのか? 第⑤〜⑦回 宇宙の歴史 (1) 宇宙はどのように進化しているのか? (2) 宇宙はいつ始まったのか,そしていつ終わるのか? 第⑧〜⑪回 宇宙の組成 (1) 宇宙は何でできているのか?(2) 物質はどのようにして作られたのか? 第⑫〜⑬回 宇宙と生命 (1) 生命が住める星の条件とは何か? (2) 地球外生命体はどのくらい存在するのか? 第⑭回 宇宙開発と社会 長期的に持続可能な社会のあり方とは何か?(ディベートおよびプレゼン) 第⑮回 総まとめおよび理解度認定
【学習の方法】
・受講のあり方
講義内容を記憶することの重要度はさほど高くありません。より重要なことは,講義で聴いたことと自分の関心をつなげ,自分の考えを創り出すことです。
・授業時間外学習へのアドバイス
レポート課題は提示されたらすぐに取りかかるようにし,考える時間を十分に取ってください。
【成績の評価】
・基準
光の性質や原子の仕組みなど,宇宙や物理に関する知識を習得し,宇宙に関するいくつかの現象を説明できること。また,宇宙開発に係わる社会的な問いについて,自分の意見を客観的に説明し,また,他者の意見に傾聴できることを合格の基準とします。
・方法
1. 受講態度 (30%) 「授業中に積極的に発言したか」などを考慮 2. レポート (70%) 「論理的に記述されているか」「独自の考えが記述されているか」などを考慮
【テキスト・参考書】
テキストは使用しません。参考書は進度に合わせて授業中に適宜紹介します。
【その他】
・学生へのメッセージ
宇宙はあらゆる分野につながる数少ない事象の一つです。多様な知識・観点が宇宙をキーワードに体系化される様子を一緒に愉しみましょう。
・オフィス・アワー
金曜日16:30〜17:30。基盤教育1号館2階E-220号室。連絡先などは初回の授業でお知らせします。
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