情報社会論(社会学)
 Information society theory(Sociology)
 担当教員:加納 寛子(KANOH Hiroko)
 担当教員の所属:学士課程基盤教育機構
 開講学年:1年,2年,3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
情報社会論〜超効率主義の構図〜
年功序列・学歴主義・業績主義(メリトクラシー)の崩壊のあとに台頭してきたのは,効率主義である.つまり,国内の工場で長い年月と労力をかけてしかも高い賃金を支払わなければいけない熟練工を育てるよりも,安い賃金で雇えるならばよその国から優秀な熟練工を連れてこよう,あるいは工場ごと海外に移動し低コストで世界相手に大量に製造していこうという発想である.学歴も業績も問わない,即戦力となる人材が可能な限り低コストでほしい,ルーチンな作業をこなすのは高いコストのかかる正社員でなく作業量に応じて調整のきく非正規の社員で補いたい,幹部候補として育てるためには途中で退職する可能性が低く育てた後も長く貢献してくれるできるだけ若い人材の方がいい.このように現代の日本社会は,低コスト高効率を極限まで追求しようとする傾向が非常に顕著であり,この傾向を超効率主義と命名しており,超効率主義の構図について議論する.

【授業の到達目標】
情報社会の構造や様々なメディアのメリットとデメリットについて,自分の言葉で述べることができるようになる。

【授業概要(キーワード)】
情報社会、超効率主義、情報モラル、IoT、学生主体型授業(アクティブラーニング)△▽▲▼□■★☆○●◎◇

【科目の位置付け】
情報社会で生きるために学ぶべき教養として位置づける教養科目である。

【授業計画】
・授業の方法
情報社会の構造や様々なメディアのメリットとデメリットについて考え,プロジェクト学習を行う.
※ 大学でマイクロバスのチャーターができた場合には,全員で情報化社会に関わる産業等の見学に出かける場合もある.あるいは,プロジェクトの内容によっては,グループ単位で見学に出かける.
・日程
第1回 オリエンテーション (第2回までの課題が出るので、休んだ場合は、必ず確認すること)
第2回~第7回 我が国や海外のIoTの発展やそれに伴う社会構造の変化について、教科書の順に読み進めディスカッションを行う。
第2回 テキスト第1章を読んで
第3回 情報社会の進展に伴う社会構造の変化について、テキストにある表と、現在の最新データを比較して検討する。
第4回 ジニ係数の算出の仕方とジニ係数を比較した議論
第5回 テキスト第2章を読んで
第6回 最新のサイバー犯罪の事件を元に議論
第7回 テキスト第3章を読んで
第8回 テキスト第4章を読んで
第9回 第8回までに学んだことから、IoTに囲まれたスマート社会を推察し、スマートシティーのモデルを作成し、小型ロボットをその中を歩かせ、AIモラルについて考察する。
第10回 AIモラルについてまとめる
第11回 情報社会の進展に伴う社会問題について一つテーマを決め調べ、調べてわかることと知りたいことを決める。
第12回 知りたいことを尋ねる質問項目を決め、受講生間でそれを尋ねる。 
第13回 上記の集計結果をまとめる
第14回 上記の集計結果に関して考察をまとめる。
第15回 課題の発表とまとめ

【学習の方法】
・受講のあり方
出席は重視しませんが,課題の締め切りは重視します.
メモをとりながら聞く習慣をつけましょう.少なくとも,メモをとるように指示した内容は,きちんと記録してください.記録で来ていない場合は,減点する場合もあります.
・授業時間外学習へのアドバイス
反転学習のスタイルをとっています。復習が不要なわけではありませんが、予習重視です。

【成績の評価】
・基準
多くの課題は,前の課題とつながっています.後ろの方の課題は,前半の内容が生かされている必要があります.
たとえば,
・SNSの利用のメリットとデメリットの議論
・ジニ係数の算出とその偏りについての議論
・THE DIGITAL SOCIETY INDEX 2018リポートの輪読
を終えた後に,「スマートシティーのモデルを作成しよう」という課題を出した場合には,SNSの普及に伴う問題と,ジニ係数の偏りと,リポートの内容を活用したモデルを作成する必要があります.授業で学んだことがしっかり身についていることを課題等から評価します.
・方法
授業の予習状況 10点
ジニ係数課題など教科書内の小課題 10点✕5回
プロジェクト学習 30点
課題発表 10点

【テキスト・参考書】
[テキスト] 加納寛子(2007)『情報社会論〜超効率主義の構図〜』 北大路書房
[参考書]・レポートの書き方について
加納寛子(2010)『チャートで組み立てる レポート作成法』丸善
・情報社会の諸問題について
『即レス症候群の子どもたち ケータイ・ネット指導の進め方』日本標準(2009)
『「誰でも良かった殺人」が起こる理由 ― 秋葉原無差別殺人事件は何を問いかけたか』日本標準ブックレット(2008)
『ケータイ不安〜子どもをリスクから守る15の知恵』NHK出版生活人新書(2008)
『現代のエスプリNo.492 ネットジェネレーション バーチャル空間で起こるリアルな問題』至文堂(2008)

【その他】
・学生へのメッセージ
千利休の思想に[守・破・離]の思想があります.1年生の教養科目は,[守]の部分が中心です.まずはテキストや,文献・新聞などを読むことができるようになってください.また,ディスカッションで意見を述べるときには,思いつきの意見ではなく,エビデンス[根拠]を明確にした意見を述べられるようにしてください.
ホームページ:http://pbdspace.kj.yamagata-u.ac.jp/
・オフィス・アワー
特に定めませんが、質問のあるときは、メール等でアポイントを取って下さい。

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