世間の歩き方(山形から考える)
 Seken Travel Guide (Thinking Outside Yamagata)
 担当教員:小倉 泰憲(OGURA Yasunori)
 担当教員の所属:理学部
 開講学年:1年,2年,3年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
本授業では日本社会に特有の側面である「世間」について理解していく。世間は日本中のいたるところ,大都市や地方に,広い範囲のものから,狭いものまで,様々な形で浸透している。世間においては,人々がお互いに助け合うという特長もある一方,生きづらさを感じさせる特徴も持っている。山形で学ぶということは,山形における世間を知る絶好の機会である。本授業では学生一人ひとりにとっての世間に着目し,今,山形大学で学ぶということを通じて自分の世間を客観的に表現でき,世間とうまく付き合えるようにしていく。

【授業の到達目標】
1)世間を対象化し,客観的に表現できる。
2)個人的なエピソードを客観的な視点で分析できる。


【授業概要(キーワード)】
学生主体型授業(アクティブラーニング)▽▼△☆〇◎,世間,空気,社会

【科目の位置付け】
この授業は,基盤教育の基本理念のうち,山形という地域の具体的・実践的な視点から日本や世界を把握する力を育むための科目である。<基盤教育については,『基盤教育マニュアル』「山形大学基盤教育の基本方針」を参照のこと>

【授業計画】
・授業の方法
第3回までは世間に関する基礎的な講義と世間の研究方法を説明する。その後,グループ別に取り組みテーマを決める。グループ規模は4名~6名程度とする。ただし,状況によっては1名で取り組むことも認める。第5回以降はグループ(あるいは個人)単位で,調査・資料準備,プレゼンテーション準備,リハーサル,プレゼンテーションといった取り組みを行う。これを2セッション実施する。
・日程
1.オリエンテーション
2.「世間」とは
 ・なぜ世間を扱うのか
 ・世間とは(世間学,菊と刀)
 ・世間と社会
3.世間の意識化(外在化と批判的思考)
 ・日本の,そして「山形のあたりまえ」を探る(男女差別,名刺交換)
 ・日常の中の世間(「山形で」/日本で:親子の関係)
 ・学校の中の世間(群読,組体操,「空気よめ」「いじめ」「敬語」「人間関係」)
4.テーマ検討(全員で分類,テーマ配分)
5-14.グループワーク
 ・調査・資料準備
 ・プレゼンテーション準備
 ・リハーサル
 ・プレゼンテーション
15.全体まとめ

注1)授業の進行状況に応じて順番や内容が変更されることがある。
注2)グループワークにおけるプレゼンテーション回数は2回程度を予定しているが,受講人数に応じて調整する。

【学習の方法】
・受講のあり方
この授業では個人ワークやグループワークの中で個人的なエピソードを扱うことがある。このため,お互いのプライバシーの保護と尊重が求められる。
・授業時間外学習へのアドバイス
グループ活動では授業時間以外に集まるなどして取り組む場合がある。その際,グループメンバー間の連帯行動が求められる。

【成績の評価】
・基準
世間という概念を客観的に表現できることと,自分の世間にまつわる個人的なエピソードを客観的な視点で分析できることを合格の基準とする。
・方法
 複数回の中間レポート(3回予定,合計50点)と最後のレポート(50点)で評価する。
 授業ルールを設定し,これに同意した者のみ受講を認める。同意しないままレポートを提出しても得点にはならないし,後から同意しても評価をしないので十分に注意すること。

【テキスト・参考書】
参考書:
・阿部謹也『「世間」とは何か』1995
・鴻上尚史『「空気」と「世間」』2009
・佐藤直樹『目くじら社会の人間関係』2017
・山本陽史『「世間」と「社会」-日本社会論の試み』“VarsityWaveeBooks”(全国大学生協連合会)

【その他】
・学生へのメッセージ
日本の中での「あたりまえ」に違和感を持ったり,生きづらさを感じている人がいるが,これは「世間」によるものかもしれない。自分なりの問題意識を持って授業に参加することをお勧めする。
・オフィス・アワー
火・水の12:00~13:00/研究室(理学部3号館A402号室)

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