【授業の目的】
結晶の相転移機構の理解や機能性ナノ材料の設計,たんぱく質・DNAなどの生体分子の解析や創薬など,原子・分子レベルでその素過程の理解が求められる分野は多岐にわたる.分子動力学法は,原子・分子間に働く力をモデル化し,その運動方程式を数値積分することで,原子・分子ひとつひとつの運動を計算する.そして,統計熱力学を基礎とした解析により,計算した原子・分子の運動から実現象の物理機構を解明するための知見が得られる. 本講義は,分子動力学法の数理的原理と解析手法を理解するとともに,実習を通じて分子動力学法を具体的な系に適用する方法を学ぶことを目的とする.
【授業の到達目標】
(1)分子動力学法の数理的原理を説明できること (2)実際にプログラムを動かし基礎的な分子動力学計算を実施できること
【授業概要(キーワード)】
力学,数値計算,プログラミング
【科目の位置付け】
学部開講科目である「物理学I,II」で学んだ力学・熱力学を基礎として,より発展的な内容を学ぶ.また,「プログラミング演習I, II」で学んだプログラミングの知識を応用し,計算プログラムを実装する.
【授業計画】
・授業の方法
基本的に講義形式で授業を進めるが,全15回の講義のうち2回は実際に計算機を使って実習を行う.実習では,C言語を用いてプログラムを書いてもらう.
・日程
1.分子間力,分子モデルと計算機実験(1回) 2.分子動力学法の基礎(1回) 3.ポテンシャルと力 (1回) 4.計算機を使った実習I(1回) 3.解析力学の復習(3回) 4.拡張系の分子動力学法(3回) 5.正準変換とシンプレクティック差分法(3回) 6.データ解析(1回) 7.計算機を使った実習II(1回) ただし,上記の内容・日程は受講者の理解度に応じて変更されることがある.
【学習の方法】
・受講のあり方
遅刻しないように努め,主体的に学ぶ姿勢を持つこと.質問は随時受け付けるので,分からないことは質問すること.
・授業時間外学習へのアドバイス
基礎となる力学をしっかりと理解すること.自分で手を動かして式を導出をすること.実習ではC言語を用いるので,基本的な構文などを復習しておくこと.
【成績の評価】
・基準
「授業概要(到達目標)」の各項目が達成されていることを,期末レポートで示すことが,合格の基準となる.
・方法
期末レポートで6割以上回答できていることを合格の基準とする.
【テキスト・参考書】
【テキスト】 上田顕,分子シミュレーション―古典系から量子系手法まで,裳華房,5832円
【その他】
・学生へのメッセージ
分子動力学法に必要な基礎的知識と技能を習得する講義です。積極的に取り組んで下さい。
・オフィス・アワー
時間は最初の講義の際に連絡する。教員の居室は工学部8号館8-311号である。
|