【授業の目的】
遷移金属錯体に関する実験と解析を行う。主に水溶液中で合成できる遷移金属錯体を取り上げ、その合成、性質、反応、解析を通じ、実験器具や機器の取り扱い・操作法の習熟を図る。遷移金属錯体の合成・性質・反応の理解を深める。
【授業の到達目標】
1)専門分野の授業等において修得した知識と思考方法に従って、実際に実験で与えられた課題を解決し、その結果を表現する能力と課題解決に対して共同で取り組めるコミュニケーション能力を身につける。 2)基本的な実験器具・機器の取り扱いやその操作法を身につけ、遷移金属錯体の合成手法、反応・性質を理解し、説明できる。
【授業概要(キーワード)】
無機化学,錯体化学,化学実験
【科目の位置付け】
無機化学に関する専門的知識を身につけ、先端的な実験内容を理解し、説明できる能力を身につけるものです(理学部ディプロマ・ポリシー、DP7)。そのため、基礎元素化学、無機化学I・II、無機化学演習と相互に連携した総合的な位置づけです。また、この実験は能動的学習です。
【授業計画】
・授業の方法
遷移金属錯体の合成と解析を行います。合成したサンプルの提出を求めます。
・日程
第1回 実験の進め方とガイダンス
第2~9回 ・硫酸銅の精製・遷移金属錯体の合成。合成する錯体の例:ヘキサアンミンコバルト(III)塩化物、ペンタアンミンクロロコバルト(III)塩化物、ペンタアンミンアクアコバルト(III)塩化物、trans-ジクロロビス(エチレンジアミン)コバルト(III)塩化物、cis-ジクロロビス(エチレンジアミン)コバルト(III)塩化物、トリス(オキサラト)鉄(III)酸カリウム三水和物、ビス(アセチルアセトナト)銅(II)、生体にも関連した錯体の合成(ニッケル(II)錯体、コバルト(II)錯体、亜鉛(II)錯体)
第10~15回 :反応機構・機器分析と解析。機器分析と解析の例:硫酸銅結晶の熱重量分析、XRD測定、コバルト錯体の吸収スペクトル測定、鉄オキサラト錯体光分解、錯体のFT-IRスペクトル測定、結晶の電子顕微鏡観察 ・レポートの書き方の説明、合成サンプルの提出
【学習の方法】
・受講のあり方
実験テキストを使い、実験計画を予め実験ノートに纏めておく。実験ノートに従って実験を進め、観察事項、結果などを正確に記入する。実験にふさわしい服装で臨むこと。尚、実験テキストの持ち込みは不可。マスク・白衣・保護メガネ・手袋の着用を義務付けます。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
実験テキストに関連した内容について事前調査(反応式、錯体の構造、性質など)を行う。調査結果は実験ノートに前もって記入、観察結果と比較できるようにする。実験毎に、実験ノートの整理、レポート作成に向けた結果の整理を行うこと。
【成績の評価】
・基準
専門分野の授業等で修得した知識と思考方法に従い実際に実験で与えられた課題を解決し、結果をレポート・実験ノートで適切に説明できていることを合格の基準とします。
・方法
レポート65点、実験ノート15点、サンプル提出10点、平常点10点
【テキスト・参考書】
テキスト:配付します。参考書:「基礎無機化学」 F. A. コットン,G. ウイルキンソン,P. L. ガウス著 培風館、「基本無機化学」 荻野 博 他著 東京化学同人
【その他】
・学生へのメッセージ
実験と講義を結びつけることで、一層の理解の向上が期待できます。関連する講義の復習をしておきましょう。
・オフィス・アワー
授業時間外に学生の質問に答える「オフィス・アワー」は、原則、授業終了後の16時半から17時としますが、これに限らず在室している時は随時対応しますので、各教員(理学部2号館2階、金井塚:201、栗原:205、崎山:206)へ来てください。
|