【授業の目的】
単純な"はり"からある程度複雑なはりのたわみや応力を求める手法について学ぶ. 材料力学は,機械や構造物を設計する場合必要不可欠な学問である.材料がなんらかの力を受けたときの変形の挙動を解析し,これに基づき材質,形状などを合理的に定め,経済的,効率的でかつ破壊しない設計を行うことを目的としている.本講では,基礎材料力学およびその演習で学んだ基礎的概念や理論に基づき,単純なはりからある程度複雑なはり構造体のたわみや応力を求める手法について学ぶ. 本科目は,機械工学および機械設計法全般の基盤となる力学の知識を修得するものであり,機械システム工学科の学習・教育到達目標のうち「(B)機械工学の基礎」[CP2]に対応する内容である.また、毎回の演習を通して、「(F)自主的・継続的学習能力」[CP2]を養う.
【授業の到達目標】
(1)分布荷重,せん断力,曲げモーメント相互の微分関係を導出することができる.(学習・教育到達目標(B, F)[DP5,9]) (2)たわみの基礎方程式を自在に駆使し,静定・不静定はりのたわみの計算することができる.(学習・教育到達目標(B, F)[DP5,9]) (3)重ね合わせの原理などにより複雑なはりのたわみを計算することができる.(学習・教育到達目標(B, F)[DP5,9]) (4)たわみの基礎方程式を応用して,オイラーの座屈問題における座屈荷重を算定することができる.(学習・教育到達目標(B, F)[DP5,9]) (5)ねじりを受ける丸棒(組み合わせ棒=不静定問題を含む)のねじれ角とせん断応力を解析することができる.(学習・教育到達目標(B, F)[DP5,9])
【授業概要(キーワード)】
キーワード:引張・圧縮・せん断応力とひずみ,弾性と塑性,材料の強度と許容応力,ねじり,曲げ,トラス・ラーメン ,構造の剛性と強度
【科目の位置付け】
機械システム工学科の学習・教育到達目標のうち,「(B)機械工学の基礎」[CP2, DP5]、「(F)自主的・継続的学習能力」[CP2, DP9]を養成するための科目である.
【授業計画】
・授業の方法
1回90分の講義(毎回演習付き)を15回行う.演習の一部としてレポート提出(毎回)を課す.オンラン学習システムWecClassを使用します。資料の配布、課題の提出は全てWebClass上で行う。
・日程
第1週 曲げモーメントの計算方法の確認,はりの曲率の計算,はりの支配方程式,境界条件 [予習]テキストのP.75~77を読んではりの曲率について調べる. [復習]オリジナル問題集の当該箇所(2題程度(講義で指定))を解いてレポートとして提出.学習項目に該当する教科書の例題,章末問題(講義で説明).
第2週 静定はりのたわみ1(等分布荷重) [予習]テキストのP.80, 84~85を読んで等分布荷重を受けるはりのたわみについて調べる. [復習]オリジナル問題集の当該箇所(2題程度(講義で指定))を解いてレポートとして提出.学習項目に該当する教科書の例題,章末問題(講義で説明).
第3週 静定はりのたわみ2(集中荷重) [予習]テキストのP.81~84を読んで集中荷重を受けるはりのたわみについて調べる. [復習]オリジナル問題集の当該箇所(2題程度(講義で指定))を解いてレポートとして提出.学習項目に該当する教科書の例題,章末問題(講義で説明).
第4週 静定はりのたわみ3(変化する分布荷重,変化する断面) [予習]分布荷重や断面形状が場所によって変化するはりのたわみ計算について,事前に考え数学的な準備をしておく. [復習]オリジナル問題集の当該箇所(2題程度(講義で指定))を解いてレポートとして提出.学習項目に該当する教科書の例題,章末問題(講義で説明).
第5週 不静定はりのたわみ1(分布荷重,集中荷重) [予習]テキストのP.99~102を読んで不静定はりのたわみ計算について調べる. [復習]オリジナル問題集の当該箇所(2題程度(講義で指定))を解いてレポートとして提出.学習項目に該当する教科書の例題,章末問題(講義で説明).
第6週 不静定はりのたわみ2(強制変位) [予習]力としての荷重がなく,支点に強制変位を受ける問題について解法を事前に研究しておく. [復習]オリジナル問題集の当該箇所(2題程度(講義で指定))を解いてレポートとして提出.
第7週 不静定はりのたわみ3(組み合わせはり:接触して荷重を分担) [予習]2つのはりが接触して荷重を分担するタイプの問題(オリジナル問題集に収録してある)の解き方について自分なりに戦略を立てておく. [復習]オリジナル問題集の当該箇所(3題程度(講義で指定))を解いてレポートとして提出.学習項目に該当する教科書の例題,章末問題(講義で説明).
第8週 不静定はりのたわみ4(ばね支点ほか,応用問題) [予習]支点が固定されずばね支持されている場合はどうか,これまでの知識を活用して戦略を立てておく. [復習]オリジナル問題集の当該箇所(3題程度(講義で指定))を解いてレポートとして提出.学習項目に該当する教科書の例題,章末問題(講義で説明).
第9回 中間試験および解説 [予習]前回までにレポート提出した練習問題,ならびに教科書の例題,章末問題. [復習]中間試験の全ての問題の完答.
第10週 オイラーの座屈1(軸荷重のみを受ける場合) [予習]テキストのP.129, 134~135を読んでおく.座屈が原因となった大事故について調査しておく. [復習]オリジナル問題集の当該箇所(3題程度(講義で指定))を解いてレポートとして提出.学習項目に該当する教科書の例題,章末問題(講義で説明).
第11週 オイラーの座屈2(軸荷重と横荷重を受ける場合) [予習]軸荷重と横荷重を同時に受ける場合,どのような現象が生じそうか十分に思考実験をしておく. [復習]オリジナル問題集の当該箇所(3題程度(講義で指定))を解いてレポートとして提出.学習項目に該当する教科書の例題,章末問題(講義で説明).
第12週 オイラーの座屈3(端末条件;設計計算への応用) [予習]テキストのP.137?139を読んでおく.. [復習]オリジナル問題集の当該箇所(3題程度(講義で指定))を解いてレポートとして提出.学習項目に該当する教科書の例題,章末問題(講義で説明).
第13週 中実丸棒のねじり1(静定) [予習]テキストのP.113~116を読んでおく.. [復習]オリジナル問題集の当該箇所(3題程度(講義で指定))を解いてレポートとして提出.学習項目に該当する教科書の例題,章末問題(講義で説明).
第14週 中実丸棒のねじり2(不静定) [予習]ねじり問題にも同じ概念を適用するので,不静定問題の数学的構造について十分に復習しておく(学習済みの引張・圧縮問題などで). [復習]オリジナル問題集の当該箇所(3題程度(講義で指定))を解いてレポートとして提出.学習項目に該当する教科書の例題,章末問題(講義で説明).
第15回 期末試験および総括 [予習]第8~14回までにレポート提出した練習問題,ならびに教科書の例題,章末問題. [復習]期末試験の全ての問題の完答.
【学習の方法】
・受講のあり方
毎回の講義を良く聞いて理解すること.それを授業中に行われる演習問題でチェックし,分からないことは質問すること.
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
上記の予習項目を必ずこなした上で受講すること. 復習として,教科書の問題やプリントの問題をきちんと自分で解いてみること. さらに参考書で類似の問題を沢山解いてみること.
【成績の評価】
・基準
評価内容として,棒のねじりに関する項目(10%),はりの応力,たわみ,断面の性質に関する項目(20%),基礎方程式によるたわみの計算に関する項目(50%),不静定はりのたわみに関する項目(20%)
・方法
中間試験 45%; 期末(定期)試験45%,演習レポート 10% とし,合計60%以上の得点率を合格基準とする.
【テキスト・参考書】
・要説「材料力学」、野田・谷川他5名共著、日新出版、2980円 ・担当者作成のオリジナル問題集(WecClass上で配布します。)
竹園茂男、基礎材料力学、朝倉書店、3296円 / 中沢・長屋・加藤、材料力学、産業図書、2500円 / 斉藤・平井、材料力学演習 上、下、共立出版 / 尾田十八・三好俊郎、演習材料力学、サイエンス社、1980円 / 野田・谷川・辻・渡邊・大多尾・黒田・石原(共著),「要説 材料力学」,日新出版,2000円.
【その他】
・学生へのメッセージ
材料力学は,機械工学の分野で最も基礎的かつ必要不可欠な科目です.ほとんどの人が,エンジニアとして一生おつき合いすることになる科目です.あせらず,じっくりと取り組み,自分のものとして下さい.また勉強が,身近な機械構造物の基本的設計に役立つことを感じて下さい. 基礎材料力学及び演習を履修してから受講することが望ましい.また,講義中使用した基礎的な数学,特に微分方程式の解法などで不明な点をそのままにせず,必ず復習し習得しておくこと.
・オフィス・アワー
黒田充紀のオフィスアワー:毎週木曜日の16:00~17:30.(6-211号室)
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