微分方程式
 Differential Equation
 担当教員:秋山 孝夫(AKIYAMA Takao)
 担当教員の所属:大学院理工学研究科(工学系)システム創成工学分野
 開講学年:2年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:システム創成工学科  科目区分:専門基礎科目 
【授業の目的】
この科目は、これから専門科目でよく出て来る、物理現象を記述している微分方程式を理解し、解けるようにすることを目的とする。
微分方程式の中でも最も基礎となる「1階常微分方程式」や「線形常微分方程式」を修得する。

【授業の到達目標】
(a) 微小量の概念を使って文章による記述から微少量に関する式を立てられる。
(b) 微分と積分の概念を駆使し、多少高度な微分、積分の計算でもできる。
(c) 1階の常微分方程式を、変数分離法で解ける。
(d) 1階の線形常微分方程式を、変数分離法以外の解き方で解ける。
(e) 文章題で、簡単な1階の線形常微分方程式を立てられる。
(f) 線形常微分方程式の斉次形(同次形)と非斉次形(非同次形)の違いを理解し、見分けられる。
(g) 簡単な2階の斉次形(同次形)の線形常微分方程式が解ける。
(h) 簡単な1階および2階の非斉次(非同次形)線形常微分方程式が解ける。
(i) 微分方程式と解の関係を理解し、得られた解がもとの微分方程式の解であるかどうかを確かめられる。

【授業概要(キーワード)】
微分、積分、微分方程式、常微分方程式、変数分離形、同次形、完全微分形、線形、斉次形(同次形)・非斉次形(非同次形)、連立線形微分方程式

【科目の位置付け】
この科目の基礎となる科目:微分・積分(高校、大学初学年の微分・積分学)
この科目を基礎とする科目:物理学系の科目、特に力学系
この講義は、システム創成工学科の数学の専門科目である。

【授業計画】
・授業の方法
授業では具体的なイメージが掴めるように例を多くし、基礎が身に付くように演習も取り入れ、適宜レポートを課す。
・日程
第1週 「微分方程式と解」:
  自然・社会現象と微分方程式,常微分方程式と偏微分方程式,階数,線形微分方程式,
  連立微分方程式,正規形,求積法,一般解・特殊解(特解)・特異解,
  初期条件と境界 条件,方向場,解曲線,曲線群と微分方程式,
  初期値問題の解の存在と一意性,同次線形微分方程式と非同次線形微分方程式,
  線形微分方程式の解の存在と一位性
第2・3週 「直接積分形,変数分離形と変数分離形への変換,
 同次形と同次形への変換」:
  y’=f(x),y’= g(y),g(y)y’=f(x)またはy’=f(x)h(y),y’=f(ax+by+c),
  y’=f((k(ax+by)+c’)/(ax+by+c)),y’=(y/x)f(xy),y’=f(y/x),
  y’=f((a’x+b’y+c’)/(ax+by+c))
第4・5週 「1階線形微分方程式,1階線形への変換,ベルヌーイの方程式」:
  y’+P(x)y=Q(x),同次方程式と非同次方程式,定数変化法,積分因子と解の公式,
  f’(y)y’+P(x)f(y)=Q(x),y’+R(x)y=S(x)yk (k≠0,1)
第6週 中間試験とその解説
第7週 「完全微分方程式」:
  P(x,y)dx+Q(x,y)dy=0,完全微分形(全微分形)であるための条件,解の公式,
  積分因子と特別な場合のその求め方
第8週 「1階高次微分方程式,特殊な形の2階微分方程式」:
  y’の1次式に因数分解できる微分方程式,クレローの方程式y=px+f(p) (p=y’),
  y”=f(x,y’),y”=f(y)
第9・10週 「同次線形微分方程式」:
  線形独立・線形従属の定義と判定法,ロンスキー行列式,基本解と一般解,
  定係数2階同次線形方程式,特性方程式と特性解,定係数n階同次線形方程式
第11・12週 「非同次線形微分方程式,変数係数線形微分方程式」:
  余関数・特殊解・一般解,重ね合わせの原理,非同次方程式に対する定数変化法,
  定係数非同次線形方程式に対する未定係数法,階数低下法,オイラーの方程式,
  決定方程式
第13・14週 「連立線形微分方程式」:
  代入法(消去法),特性方程式,固有値・固有ベクトル,対角化法
第15週 期末試験とその解説

【学習の方法】
・受講のあり方
 新しい概念が次から次へと多数出てくるので、分からないことがあったら、すぐに調べたり、質問したりして解決しないとついて行けなくなる。余儀なく欠席した場合はしっかりと自習して補うこと。
 専門科目の授業で何度も微分方程式に遭遇するので、簡単なものは自力で解けるようにその取扱い方に習熟すること。また、解が正しいかどうかを吟味すること、さらに戻って、問題から微分方程式を立てることは、実践において重要となる。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
基礎となる微分積分や線形代数は、当然、修得しているものとして進められる。従って、授業の前に授業で使われる微分積分,線形代数についての基礎知識をあらかじめ確認しておくこと。
 できる限り演習や宿題を課し、レポート提出を求めるように計画している。分からないところがあった時には、レポート中に質問を書くなど、早く解決するように努める。

【成績の評価】
・基準
(a) 微小量の概念を使って式を作れる。 (b) 微分と積分の概念を理解し、式を立てて計算できる。
(c) 1階の常微分方程式を、変数分離法で解ける。 (d) 1階の線形常微分方程式を、変数分離法以外の解き方で解ける。
(e) 文章題で、簡単な1階の線形常微分方程式を立てられる。 (f) 線形微分方程式の斉次形と非斉次形の違いを見分けられる。
(g) 簡単な2階の斉次形(同次形)の線形常微分方程式が解ける。 (h) 簡単な1階および2階の非斉次形(非同次形)線形常微分方程式が解ける。
(i) 微分方程式を文章から立て、解き、検算することができる。
・方法
中間試験の点数を40点満点、期末試験の点数を40点満点、演習レポートの点数を20点満点とし、それらの合計(100点満点)が60点以上を合格とする。

【テキスト・参考書】
テキスト:石村園子、「改定版すぐわかる微分方程式」、裳華房
参考書:小寺平治、「なっとくする微分方程式」、講談社
参考書:小寺平治、「テキスト微分方程式」、共立出版
参考書:E.クライツィグ著、北原和夫・堀素夫訳、「技術者のための高等数学1常微分方程式(原書第8版)」、培風館
参考書:一樂重雄・一樂祥子、「微分方程式 そのまま使える答えの書き方」、講談社
参考書:藤本淳夫、「応用微分方程式」、培風館
参考書:矢野健太郎・石原繁、「基礎解析学コース 微分方程式」、裳華房
参考書:一松信、「微分方程式と解法」、教育出版
参考書:坂田泩監修,曽布川拓也・伊代野淳著、「基本 微分方程式」、サイエンス社
参考書:原惟行・松永秀章、「常微分方程式」、共立出版
参考書:川野日郎・薩摩順吉・四ツ谷晶二、「微分積分+微分方程式」、裳華房
参考書:内藤敏機・申正善、「初等常微分方程式の解法」、牧野書店
参考書:矢野健太郎・石原繁、「微分積分 改定版」、裳華房
参考書:山形大学数理科学科、「微積分入門-1変数-」、東京図書
参考書:日本数学教育学会高専・大学部会教材研究グループTAMS編、「微分積分」、電気書院

【その他】
・学生へのメッセージ
毎回講義に出席すること。
教科書に記載されている計算過程を自分で確かめること。
配布する演習課題や教科書に記載されている演習問題に取組むこと。
わからないことをそのままにしていると、さらにわからなくなるだけである。まず自分で調べ、友達とも相談し、それでもわからないところは授業中でも、授業後でも、オフィス・アワーでも質問して直ちに解決する習慣を付けてほしい。
・オフィス・アワー
質問等があれば,毎週水曜日16時〜18時,6号館6階603号室に来られたし。

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