【授業の目的】
作物は野生植物と人間との関わりの中で生まれた植物である。作物が地球上のどんな環境で起源し、伝播し、人間の生活にどのように利用されてきたかについて知識を得ること、さらに在来作物を通して植物資源が置かれている現状や保存・継承のあり方を考えることを目的とする。
【授業の到達目標】
1)イネ、コムギ、チャ、野菜など、主要な作物の特徴とそのおよその起源地について記述できる。【知識・理解】 2)主要な作物の利用の文化を説明できる。【知識・理解】 3)国内の在来作物の現状と保存・活用の事例を列記できる。【知識・理解】 4)在来作物の保存と継承のあり方を考えることができる。【技能】
【授業概要(キーワード)】
在来作物、地域、伝統知、文化と歴史、風土、価値観
【科目の位置付け】
身近なフィールドを通して、農業と地域の実態を理解するとともに、地球規模での農業・環境問題を多面的に理解するための科目(水土環境科学コースのディブロマ&カリキュラム・ポリシー)
【授業計画】
・授業の方法
講義による。しばしば講義を補足する映像やスライドを見せる。 その作物がなぜ、そこに起源し、伝播し、栽培されてきたのか、どのように利用されてきたのか、多面的な視野から考える。
・日程
第1回:在来植物資源学のイントロダクション 第2回:根栽農耕文化と関連作物 第3回:照葉樹林文化とイネ 第4回:コメの食文化 第5回:チャの特性と生産 第6回:チャの文化 第7回:地中海農耕文化とムギ 第8回:ムギの食文化:パンと麺 第9回:アブラナ科野菜 第10回:サバンナ農耕文化と新大陸農耕文化:雑穀とナス科野菜 第11回:伝統的な農法や生活様式の中で利用されてきた在来作物 第12回:在来作物は生きた文化財 第13回:在来作物が消えてゆく 第14回:在来植物資源をいかにして守るか~全国の取り組みから 第15回:まとめ
【学習の方法】
・受講のあり方
学際的な講義内容になるので、学ぶ内容が広範囲に及ぶ。様々な学問を横断的に活用して一つのテーマについて考えるという醍醐味を楽しんでもらいたい。また授業の終わりに質問用紙を配る。興味深いまたは重要な質問は次の授業で答えるようにするので質問してもらいたい。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
毎回講義の終わりに理解を助ける小問題を出すので、自習しながら解いてほしい。この小問題から試験に出すので留意すること。また一つの物事を多角的な視点でとらえる練習として、下記の参考書などを読んでみてほしい。
【成績の評価】
・基準
主要な作物の特徴や起源地、それらの利用の文化を正しく理解していること、国内の在来作物の現状と保存・活用の事例を適切に記述できること、授業を通して得られた知識に基づいて在来作物の保存と継承のあり方を論述できることを合格の基準とする。
・方法
レポートと試験による。レポートを40点、試験を60点とし、合計100点満点で、60点以上を合格とする。レポートは1回課題を出す。
【テキスト・参考書】
講義中にプリントを配布する。 中尾佐助「栽培植物と農耕の起源」岩波新書 山形在来作物研究会編「どこかの畑の片すみで」山形大学出版会 山形在来作物研究会編「おしゃべりな畑」山形大学出版会 青葉 高「日本の野菜」八坂書房 青葉 高著「野菜の日本史」八坂書房 青葉 高著「野菜の博物誌」八坂書房 青葉 高著「野菜」法政大学出版局 タキイ種苗出版部編「地方野菜大全」農文協 鞍田崇編「ユーラシア農耕史〈5〉農耕の変遷と環境問題」臨川書店 原田信男・鞍田崇編「焼畑の環境学ーいま焼畑とは」思文閣出版 岩田三代編「伝統食の未来」ドメス出版 朝倉敏夫編「火と食」ドメス出版 舟田詠子「パンの文化史」朝日選書 石毛直道「文化麺類学ことはじめ」フーディアム・コミュニケーション 中村羊一郎「番茶と日本人」歴史文化ライブラリー 江頭宏昌編「人間と作物」ドメス出版
【その他】
・学生へのメッセージ
人間が植物とどのように関わり合い、利用してきたのか。さまざまな植物の利用について学際的に考える機会はあまりないと思います。人と植物と の関係に関心を持つ学生さんに受講をお勧めします。
・オフィス・アワー
授業の終了時の他、木曜日12:00-13:00に設定していますが、事前にメールなどで連絡をもらえるとありがたいです。
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