日本史史料論
 Japanese Historical Documents theory
 担当教員:大喜 直彦(DAIKI Naohiko)
 担当教員の所属:地域教育文化学部地域教育文化学科児童教育コース
 開講学年:3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
テーマは、「様々な歴史史料の基礎知識を習得し、実証的な歴史研究の方法論を学ぶ」ことである。日本史史料の多様性を理解すること、および多様な利用法の知識を得ることを目的とする。

【授業の到達目標】
・絵画史料や編纂物など古文書以外の歴史史料の基礎的知識と読解能力を身につけることができる。
・取り上げる各史料は、他の史料に依拠して書かれた箇所があるので、同時代史料との比較検討をしながら史料を読解する、史料批判の方法論を身につけることができる。
・各歴史史料の特徴を学びながら、自らの力で各史料のもつ歴史的背景などを考察することができる。
・中学校社会科および高等学校地理歴史科担当教員として、必要な専門的知識を習得できる。



【授業概要(キーワード)】
古文書、日記、記録、絵画史料

【科目の位置付け】
専門教育科目のなかの発展科目に属している。特にみずからの特性や適正、興味に応じて選択できる科目である。日本史像を構築する上でもっとも基本である史料を総合的に学ぶことができる。

【授業計画】
・授業の方法
・古文書や編纂物・絵画史料などについて講義し、受講生にも適宜史料解読(文意など)をしてもらう。
・歴史研究の拠り所となる素材が史料である。歴史史料のうち、古文書の次に信憑性の高い史料として位置づけられているのが、二次史料である。その代表である編纂物や絵画史料をとりあげる。
・中世の編纂物として『吾妻鏡』をとりあげ、その読解を通じて歴史史料の特徴を探る。必要に応じ対象史料を追加する場合もある。
・絵画史料として、鎌倉時代に成立した複数の絵巻物や室町時代の肖像画を使って、その特徴や近年の研究史を学ぶ。
・その他、考古学の成果と文献史料との関係についても講義する。
・毎講義終了時、小ペーパーに当該講義の意見を記述し提出する。
・日程
第1回:授業の概要説明、授業の進め方
第2回:『吾妻鏡』を読む 頼朝将軍記
第3回:『吾妻鏡』を読む 頼家将軍記
第4回:『吾妻鏡』を読む 実朝将軍記
第5回:『吾妻鏡』を読む 頼経将軍記
第6回:一遍上人絵伝を読む
第7回:男衾三郎絵詞を読む
第8回:後三年合戦絵巻を読む
第9回:蒙古襲来絵詞を読む
第10回:寺社の縁起絵巻を読む
第11回:伝源頼朝像を探る1美術史の観点から
第12回:伝源頼朝像を探る2歴史家の観点から
第13回:考古資料と文献史料1(銭)
第14回:考古資料と文献史料2(かわらけ)
第15回:本授業のまとめと定期試験第

【学習の方法】
・受講のあり方
毎回講義に出席して、史料の各役割など授業内容を理解すること。講義であるが、史料を読ませる場合もある。その時は積極的に解読すること。

・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
各種の史料は、現物や原本を見ることなどが大変重要である。したがって博物館・史料館・美術館などへ出向き、多くの展示物に接すること。

【成績の評価】
・基準
評価は、主に古文書、日記・記録など各史料の意味や機能が理解できていることを基本とする。
・方法
定期試験を70点とし、提出した意見を30点として、その総合点で行う。


【テキスト・参考書】
参考書:五味文彦ら編『現代語訳吾妻鏡1~16』(吉川弘文館)、黒田日出男『絵画史料で歴史を読む』(筑摩書房)、五味文彦・杉森哲也『日本史史料論』(放送大学教育振興会)。その他の参考書は、授業中に適宜指示する。

【その他】
・学生へのメッセージ
講義であるが、受け身とならず、積極的に参加し、史料論に関する論文などを読んでほしい。
・オフィス・アワー
オフィスアワーについての詳細は、講義時に説明する。相談場所は基本的に大喜研究室で行う。

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