【授業の目的】
心理支援の際に必要とされるスキルである心理的アセスメントの基本的な知識を習得し,演習を通して種々のアセスメント方法や包括的な解釈,フィードバック方法について理解を深める。
【授業の到達目標】
・心理的アセスメントの目的と倫理について説明できる。 ・関与しながらの観察について説明することができる。 ・心理検査の種類、成り立ち、特徴、意義及び限界について説明できる。 ・心理検査の適用及び実施方法について説明でき、正しく実施し、検査結果を解釈することができる。 ・生育歴等の情報、行動観察及び心理検査の結果等を統合させ、包括的に解釈を行うことができる。 ・適切に記録、報告、振り返り等を行うことができる。
【授業概要(キーワード)】
信頼性,妥当性,観察法,面接法,検査法,知能検査,パーソナリティ検査
【科目の位置付け】
本科目は,文部科学省・厚生労働省により公認心理師法における「大学における公認心理師となるために必要な科目」として定められたものである。また,認定心理士資格g臨床心理学・人格心理学領域の基本主題である。
【授業計画】
・授業の方法
授業は講義と演習によって進行する。特に,心理検査に関する授業では,受講者は検査者役と被検査者役の両方を経験することを通して,心理検査の実施,実施上の留意点,採点方法および結果の解釈についての理解を深める。ただし,集団実施の難しい検査については講義およびデモンストレーション形式で授業を進め,各自授業時間外に他者に検査を実施する形態をとる場合がある。
・日程
第1回 心理的アセスメントの目的と倫理 第2回 総合的なアセスメント 第3回 関与しながらの観察 第4回 信頼性と妥当性 第5回 面接法 第6回 観察法 第7回 知能検査(1) 第8回 知能検査(2) 第9回 発達検査 第10回 パーソナリティ検査(質問紙法) 第11回 投映法(1) 第12回 投映法(2) 第13回 投映法(3) 第14回 投映法(4) 第15回 適切な記録及び報告
【学習の方法】
・受講のあり方
無断欠席は,演習時に他の受講者の迷惑となるので避けること。 また,心理統計で用いられる基本用語(平均,標準偏差など)について,しっかり復習し,理解した上で受講すること。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
毎回,指定の用紙による小レポートの提出を課題とする。その際には,授業の配布資料や紹介した文献以外にも自ら積極的に文献を探し,利用すること。
【成績の評価】
・基準
毎回の小レポート,学期末の検査レポートにより評価する。各レポートは,以下の観点より評価を行う。 ・検査の特徴,実施方法,結果の解釈について,授業で説明されたポイントを踏まえてまとめられているか ・検査結果だけでなく,検査場面の行動観察や生育歴などの情報も含めて総合的な考察ができているか ・分かりやすい表現を心掛けた報告書になっているか
・方法
[評価点]=[小レポート(30点)]+[学期末レポート(70点)]による。 小レポートは毎回課す。学期末のレポートは授業で実施された心理検査から1つ選択し,自分の検査結果について考察し,作成する。
【テキスト・参考書】
参考書: 阿部 惠一郎 (2013). バウムテストの読み方―象徴から記号へ― 金剛出版 カスティーラ, D. D. 阿部 惠一郎 (訳) (2002). バウムテスト活用マニュアル―精神精神症状と問題行動の評価― 金剛出版 フラガナン, D. P.・カウフマン, A. S. 上野 一彦 (監訳) (2014). エッセンシャルズ WISC-Ⅳによる心理アセスメント 日本文化科学社 秦 一士 (2010). P‐Fスタディアセスメント要領 北大路書房 伊藤 隆一 (2012). SCT活用ガイド―産業・心理臨床・福祉・教育の包括的手引 金子書房 小山 充道 (2008). 必携 臨床心理アセスメント 金剛出版 村上 宣寛・村上 千恵子 (2019). 三訂 臨床心理アセスメントハンドブック 北大路書房 日本臨床MMPI研究会 (監修) 野呂 浩史・井手 正吾・荒川 和歌子 (編) (2011). わかりやすいMMPI活用ハンドブック―施行から臨床応用まで― 金剛出版 沼 初枝 (2009). 臨床心理アセスメントの基礎 ナカニシヤ出版 プリフィテラ, A.・サクロフスキー, D. H.・ワイス, L. G. 上野 一彦 (監訳) (2012). WISC-Ⅳの臨床的利用と解釈 日本文化科学社 リヒテンバーガー, E. O.・マザー, N.・カウフマン, N. L.・カウフマン, A. S 上野 一彦・染木 史緒 (監訳) (2008). エッセンシャルズ心理アセスメントレポートの書き方 日本文化科学社 他,授業中に指示する。
【その他】
・学生へのメッセージ
この授業を通して,心理アセスメントにおいて重要な信頼性,妥当性といった基本的な概念についての理解を深めてください。
・オフィス・アワー
授業時間外に学生の質問に答える「オフィス・アワー」を研究室(地域教育文化学部1号館4階408)において,水曜日の12:10~13:00の間に設けます。ただし,会議や出張で不在にすることもありますので,必ず事前に問い合わせてください。
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