日本近代史概論
 Introduction to Japanese Modern History
 担当教員:小幡 圭祐(OBATA Keisuke)
 担当教員の所属:人文社会科学部
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
日本の歴史において近代は、それまでの国家・社会のあり方を大きく変容させた時代であると同時に、私たちが生きる現代と密接な関わりをもつ時代です。ゆえに、日本の近代の特徴を知ることは、現代のさまざまな問題を考えるうえでも、極めて重要な意味を持っています。本授業では、日本の近代の歩みを、その時代的特質である中央集権国家と国際化(西洋化)の二つの観点を軸に考察することを通じて、日本近代史に関する基礎的な知識・時代背景の理解を得るとともに、近代から現代のさまざまな問題を歴史的な視点から考えるための思考力を身につけることを目的とします。

【授業の到達目標】
この講義を履修した学生は、
1)日本近代史に関する基礎的な知識、当時の日本が置かれていた国内・国外の状況について説明することができる【知識・理解】
2)中央集権国家や国際化(西洋化)といった特定の観点から歴史を捉えることができる【態度・習慣】
3)得られた知識・態度を基礎に、具体的な用語・人物・出来事を事例として挙げつつ、自身の考えを述べ、論理的な文章に表現することができる【技能】

【授業概要(キーワード)】
歴史学、日本近代史、明治時代~昭和時代、中央集権国家、国際化(西洋化)

【科目の位置付け】
この授業は、日本の近代の歩みを特定の観点から考察することを通じて、人文社会科学(特に歴史学)の高度な「専門知」を獲得し、論理的な思考能力を修得することを目的とする専門基礎科目です(人文社会科学部のカリキュラム・ポリシー)。

【授業計画】
・授業の方法
当日配布するレジュメをもとにスライド(パワーポイント)を使用しながら授業を進めます。授業の最後に記入を求めるコメントペーパーにおける質問事項は、次の授業の冒頭で紹介し、応答を行います。また、授業外の学習を促すため、Webclassを活用します。
・日程
第1回 はじめに―日本の近代を考える意義
第2回 地球規模の国際環境への参入―開国
第3回 中央集権国家の成立―廃藩置県
第4回 国家建設期の内政―1870年代
第5回 国家建設期の外交―1870年代
第6回 近代国家確立期の内政―1880年代
第7回 近代国家確立期の外交―1880年代
第8回 日清戦争期の内政と外交―1890年代
第9回 日露戦争期の内政と外交―1900年代
第10回 第一次世界大戦期の内政と外交―1910年代
第11回 戦間期の内政と外交―1920年代
第12回 日中戦争期の内政と外交―1930年代
第13回 アジア・太平洋戦争期の内政と外交―1940年代
第14回 戦前と戦後の連続と非連続―1950年代
第15回 おわりに―まとめと試験

【学習の方法】
・受講のあり方
講義の内容を丸暗記することは求めません。講義に臨む際には板書にのみ集中するのではなく(講義で使用したパワーポイントは、終了後にWebclassにアップしますので、全てを板書する必要は全くありません)、講義で取り上げた事柄が現代とどのような関わりがあるのかを自分自身で考えながら聴講しましょう。講義の中で質問や意見を求める場合があり、またコメントペーパーで授業の感想ではなく疑問点を必ず挙げることを求めるので、積極的に自分の意見や問いを発する構えで講義に臨みましょう。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
参考書や日本近代史に関する文献にあらかじめ目を通すことで、疑問点を明瞭にしておくことが望まれます。授業で配布するレジュメの最後の部分には、各回の内容を深めるために適切な参考書を挙げています。
また、コメントペーパーで挙げた質問については、参考書や各講義で紹介する文献に当たるなどして、自身で調べる習慣をつけましょう。自分の挙げた質問への回答を用意し、Webclassで提出した方には加点します。提出のあった回答の一部は授業の冒頭で紹介することがあり、回答が紹介された場合についてはさらに加点します。

【成績の評価】
・基準
授業の到達目標で示した3つの目標に対応し、下記の3つの条件を満たすことを合格の基準とします。
1)日本近代史に関する基礎的な知識とおおまかな流れを説明できる。
2)日本近代の時代的特質と現代との関連を自分の言葉で説明することができる。
3)講義に積極的に参加し、自発的に意見・問いを発し問題解決に結びつけることができる。
・方法
期末試験(70点):授業内容にもとづく論述試験を課します。授業で配布したレジュメとノートは持ち込み可とします。
コメントペーパー(30点):各回の授業の最後にコメントペーパーの提出を求め、その内容から授業への参加姿勢を評価します(1回の授業につき2点)。たとえ出席したとしても、コメントペーパーに何も記入しなかったり(「特になし」も含む)、コメントペーパーの記述が当日の授業を踏まえたものでなかった場合は点数を与えることができません。
※授業中に積極的に自身の意見を発言した場合、Webclassで疑問への回答を提出した場合、提出した回答が授業で紹介された場合は、その内容と頻度に応じ15点を上限に加点します。

【テキスト・参考書】
テキスト:各回の授業でレジュメを配布します。
参考書:山内昌之・細谷雄一編著『日本近現代史講義 成功と失敗の歴史に学ぶ』(中央公論新社、2019年)900円+税
小風秀雅編『大学の日本史 教養から考える歴史へ 4近代』(山川出版社、2016年)1800円+税
清水唯一朗・瀧井一博・村井良太『日本政治史 現代日本を形作るもの』(有斐閣、2020年)2100円+税
→予習をする場合には上記の参考書をおすすめします。
『日本近代の歴史』全6巻(吉川弘文館、2016~2017年)
『日本の近代』全16巻(中央公論社・中央公論新社、1998~2001年) 
→授業の疑問点などを調べる際には上記の参考書がおすすめです。
※このほか、授業で配布するレジュメの最後に、各回の授業に関連する参考書を紹介します。

【その他】
・学生へのメッセージ
授業では多くの用語・人物・出来事を話題にしますが、全てを暗記する必要は全くありません。各回の授業でその用語・人物・出来事をなぜ取り上げられているのかが大事になりますので、考えることを重視しながら授業に臨むことをおすすめします。
・オフィス・アワー
月曜日 11時30分~13時30分 小幡研究室(人文社会科学部1号館4階)
上記時間外においても相談を受け付けますが、その場合は事前に連絡してください。連絡先は初回授業時にお知らせします。

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