【授業の目的】
この授業では、社会構造の認識と、行為者の主体性(エージェンシー)の認識がいかにして両立可能であるかを論じる問題、いわゆる「構造と主体」の問題を取り上げる。この問題を取り扱ってきた中心的な研究者、ピエール・ブルデューとアンソニー・ギデンズ、ブリュノ・ラトゥールの著作を読み込むことで、問題についての理解を深めることを主な目的とする。
【授業の到達目標】
この講義を履修した学生は、「構造と主体」の問題についての主要著作を読み込むことで、この問題について人類学的な立場から討議できるようになる。
【授業概要(キーワード)】
エージェンシー、構造、ハビトゥス、実践、構造化理論、権力、アクターネットワーク理論
【科目の位置付け】
カリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し,よく理解したうえで履修してください。
【授業計画】
・授業の方法
・テキストを精読し、その内容をまとめて、レジュメを使って口頭発表を行う。発表者以外の聴講者は発表内容を要約・提出する。 ・一方通行の口頭発表ではなく、質疑応答によって進めていく。
・日程
以下のテーマを扱う:
第一部:ピエール・ブルデュー『実践感覚〈1〉』 ・客観化を客観化する ・主観主義の想像的人類学 ・構造、ハビトゥス、実践 ・信仰と身体 ・実践の論理 ・時間の働き ・象徴資本 ・支配の様式 ・主観的なものの客観性
第二部:アンソニー・ギデンズ『社会の構成』 ・構造化理論の諸原理 ・意識、自己、社会的出会い ・時間、空間、範域化 ・構造、システム、社会的再生産 ・変動、進化、権力 ・構造化理論、経験的調査、社会批判
第三部:ブリュノ・ラトゥール『社会的なものを組み直す: アクターネットワーク理論入門』 ・第一の不確定性の発生源──グループではなく、グループ形成だけがある ・第二の不確定性の発生源──行為はアクターを超えてなされる ・第三の不確定性の発生源──モノにもエージェンシーがある ・第四の不確定性の発生源──〈厳然たる事実〉対〈議論を呼ぶ事実〉 ・第五の不確定性の発生源──失敗と隣り合わせの報告を書きとめる ・アリ/ANTであることの難しさについて──対話形式の幕間劇
※ 履修学生の人数や授業の進み具合によって変更の可能性あり。
【学習の方法】
・受講のあり方
・発表者はテキストを精読し、その内容をまとめてレジュメを使って口頭発表を行う。 ・聴講者は漠然と発表を聞くのではなく、質疑応答や議論に積極的に参加し、発表内容を要約・提出する。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
・口頭発表で扱うテーマについて、授業前にテキストを読んでおく。 ・さらに理解を深めるために図書館やインターネットで調べてみる。
【成績の評価】
・基準
口頭発表や発表後の質疑応答・議論、発表内容の要約によって、①参加の度合い、②知識の修得・理解の度合い、③論理的思考力、文章表現力のそれぞれの項目について判定し、その合計点を用いて判定する。
・方法
口頭発表(50%)と発表内容の要約(50%)に対する評価点の合計をもって評点とする。
【テキスト・参考書】
・アンソニー・ギデンズ『社会の構成』(門田健一訳)勁草書房、2015年。 ・ピエール・ブルデュー『実践感覚〈1〉』(今村仁司&港道隆訳)、1988年。 ・ブリュノ・ラトゥール『社会的なものを組み直す: アクターネットワーク理論入門』(伊藤嘉高訳)法政大学出版局、2019年。
【その他】
・学生へのメッセージ
休講および補講を行う可能性があります。掲示に注意してください。
・オフィス・アワー
・水曜日11:00~12:30(人文社会科学部2号館4階 松本剛研究室) ・連絡先:gocito@human.kj.yamagata-u.ac.jp ・事前に電子メールでアポイントメントをとること。
|