【授業の目的】
テーマは「表象のなかのパリ」。この講義では、美術や文学、映画や写真におけるパリの都市表象を扱います。 パリにはモニュメントや歴史的建造物が無数にあり、小説や映画では、しばしばそれらが舞台の一部となり、重要な役割を果たしています。歴史のなかでさまざまに形を変えてきたパリ。この巨大都市の変容は、各時代の芸術家の想像力に、どのような影響を及ぼしてきたのでしょうか。あるいは逆に、作品に繰り返し取りあげられ、描かれ、記号化されることによって、現実のパリの都市空間は、いかなる象徴性を帯びるにいたったのでしょうか。 芸術作品を導きの糸として、パリという神話的迷宮に分け入ってみましょう。
【授業の到達目標】
学生はこの講義を履修することで、 1. 芸術作品とのかかわりから、パリの歴史について基礎的な知識を獲得できる。 2. 都市表象の分析を通じて、異文化にアプローチする手法の初歩を習得できる。
【授業概要(キーワード)】
パリ、都市表象、モニュメント、パッサージュ、セーヌ川、大聖堂、エッフェル塔、歴史、社会、神話、文学、映画、写真、書物、想像力、象徴性、イメージとテキスト
【科目の位置付け】
この授業は、西欧の社会や歴史に関するテキストや映像を用いて、グローバル文化学や表象文化論の観点から論理的に分析し、整理する力を身につけるために編成されている科目である。
【授業計画】
・授業の方法
基本的には、各ジャンルについて、資料・文献を紹介しながら、レクチャーを進めます。抜粋テキストを読んだり、映像を見ることで、対象の総合的な理解に努めます。 また履修者には、参考文献を参照しつつ、グループでミニ発表を行ってもらいます。難しく考える必要はありません。まずはパリの建造物の歴史的背景を調べることから始めてみましょう。そしてそれが作品でどのように描かれているかを分析してみましょう。 ※ 学期末に学外からのゲスト講師による集中講義の予定があります。
・日程
学生のグループによる短い発表がサンドイッチ式に入ります。 1 ガイダンス(趣旨説明) 2-3 映画におけるパリ表象 4 発表、コメントと討論 5 文学におけるパリ表象 6 発表、コメントと討論 7 絵画におけるパリ表象 8 発表、コメントと討論 9 写真におけるパリ表象 10 発表、コメントと討論 11-14 集中講義と発表、コメントと討論(ゲスト講師による) 15 総括 ※ 理解度、受講者の人数・関心に応じて一部内容・順序を変更することがあります。
【学習の方法】
・受講のあり方
WebClassで配付される資料を印刷して、重要事項をノートしてください。授業中の居眠りや瞑想はNGです。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
授業で取りあげる作品をなるべく読んできてください。分かりやすい説明を心がけますが、質問がある場合は、授業の前後や、研究室でも受け付けています。
【成績の評価】
・基準
到達目標に掲げた2つの達成度に関しては、期末レポートで判断します。1に関しては、自分の言葉で説明できているかを見ます。2については、授業で学んだアプローチ法が身に付いているかを見ます。参加点と期末レポートの点数をあわせ、規定点に達した者を合格とします。
・方法
授業への参加度、意見・感想、学期末提出のレポートの3つに基づき総合的に評価します。 レポートの質は、(1)授業内容を理解できているか、(2)関連する文献を読み込んでいるか、(3)説得性のある考察ができているか、の3点から判断します。
【テキスト・参考書】
複数の著作や論文を参照していきます。概説書は無数にありますが、とりあえず以下のものをあげておきます(順不同)。 (1)和田章男『フランス表象文化史 美のモニュメント』(大阪大学出版会) (2)野崎歓(編)『フランス文学を旅する60章』(明石書店) (3)田村毅 (監修)『フランス文化読本 フランスを知るための16の窓』(丸善出版) (4)澤田肇他(編)『パリという首都風景の誕生』(ぎょうせい) (5)石井洋二郎『パリ 都市の記憶を探る』(ちくま新書) その他の文献はWebClassで示します。
【その他】
・学生へのメッセージ
本講義を履修するうえで、フランス語の知識は必要ありません。 2年生も履修できますが、高年次科目のため、2年生はGPA3.0以上の学生に履修が限られます。 グローバルな感性を養うためには、その下地となる文化的素養が不可欠です。少しずつ確実に身につけていきましょう。
・オフィス・アワー
初回の授業で指示します(研究室は人文社会科学部棟3号館6階)。 メールアドレス:y.goda@human.kj.yamagata-u.ac.jp
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